第10話(超絶改稿)再生していく関係

この世界は歪だ。

だけどその中にも希望はあると思う。

でも今はその希望に縋るのが難しいと思う。

だけど俺達はきっと希望を掴み取れる筈と信じている。


「瞬。.....有難う。.....本当に感謝だけど.....無理はしてないよね」

「無理はしてない。俺はお前が好きだ」

「.....有難いね。私は本当に幸せ者だと思える」


そんな事を言いながら流は涙を浮かべる。

そして俺達は歩いて帰っていると。

目の前の家の前。

そこに陽毬が立っていた。

俺達を見てから、!、と反応する。


「.....?.....陽毬。どうした?」

「いや。.....今日の事。有難うって思って。2人に」

「ああ。不良に絡まれた事か。.....気にすんなよ。.....そういうのもあると思うし」

「で。今日の事.....お兄ちゃんを追及しようと思ってお兄ちゃんに電話を掛けたんだけど.....というか、現在この電話は使われておりません、という感じになってね」


そしたらお兄ちゃんの住んでいるアパートも、もぬけのカラだったみたい、と俺に向いてくる。

俺達は、逃げたのか?、という感じで反応をする。

すると陽毬は、夜逃げだね、と吐き捨てる様に告げてきた。

俺は顎に手を添える。


「ヤバいって思って逃げたんだろうけど.....確実に捕まえる。.....だって流ちゃんにメチャクチャな事を.....」

「私の事は気にしなくて良いです。.....だってこれは私がミスを犯したという事ですから。今は陽毬さん。貴方が貴方自身の事を考えてほしいです」

「.....相変わらずだね。流ちゃんは。.....確かにそうだけど。.....でも流ちゃんの事が心から心配だから。.....私の妹の様な存在であり。愛おしいから」


言いながら陽毬は流を見る。

それから笑みを浮かべた。

俺はその姿を見ながら流を見る。

流は複雑な顔をしながら悲しげな顔をしていた。

御免なさい、と言いながら。


「今回の流ちゃんのやった事は本当に誰にも利を生まないと思える。だけど私の為にやってくれたっていうのは.....本当に感謝しかないよ。流ちゃん」

「.....私は本当に最低でした。相談の1つもしないままでしたから。.....この裏切りは心に深く刻んでから納得出来る動きを出来ればなって思います」

「流ちゃん。そんなに深くは.....思わなくて良いけど」


そうだね。

流ちゃんだからこそだよねそう深く思ってくれるの。

と言いながら笑みを浮かべる陽毬。

俺はそんな姿に、だな、と答えながら陽毬を見た。

陽毬は、だからこそだよ。捕まえてやるって。お兄ちゃんをね、と陽毬は眉を顰めてから前を見る。


「確かにな.....。絶対に捕まえないとな」

「そうだね。断罪しないと気が済まない」

「.....俺も鞠は絶対に許せないって思っている。.....だから復讐したいって思う。.....ぶっ殺したいほど腹立つから」

「.....そういう思いを抱かさせたのは私達の責任でもあるから。.....ゴメンね。瞬」


頭を下げる陽毬。

俺はその事に慌てながら、お前が頭を下げる必要ないぞ、と話すが。

陽毬は顔を上げながら、いや。私も原因の1つだと思う。結局は家族だから、と申し訳なさそうな感じで言ってくる。

そんな言葉に流は、陽毬さん。私からは何も言えませんが.....でもこれだけは言わせてほしいです。陽毬さんもご家族さんも悪くないです、と歯を食いしばった。


「.....流ちゃん.....」

「半分は私が悪いんです。半分は鞠ですが.....だからそんなに悩まないで下さい」

「.....流.....」


俺は呟きながら苦笑いを浮かべる流を見る。

するといきなり陽毬は駆け出してから流を抱き締めた。

俺は、!、と思いながら陽毬を見るが。

最も驚いて慌てていたのは流だった。

陽毬さん.....私には、と言うが陽毬は、気にしない、と言いながら頭を撫でる。


「ゴメンね。こんな目に遭わせて」

「.....陽毬さん.....」

「私がもうちょっと根性があったらね.....こんな目に遭わなかったよね.....勇気があったらね.....こんな目にならなかったよね」

「.....」


流は目を潤ませた。

そして.....そのまま泣き始める。

俺はその姿を見ながら陽毬を見る。

陽毬は、よく頑張ったね。私が言える立場じゃないけど、と優しく頭を撫でる。


「この先.....何かあったら直ぐに頼って私を。金銭面でも何でも良いから。お金が足りないとかなったら」

「.....はい」

「親同士がどう解決するか、だな」

「そうだね.....どうなるか分からないけど少しだけでも進展がある事を祈りたい」


陽毬から離れる流。

そして、陽毬さん。家の中に入りませんか、と流は言う。

陽毬はその言葉に、うん。勿論、と柔和になる。

俺達は頷きながら玄関の鍵を開けた。

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