第30話(超絶改稿)甘いコーヒーとスポドレ

図書館に来ていたのだが。

とんだ事故で俺は流の頬にキスをしてしまった。

実は以前にも言ったとは思うが。

頬にキスをすると、俺と付き合える、という勝負が掛かっている。

その為に流は酷く動揺していたのだ。


だけど俺は今のはノーカンだと思っている。

だから安心してほしい、と言ったのだが。

そういた直後に今度は流が俺の頬にキスをした。

衝撃だ。


「にしても暑いなオイ」

「大丈夫か?春樹」

「これが大丈夫な様に見えるか?図書館は人が多いから嫌なんだよな」

「まあまあ勉強の為だからね。永山くん」


資料を見ながら俺達はそう会話をする。

その横で無口のまま勉強に黙々と励んでいる流を見る。

流はずっと勉強をしていた。

時折、心理学とかもそうだが勉強をしている。

声を掛けづらいので俺は代わりに陽毬を見てみる。


「何だか今日は夏休みだからかな。子供が多いよね」

「それは確かにな。やけに子供が多いよな」

「.....流ちゃん。すっごい真剣だね」

「ああ。この前の件が影響しているんだろうな」

「それは障害者の方の施設の?」


流は明確に目標が決まったらしいぞ、と陽毬に向く。

陽毬は、!、と浮かべながら笑みを浮かべた。

そして流を見る。

流はそれでも真剣に頑張っていた。


「.....流ちゃんは将来何になるの?」

「社会福祉士だそうだ」

「そうなんだね」

「ああ。社会福祉士になって人を救いたいそうだ」


その言葉に春樹が、良いね。将来が定まっているってのは.....羨ましいなぁ、と後頭部に手を添えて天井を見上げる様な仕草を見せる。

俺はその言葉に春樹を見る。

お前は目標が定まってないのか?、と聞いた。

すると春樹は、そうだな。俺はあまりそう言うの定めるの苦手だしな、と自嘲する様な感じを見せる。


「.....将来なんて定まらない。それが多分青春だろうぜ」

「お前.....珍しく説得力あるな」

「ぶっ飛ばすぞテメェ。まあそれは良いんだがやっぱり青春ってのは定まらないからこそ面白いんだと思うぞ」

「そんなもんかね」


そうそう。

俺らはまだ10代だからな。

だから選択肢はいっぱいあると思ってるぞ、と笑みを浮かべる春樹。


だけど何れは決めないといけないけどな。

その点は頑張っていったら良いじゃないか、と春樹は話す。

俺はその言葉に目線だけずらして、お前はスゲェな、と話す。

春樹は、俺は凄くない。あったり前の事を言っているだけだ、と言葉を発する。

そんな言葉を聞きながら俺は、ふむ、と思う。


「そうだね。まだ10代だもんね。私達」

「そうだな。.....そりゃ何も決まらず30代になったらマズイかもだけどな。それまでに決めれば良いんじゃないか」

「確かにな」


それから俺らは流を見る。

流は、終わった〜!、と顔を上げる。

俺はそんな言葉に、良かったじゃないか、と声を掛ける。


すると流は顔を上げながら俺を見つつ。

そ、そうだね、と言い淀む。

どうやら先程の事は抜けきれてない様だ。


「?.....お前ら何かあったのか?」

「な、何も無かったぞ」

「そ、そうだね。瞬」


俺達は慌てる。

その反応に、怪しいなお前ら、とジト目になる春樹。

だが春樹は直ぐに、まあ良いけどな、と苦笑する。

それから春樹は、言い辛い事もあるだろうしな、と向いてくる。


「さてそれは良いが流ちゃんも終わったみたいだし自販機コーナー行くか?」

「それは確かにな。取り敢えずは飲み物買いに行くか」

「そうだね。私も行きたい」


そして順番に買いに行く事にした。

先ずは俺と陽毬。

それから流と春樹という形になる。

そうしてから先ず俺と陽毬は図書館の外にある自販機の所にやって来る。


「流ちゃんと何があったの?」

「え?.....あ。いや。特に問題は無いぞ.....?」

「そう言う時は怪しいって決まっているからねぇ。君の場合は。ちゃんと話さないとねぇ?」

「は、ははは.....」


俺は苦笑いを浮かべる。

それから陽毬を見た。

陽毬は、ねえ、と切り出してくる。

そして俺を真っ直ぐに見てくる。

俺は、な、何でしょう?、と聞くと。


「.....聞きたく無いんだけど.....瞬は.....流ちゃんが好きなの?」

「は!?.....そ、そんな訳あるか!?」

「いや。流ちゃんの事に関しては一生懸命だからね。.....だから聞いてみたの」


そして甘いコーヒーを買いながら陽毬は俺を見てくる。

俺は、そんな訳無いだろう、と否定しながらスポドレを買う。

すると陽毬は、瞬、と真剣な眼差しになる。

それから俺を真っ直ぐに見据えた。


「瞬。一つ言っておくね。ゲームはゲームでもこのゲームの主役はあくまで私達じゃない。全ては君だから。だからあくまで君の気持ちを教えてほしいから。しっかりして」

「陽毬.....」

「選ばれない可能性も視野に入れているから。.....だから瞬。しっかり考えたら答えを教えてね。私達に」

「.....」


俺は、ああ。その時には必ず、と陽毬を見る。

陽毬は、うん。じゃあ戻ろうか、と俺の手を握る陽毬。

それから飲み物を飲んでから図書館内に戻り春樹と流にバトンタッチした。

そして春樹と流は、んじゃ買ってくるね、と言いながら行く。


「.....永山くんって良い人だよね」

「永山は昔からあんな感じだよ。優しいんだよな」

「.....そっか」

「憧れるよ。正直言ってアイツに」

「優しいもんね」


陽毬は笑みを浮かべる。

そうだ。

もう危険な目に遭わせたくない。

出来ればアイツも流もみんなも.....。


だからこそ鞠をこの問題をとっとと解決しないとな。

解決してみんな幸せにしてやる。

そう考えながら俺は前を見据えた。

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