第17話(超絶改稿)自殺未遂

鞠が電話してきた。

それもひまりの携帯の電話番号を覚えていた様で陽毬に、である。

俺達はまだ鞠を警戒しなければならないのだろう。

思いながら俺と流は複雑な思いで家に帰る。


「.....鞠しつこいね」

「正直言ってここまで粘着テープの様にしつこいとはな。.....考えが及ばなかった」

「.....私、性病になって良かったかも」

「何でだ?」

「鞠が私にした事を証明出来ると思うから」


言いながら苦笑する流。

俺はその姿を見ながら眉を顰める。

それから見ていると、ゴメンね。こんな汚い女で、と告げてくる。

その言葉に、お前がわざと感染したなら話は別だ.....だがこれが鞠が無理矢理やったとなったら怒りしかない、と答える。


「最低だね。私は」

「.....最低じゃない」

「そうかな。.....何か同じの様に思えた」

「.....落ち着け。流」


俺は流にそう言い聞かせる。

すると流は、うん、とだけ話してから鬱っぽく二階に上がった。

俺はその姿に、大丈夫だろうか、と思ったのだが。


それが運の尽きだった。

大丈夫ではなかったのだ。

流は.....首吊り自殺を図った。



それは30分後の事だった。

勉強しているとガタンと音がしたのだ。

俺はリビングから出て二階に上がってから音の箇所を確認した。

すると流が椅子に乗って自殺をしようとしていたのだ。


「お前!!!!!何をしている!」


俺は慌ててからそのまま流を止める。

それから紐を取り上げてから流の手を握る。

まさかの事態だった。

俺は流に叱責する。

何をしているんだ!!!!!、と。


「いや。疲れていたから」

「.....疲れていたから?.....この馬鹿野郎が!」

「.....お父さんの所に行ったら気も楽になるかなって」

「お前な.....」


見ると流れの目はぼーっとしていた。

俺は歯を食いしばる。

それから流の頬を両手で挟む。

お前は!死ぬな!、と告げながら。


「.....でも瞬にも迷惑を掛けたしね。.....陽毬さんが居るから大丈夫だって」

「大丈夫だ!?何言ってんだ!」

「.....だいぶ迷惑を掛けているから死んだほうがマシだと思う」

「.....」


俺は額に手を添えた。

そして立ち上がる。

それから、行くぞ、と声を掛ける。

え?、と流は反応する。

俺はその言葉にも構わずに陽毬に電話をかける。


「陽毬。今良いか」

『え?どうしたの?』

「.....流がその。死のうとした」

『.....は.....?』

「.....お前のお父さん.....確かカウンセラーだったよな?」

『た、確かにそうだけど.....』


んじゃ今から行くから、と告げてから俺は流を見る。

カウンセラーに行くぞ、と言いながら。

すると流は、話してどうなるの?、と聞いてくる。

俺は唇を噛む。


「良いから。立って。俺だけじゃもう対応出来ない」

「私は。良いよ。瞬」

「.....良くない」

「私は.....汚い女の子だしね」

「汚い女の子だから?だから何だ。それで生きていってはならないとか?そんなの無いからな。立ち上がれ」

「でも人にこれ以上迷惑を掛けるのは」


俺は膝を曲げてから流に目線を合わせる。

それから告げた。

流.....親父さんが待っているかもしれない。

だけどな本当にこれが親父さんの望んだ事か?、と。


「.....私は望んでいると思っている」

「.....俺は望んで無いって思ってる。.....お前を待っているとは思えない」

「瞬。もう無理だよ。.....私達は」

「.....無理じゃ無い。今回のこの自殺未遂も鞠からの電話のせいで一時的だと思ってる。だけど治療は必要だと思う。.....だから俺に付き合ってくれ」

「.....私は.....」


流は涙を拭う。

それから立ち上がった。

そして俺を見てくる。

瞬。私は死んだほうがマシだと思う。.....前からずっと思っていた、と告げてきた。


「嘘を吐くな。.....お前は本当に嘘が下手だな。.....生きたいんだろ」

「嘘じゃない.....」

「お前が嘘を吐く時は必ず手が震える。そんな事も分からないのか」

「.....瞬.....」

「これでもまだ言うならはっ倒す」

「.....」


流は涙を浮かべた。

そして俺に縋って来る。

死にたい訳じゃないけどでももう無理なんだよ、と言いながら。

私は汚くなったから、とも。

だから死ぬべきだ、と。


「俺はそうは思わない」

「他の男にエッチな事をしたのに?.....あり得ないよ」

「.....俺はお前を信じている。そして周りもお前を信じている」


ハッとする様な感じを浮かべる流。

それから俺を見てくる。

俺はその姿に柔和になった。

そして、恋人である前に。.....お前は俺の義妹だから、と告げる。

それから抱きしめた。


「頼む。死ぬ真似だけはしないでくれ」

「.....瞬.....」

「.....死ぬぐらいなら俺が死ぬ。.....だからお前は生きろ」

「変わらずだね。.....本当に」


確かに治療を受ける必要はあるかもね。

と言いながら俺の胸に両手を添えてから離れた。

それから、分かった、と告げて、私、生きるよ、とも言葉を発する。


「.....有難う。瞬」

「俺はカウンセラーじゃないから。.....有難うと言われる筋合いはない」

「.....そういう所が素直じゃない」

「だな」


そして俺達は準備をしてから陽毬の家に向かう。

それからインターフォンを押すと。

数秒経たずに陽毬が飛び出して来た。

そうしてから流を固く抱きしめる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る