第17話(超絶改稿)自殺未遂
鞠が電話してきた。
それもひまりの携帯の電話番号を覚えていた様で陽毬に、である。
俺達はまだ鞠を警戒しなければならないのだろう。
思いながら俺と流は複雑な思いで家に帰る。
「.....鞠しつこいね」
「正直言ってここまで粘着テープの様にしつこいとはな。.....考えが及ばなかった」
「.....私、性病になって良かったかも」
「何でだ?」
「鞠が私にした事を証明出来ると思うから」
言いながら苦笑する流。
俺はその姿を見ながら眉を顰める。
それから見ていると、ゴメンね。こんな汚い女で、と告げてくる。
その言葉に、お前がわざと感染したなら話は別だ.....だがこれが鞠が無理矢理やったとなったら怒りしかない、と答える。
「最低だね。私は」
「.....最低じゃない」
「そうかな。.....何か同じの様に思えた」
「.....落ち着け。流」
俺は流にそう言い聞かせる。
すると流は、うん、とだけ話してから鬱っぽく二階に上がった。
俺はその姿に、大丈夫だろうか、と思ったのだが。
それが運の尽きだった。
大丈夫ではなかったのだ。
流は.....首吊り自殺を図った。
☆
それは30分後の事だった。
勉強しているとガタンと音がしたのだ。
俺はリビングから出て二階に上がってから音の箇所を確認した。
すると流が椅子に乗って自殺をしようとしていたのだ。
「お前!!!!!何をしている!」
俺は慌ててからそのまま流を止める。
それから紐を取り上げてから流の手を握る。
まさかの事態だった。
俺は流に叱責する。
何をしているんだ!!!!!、と。
「いや。疲れていたから」
「.....疲れていたから?.....この馬鹿野郎が!」
「.....お父さんの所に行ったら気も楽になるかなって」
「お前な.....」
見ると流れの目はぼーっとしていた。
俺は歯を食いしばる。
それから流の頬を両手で挟む。
お前は!死ぬな!、と告げながら。
「.....でも瞬にも迷惑を掛けたしね。.....陽毬さんが居るから大丈夫だって」
「大丈夫だ!?何言ってんだ!」
「.....だいぶ迷惑を掛けているから死んだほうがマシだと思う」
「.....」
俺は額に手を添えた。
そして立ち上がる。
それから、行くぞ、と声を掛ける。
え?、と流は反応する。
俺はその言葉にも構わずに陽毬に電話をかける。
「陽毬。今良いか」
『え?どうしたの?』
「.....流がその。死のうとした」
『.....は.....?』
「.....お前のお父さん.....確かカウンセラーだったよな?」
『た、確かにそうだけど.....』
んじゃ今から行くから、と告げてから俺は流を見る。
カウンセラーに行くぞ、と言いながら。
すると流は、話してどうなるの?、と聞いてくる。
俺は唇を噛む。
「良いから。立って。俺だけじゃもう対応出来ない」
「私は。良いよ。瞬」
「.....良くない」
「私は.....汚い女の子だしね」
「汚い女の子だから?だから何だ。それで生きていってはならないとか?そんなの無いからな。立ち上がれ」
「でも人にこれ以上迷惑を掛けるのは」
俺は膝を曲げてから流に目線を合わせる。
それから告げた。
流.....親父さんが待っているかもしれない。
だけどな本当にこれが親父さんの望んだ事か?、と。
「.....私は望んでいると思っている」
「.....俺は望んで無いって思ってる。.....お前を待っているとは思えない」
「瞬。もう無理だよ。.....私達は」
「.....無理じゃ無い。今回のこの自殺未遂も鞠からの電話のせいで一時的だと思ってる。だけど治療は必要だと思う。.....だから俺に付き合ってくれ」
「.....私は.....」
流は涙を拭う。
それから立ち上がった。
そして俺を見てくる。
瞬。私は死んだほうがマシだと思う。.....前からずっと思っていた、と告げてきた。
「嘘を吐くな。.....お前は本当に嘘が下手だな。.....生きたいんだろ」
「嘘じゃない.....」
「お前が嘘を吐く時は必ず手が震える。そんな事も分からないのか」
「.....瞬.....」
「これでもまだ言うならはっ倒す」
「.....」
流は涙を浮かべた。
そして俺に縋って来る。
死にたい訳じゃないけどでももう無理なんだよ、と言いながら。
私は汚くなったから、とも。
だから死ぬべきだ、と。
「俺はそうは思わない」
「他の男にエッチな事をしたのに?.....あり得ないよ」
「.....俺はお前を信じている。そして周りもお前を信じている」
ハッとする様な感じを浮かべる流。
それから俺を見てくる。
俺はその姿に柔和になった。
そして、恋人である前に。.....お前は俺の義妹だから、と告げる。
それから抱きしめた。
「頼む。死ぬ真似だけはしないでくれ」
「.....瞬.....」
「.....死ぬぐらいなら俺が死ぬ。.....だからお前は生きろ」
「変わらずだね。.....本当に」
確かに治療を受ける必要はあるかもね。
と言いながら俺の胸に両手を添えてから離れた。
それから、分かった、と告げて、私、生きるよ、とも言葉を発する。
「.....有難う。瞬」
「俺はカウンセラーじゃないから。.....有難うと言われる筋合いはない」
「.....そういう所が素直じゃない」
「だな」
そして俺達は準備をしてから陽毬の家に向かう。
それからインターフォンを押すと。
数秒経たずに陽毬が飛び出して来た。
そうしてから流を固く抱きしめる。
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