第29話(超絶改稿)キス.....?

それからの話だが。

鞠は何者かに腹を刺されて病院に運ばれようやく傷害罪などでそのまま逮捕された。

その知らせが届いたのは鞠が刺されてから丁度1週間後。

それは丁度、夏休みであった。


「お兄ちゃんが捕まって。.....そして佐藤さんと出会って.....不思議なもんだね」

「そんなもんだろうな。人生ってのは」

「だけど今会うなんて思わなかったよね。瞬」

「.....そうだな。流」


俺達は近所の図書館に居た。

この場所には流、陽毬、俺、春樹が居る。

春樹がシャーペンの芯を出しながら反応する。

夏休みの宿題をウザく見ながら、だ。


「鞠が捕まって.....そして何か変わるのかな」

「.....正直分からん。何も変わらないかもしれないけどな」

「お前の両親とかはどんな反応なんだ」

「色々と忙しく動いているよ。でも口に揃えて言うのは.....お前は十分に頑張った。関わるな、だそうだ」

「つまり陽毬さんも?」


うん。永山くんの言う通りだね。

ここまで頑張ったね、と言ってから.....私達は自由になったよ、と控えめの笑みを浮かべる陽毬。

俺はそんな姿を見ながらクーラーの方角を見る春樹を見る。

涼みながら、そうか、と返事をする。


「.....まあ良かったんじゃないかな。こんな結果に終わったけど」

「私はそう思うよ。お兄ちゃんは反省してほしい。もう良い加減に」

「拠点とかも解明されるだろうしな。時間の問題だろう」

「全ての流れが明らかに、か。俺も誘拐未遂だったしな。その節は悪い事をしたよ。友人を裏切るなんてな」

「お前のせいじゃないだろ」

「いや。俺のせいだ。俺が根性が無かったからな」


言いながら複雑な顔をする春樹。

俺はそんな春樹の頭をスパーンと叩いた。

そして、エロゲマン。元気ねーぞ、と告げる。

オイオイ女子が居る前で、と春樹は慌てる。

何言ってんだこの変態野郎は?


「お前さ。今更だろそれ」

「いや。女子の前でそれは.....」

「えー。永山くんってずっとエロゲの話していたじゃん」

「そうですね」


まあそうだけどさ。

悔い改めた訳よ、と春樹は力説する。

いや悔い改めるって何をだよ。

コイツにそんな力無いだろ。


「オイ春樹。悔い改めるって何だよ。そんな力ねぇだろ」

「お前は失礼だな。瞬よ」

「ハッハッハ。ちょっとはパワー出たか?」

「ったくお前は良い親友だよ。瞬」


そして苦笑し合ってから。

そのままニコニコしている2人を見る。

すると流も陽毬も、資料持って来ます、と言い出した。

それから立ち上がる。

俺はその言葉に、じゃあ俺も、と言う。


「お前はどうする?春樹」

「涼んでるわ。.....あっついしな」

「んじゃ任せた」

「あいよー」


それから俺達はそのまま資料を探しに行く為に本棚を見る。

そして散策していると。

ねえ、と声がした。


背後を見ると流が居る。

何だ?、と思いながら、どうした。流、と聞くと。

流はモジモジしながら、この前は有難う、と言ってくる。


「.....あー.....気にすんな。その事だったら」

「でも有難うって言っておこうって思ってね。障害者の人達の事を.....心から知れたから」

「それぐらいしか出来ないしな。有難う」

「うん」


そして俺は流を見る。

すると流が、あ。それは置いておいて。良い資料が見つかったんだ、と近付いて見せてくる。

俺は、どれどれ、と言いながら近付くと。

背後から、わーい!、と言いながら走っていた子供が打つかってきた。


「.....!?」

「.....!!!!?」


俺が勢い良く吹っ飛ばされた。

そしてそのまま流の頬にキスをする。

俺達は、!、と思いながら直ぐに離れる。

すると子供が、御免なさい!、と言いながらそのまま謝ってくる。


「い、いや。図書館の中は走らないんだぞ」

「はーい.....御免なさい」

「.....」


子供は去って行く。

何というかとんだ大事故になった。

俺は流を見る。


流は超顔が真っ赤になっており。

本をバサバサと落とした。

そして、あ、う、と言う。


「な、流?」

「.....い、いや。事故だから.....仕方が無いよね」

「そ、そうだな。事故だしな」

「今のはキスのカウントされるの?」

「いや。ノーカンだ。大丈夫」


俺は慌てながら流に言い聞かせる。

流は本を拾いながら、だ、だよね、と笑顔になる。

だけど指先が動いてない。

何度も本を落とす。

完全に不意打ちだった様だ。


「い、いや待て。落ち着け。流」

「お、落ち着いているよ!?あ、あはは」

「.....」

「ど、どうしたの?」

「いや。そんなに動揺するんだなって。何だか嬉しいから」


俺が和かにそう言うと流は、成程、と納得した。

そして、それは嬉しいに決まっているじゃない、と切り出す。

それから俺を見上げてくる流。


そうしてから周りを見渡す。

本棚の所には人は居ないと悟ったのか。

俺の頬にキスをしてき.....た?


「私は貴方が好きだから。だからこれぐらい良いよね」

「馬鹿野郎!!!!?」

「えへへ。好き。改めて。.....ね?瞬」


柔和になる流。

目を細めながら。

こ、この野郎.....ミスでキスをされたからって調子に乗りやがって。

そう思っていると、あったー?、と陽毬の声がした。

俺は、うん。あったよー、と返事をする流を呆然と見ながら。


頬に触れる。

そして心臓の変な感情を感じ取る。

何だこれは.....。

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