第5話(超改稿)絶望に落ちる時

「何をしに.....来た」


そんな言葉を投げ掛けると流は冷静に、うん。ちょっと用事があって、と答えた。

俺は目線を動かしながら、?、と反応する。

すると流は、その。現文の先生が呼んでるから、と答えた。

そんな呼び出しあったか?俺に。

思いながらも、ああ、と応えてみる。


「.....お願い」

「呼び出しなら行くしかないな」

「そうだね.....」


俺は複雑な顔のまま立ち上がると背後から、待って、と声がした。

背後を見ると陽毬が立っている。

俺は、どうした?、と聞くと。

陽毬は眉を顰めながら、えっと、と言うが。

だがその言葉を続ける様にこう話した。


「ゴメン。.....やっぱりいいや」

「.....?」


俺達に何か言いたそうだったが陽毬は黙る。

そして戻って行く陽毬を見送り。

俺達は移動してから職員室に向かう。

するとその途中で、瞬、と立ち止まった様な音がして声がした。


俺は首を傾げて背後を見る。

そうすると、えっと。私が疚しい事をして無いかって前に言ってたよね、と言ってきた.....ん?今?


「.....そうだが。だがお前は疾しい事をして無いだろ。何だ?」

「うん。疾しい.....はしてないけど。別れたいんだ」

「え?い、いきなり?」

「そうだね。その訳は今から話す」


御免なさい.....としか言いようが無いけど、私は浮気した、と正直に話した。

俺は、?!、と思いながら流を見る。

マジかコイツ、と思うが。

次にこう言ってきた。


「陽毬さんは今は無いけどお兄さんに虐待されている」

「.....それがどうしたんだ.....いや。ってかちょっと待て。それ本当か」

「うん。だから私はお兄さんの虐待を逸らす為に私が.....私が」

「.....?」


最近は瞬とキスしなかったよね。

あれ.....私が性病に感染しているから、と告げてきた。

俺は愕然としながら、は?、と言葉を発する。


頭が真っ白になる。

何も考えれなくなった。

ま、待ってくれ。


「私は陽毬さんを救いたい一心だったから」

「そんな馬鹿な.....」

「.....私はありのままを話している。.....私は.....皮膚科とかにも行っている」

「.....!」


陽毬は知っているのかこれ。

俺は思いながら頭が真っ白のまま流を見る。

流は、陽毬さんも徐々に気付き始めている。だからこそ私は今全てを話すべきだと思った、と俺を見てくる流。


嫌々ながらも仕方が無くやっていたとも話した。

じゃなければ暴力を振るわれる、とも。

直接奉仕はしてない。だから貞操は守れているとは思うけど、とも。


「.....信じれらないんだが」

「身体のあちこちに発疹がある。.....性病症状が出てる。だからキスは一切出来ないし.....治らないと思う限りは貴方に近付けない。それもあって別れたかった」

「.....」

「あくまで瞬が嫌いになった訳じゃないの。それだけは知っておいて」

「.....流。そのドクズから離れた方が良いと思う。.....俺としては。今直ぐに殺してやりたい気分だが」

「このやり方はマズイかなって思うけどね。.....警察にも言った方が良いと思う。でもバレたくなかった。そして家族を危険に晒すと脅されていた。そして貴方も」


あり得なさすぎる。

頭がついていかない。

コイツは、と思う。

それから流を見てみる。


「.....別れろ。それはマズイ。病院にも行くし.....警察にも訴えよう」

「.....そうだね。でも.....」

「でも、って何だ。マズイって。でも、とかじゃないぞ.....陽毬の親御さんとか俺達の親は知っているのかこれ」

「つい先だってに全部知られた。ある一定進んだらそのうち瞬にも話されると思う。水面下で全て動いてるよ」

「.....!」


そもそも陽毬さんのお兄さんは昔から凶暴だったけどそれが増したみたいな感じがあるんだ、と苦笑気味に話す流。

正確には半年ぐらい前から暴力が始まったみたいだけど、とも。

今、無理矢理奉仕されているのを知って怒ってるんだ、と話した。


「.....」


駄目だな頭が追いつかない。

と同時にチャイムが鳴り響く。

俺は、しまった!、と思いながら愕然とするが。

そんなものすら足が重い。


身が重すぎる。


どうしたら良いのだろうかこれ。

思いながら俺は歩き出す。

涙が自然と浮かんできたのだが。



「.....陽毬」

「うん?どうしたの?瞬」

「.....お前さ。.....暴力を受けているのかお兄さんに」

「.....え.....何でそれ.....」


用事の為に職員室に行ってから戻って来た陽毬に聞く。

陽毬は青ざめながら反応する。

俺は、嘘じゃなかったんだな、と思いながら、全部流から聞いた、と説明する。

陽毬はビックリしながら俺を見てくる。


「.....何で流ちゃんが?.....私が暴行を受けているのは警察に言った.....けど」

「.....流は浮気じゃなかった。だけど浮気とも言える。.....お前を救う為に性奉仕をしていた」

「ま、まさか.....嘘.....」

「全てはお前を救う為に、だ」

「そ.....んな.....」


涙を流して泣き始める陽毬。

俺はその姿に周りを見る。

周りも何事かと反応している。


俺はその姿に、こっちだ、と陽毬を連れて行く。

それから陽毬を見る。

陽毬は、御免なさい、と泣きじゃくる。

その姿を見ながら複雑な顔をした。


「.....お兄ちゃんが暴力を振い始めたの.....就職が上手くいかなかったからなんだ.....ゴメン。でもこんな事になっているなんて思わなかった」

「.....そうだな.....」

「どうしたら良いの.....」


陽毬は号泣する。

俺はその姿を見つつ静かな怒りを沸かせる。

それから、沸騰する胸の中。どうしたものか、と思い始めた。

どう復讐するべきか、と。

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