第18話(超絶改稿)初心
「.....すまないね。鞠のせいで.....」
「.....いえ。.....俺は大丈夫ですけど。.....でも流は傷付きました。今何をやられているかだけ教えてもらっても良いですか?」
「.....ああ。全て教えるつもりだよ」
陽毬のお父さん。
安川吾郎(やすかわごろう)さんとそう会話をする俺。
吾郎さんは深刻な顔をしていた。
そして静かな怒りに包まれている。
「警察と行政と君達のご家族と連携している。.....だけど主に警察が動くだろうな。弁護士も一応用意させてもらっているよ」
「.....そうなんですね」
「流石に何時も穏やかだが今回の件は私も怒っているよ」
「.....」
「何処で育て方を間違えたのか分からないが人様にこれだけ迷惑を掛けておいてのうのうと生きている事があり得ない。.....何処に居るのか知らないが私は地の果てまで鞠を追うつもりだね」
そうでなければ君達に示しがつかないからね、と吾郎さんは顎に手を添える。
そして手で顔を擦った。
俺はその言葉に流を見る。
流は目線をあちこちにずらしながら落ち着かない様子を見せる。
「大丈夫?流ちゃん」
「.....はい」
「.....何かあったら言ってね。絶対に約束」
「.....分かってます」
「その時には私にも話してくれたまえ。.....口外しないと約束するよ」
それから額を掻く吾郎さん。
俺はその姿を見ながら、取り敢えず彼を早く捕まえたいです、と言葉を発した。
じゃないと落ち着きません、とも。
そんな言葉に吾郎さんは、そうだな、と告げてからまた顎に手を添える。
「.....私は何処で彼を育て間違えたか.....全く」
「お兄ちゃんは元からおかしかったから。多分。お父さんのせいじゃない」
「.....そうは言ってもな」
「私も原因の一つだと思うから。話を聞いてやらなかった分の責任がね」
「それは違うな。陽毬」
俺は、?、と顔を上げる陽毬を見る。
そんな陽毬に対して、お前は充分にやってくれた。だからそんな事を言うな、と告げる。
陽毬は、そうかな。流ちゃんすら救えない女だしね、と向いてくる。
「私は疲れただけです。陽毬さんは何も悪く無い」
「流ちゃん.....」
「流.....」
「私はどうしたら良いか分かりません。でも今は生きようと思います」
流はそう話して俯く。
それから涙を浮かべた。
俺はその姿に眉を顰める。
吾郎さんが、すまない。本当に。謝っても謝りきれないな、と話す。
「ただしもう直ぐ決着がつくと思う。もう耐えられないから」
「吾郎さん.....」
「私の手で捕まえたいが。残念ながら法律的に年齢的に無理だろうから。先ずは捕まえてから君達の前で土下座させる」
「.....」
吾郎さんは言いながら真っ直ぐに俺達を見る。
それから、君達の人生も取り戻す、と固く誓う様な姿を見せる。
俺はその言葉に、ですね、と返事をする。
それから笑みを浮かべた。
「ねえ。そうだ。今日、泊まっていかない?二人共」
「泊まるってのは」
「流ちゃんメインだけど泊まってからお話して遊ばない?」
俺達は、!、と浮かべながら陽毬を見る。
すると流が、ご迷惑をお掛けするよ、と切り出す。
その言葉を発した時に陽毬が動いた。
それから、そんな事ないから、と流の横に腰掛ける。
それから、今日は泊まって、とニコッとした。
「せっかく陽毬が言っている。.....どうかな?」
「じゃあ久しぶりにお泊まり会という事にするか。流」
「そうだね。瞬」
「うんうん。じゃあお母さんが帰って来たら準備しようかな」
「その間に荷物を取ってくるよ」
「瞬。手伝わなくて大丈夫?」
俺はその言葉に首を振る。
そしてそれから俺は流から必要な物を聞いてから持って行く事にする。
家に帰ってから俺は準備して外に出る。
それから鍵を掛けた。
☆
「お帰り。瞬」
「ただいま。陽毬」
「うふふ」
「何だ?嬉しそうな顔して」
いや。色々と流ちゃんから聞けたから嬉しかったの、と話してくる。
俺はその言葉に、!、と浮かべながら、どういう事を話したんだ?、と聞く。
すると陽毬は、内緒。乙女の、とニコッとした。
「いや内緒って。話してくれよ」
「だーめ。内緒。だって乙女同士だからね」
「いやいやお前さん」
「追及禁止ー」
「はいよ。分かった。お前がそこまで言うなら追及しないよ」
俺は苦笑いでそのまま追及を諦めた。
それから俺は玄関から上がる。
すると何故か赤面した流がリビングのソファに腰掛けていた。
俺は、?.....流。どうした?、と聞くと。
流はこう答えた。
「な、何でもない」
という感じに。
俺はその言葉にますます、???、を浮かべながら流を見る。
背後でニヤニヤする陽毬。
何かあったのだろうか。
「流ちゃんは全然初心だよ。瞬」
「う、初心!?」
「初心だよ。あはは。流ちゃんとっても可愛い。私.....やっぱり流ちゃん好きだな」
流は赤面したまま苦笑い。
何をされたのか分からないが取り敢えず碌でもない事をされたな、と思いながら苦笑する。
それから俺は陽毬を見る。
陽毬はニコニコしながら俺達を見ていた。
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