第2話 騒がしい朝食

佐々木家はいつも賑やかだ。


「太郎早く朝ごはん食べちゃいなさい。」


僕は佐々木太郎。


中学2年生だ。


僕は朝食の時間が嫌いだ。


我が家の朝はとにかく騒がしい。


お母さんはずっと大きな声を出している。


僕は静かに朝ごはんを食べたい。


そもそもお母さんがうるさくなるのは、他の家族がだらしないからだ。


今日はいつにも増して騒がしい。


「なんでお便りママに渡さなかったの。」


「忘れてた。」


「もー、どうするのよ。今からお弁当なんて用意できないわよ。」


どうやら妹がお母さんに遠足のお知らせのお便りを見せていなかったようだ。


これは嵐になりそうだ。


「パパ、コーヒーは自分で入れて。よし、大急ぎでお弁当作るわよ。」


妹の出発まであと30分か。


間に合うのかな。


父さんも少しは手伝ってあげればいいのに。


お母さんが大変な時に何もしない父さんを見ているとイライラする。


でも、何もしてないのは僕も同じか。


そろそろ学校行かなきゃ。


「行ってきます。」


騒がしくて、聞こえないか。


「太郎。行ってらっしゃい。今日も一日頑張ってくるのよ。」


「お母さん、お弁当間に合ったの?」


「もちろん。母さんを甘く見るんじゃないよ。」


「そっか。じゃ行ってくるね。」


「お友だちと喧嘩するんじゃないよ。」


もう、そんなガキじゃないよ。


僕は騒がしい朝が嫌いだ。


お母さんがうるさいのも苦手。


でも、お母さんがうるさいのは家族一人一人をよく見てくれているからこそだと思う。


お母さんには感謝している。


恥ずかしくて、面と向かってありがとうとかは言えないけど。


だけど、いつかは伝えるつもりだ。


いつもありがとうって。


さあー。


今日も一日頑張るか。


佐々木さんちは今日も平和だ。

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