第30話 計画は大胆に...そして、目立とう
ミツキが俺の家を出て行って、一カ月が経とうとしていた。
ミツキは、スキルの制御が出来るようになり、タケルのチャンネルでも大活躍している。今では、
もう、タケルよりミツキの方が人気と言っていい。
なんたって、あんな可愛い姿をして戦うんだ。そりゃあ、人気が出ない方がおかしい。それに、喋り方とか性格が変わるギャップもいいとかコメントでよく見かける。
今や、ミツキがタケルのパーティーに入ってからチャンネル登録者数はうなぎ登り、今ではチャンネル登録者数が200万人を超えている。
俺は、タケルの事は嫌いだが、ミツキの事は知り合いだし好きなので、チャンネル登録してみている。
タケルは嫌いだけど。
ミツキとは、会えていないが動画で見るミツキの様子は楽しそうだ。
タケルの噂はデマだったんだろう。
俺は、安心した。
*****
「クッソ!!なんでだよ、なんで俺を見ない。俺は、ビーダルギルドで実力が3位だったんだぞ!!今では、あの社長も俺ではなくミツキにペコペコしたりしてよ!?それに、俺がデートに誘っても断るし。あいつ、最近調子乗ってねえか!?」
「まあ、多少可愛いからってちやほやされて、私もアイツの事きら~い」
「俺たちのチャンネルが乗っ取られた感じだな。いまじゃ、タケルよりアイツの方が強いんじゃないかって、コメントで上がるくらいだし。」
「あ?」
「す、すまん。アイツ調子乗ってるよな...」
タンカーのレイが余計な事をいい、タケルの事を怒らせ睨まれた。
レイは、とっさにタケルのご機嫌を取る言葉を言った。
タケルは、最初はミツキの事をデートに誘い、好意を抱いていた。
しかし、段々タケルよりミツキの方が人気が出てきてしまった。
ギルドの人気ランキングのアンケートで、最初は、タケルがぶっちぎりだった。しかし、半月も経たずにミツキに抜かれ悔しい
タケルは、ミツキに対する嫉妬から、憎しみに変わって行った。
そんな険悪な感じになっている部屋に、ミツキと社長が入って来た。
「ミツキちゃんのおかげで、ギルドランキングが49位に跳ね上がったよ。ありがとう。これからも、フェニックスギルの為に配信とか頑張ってください。」
「でも、パーティーメンバーのおかげですよ。」
ミツキは、謙遜をしている。
その様子を見て、タケルはますます気に食わないような顔をしている。
だけど、それはミツキ以外のパーティーにしか見えない。
その顔を見て、ミカとレイは恐怖を覚えた。
タケルのパーティーは、明日の50階層と自己新記録突破配信についてのミーティングが終わり、一人タケルはこの部屋に残り何かを考えていた。
「俺は、人気者だ。だが、俺より上の人気者は要らない。俺のチャンネルのハズなのに、ミツキ目当ての視聴者が半分以上...だったら、その視聴者を俺に注目するような事をすればいいじゃないか?そういえば、50階層には、どれほど下に落ちるかわからない落とし穴...無かったか?あの落とし穴は、ボスが第二形態になる時に作りだされる穴...」
タケルは、元ビーダルギルドの実力者だった。
そのため、明日挑戦する50階層は経験済みだ。
「そこに、事故でアイツが落ちて死んだら....俺は仲間を失った可哀想なリーダーとして世間に注目を浴びるんじゃないか?そうしたら、アイツを悲しむ者も俺の事に同感して、俺の事を応援したくなる。そうすれば、更なる人気を得ることが出来るんじゃないか?探索者が死ぬことはよくあることだ、誰が疑問に思うんだ?いや、誰も疑問に思わないよな...フハハハハ!!そうだよ、そうすれば!!」
タケルは一人笑い喜んでいる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます