第3話(超改稿)堕ちゆく世界

どうあれ義妹と義兄の関係だ。

だからこれが本気で浮気となればキツいものがある。

俺は思いながら自室の掃除をする。

それから本棚に本を戻したりしたりする。

気晴らしの片付けだが全く気が晴れないのだが。


「.....正直アイツは本当に浮気したのかな.....」


根本は良い奴なのだ。

だからあり得ないと思う。

そんな事を呟きながら俺は目の前のラノベに目が入ったので読んでみる。


そのラノべは買ってからビニールに梱包されたまま埃を被るぐらいまで放置されていたが。

中を読んでみると浮気とNTRの話だった。


有り得ない事ばかりが綴られているが。

今がこのラノベみたいな状況だしな。

何とも言えなくなったな.....。


「ったく。何にせよさっさと片さないとな」


その様な事を言った癖にまだラノベを読んでいるといきなり俺のスマホに電話が掛かってきた。

俺はハッとして電話に出る。

その電話主は陽毬だった。

俺は、もしもし。陽毬。どうしたんだ、と聞いてみる。


『うん。身体をちゃんと暖めたかなって思って。そして家に着いたかなって』

「お前も大概心配性だよな。.....大丈夫だ。暖めたぞ身体は」

『心配症になるぐらいが一番だからね。こんな事で本当に風邪引かない様にね』

「ああ。また明日会おうな。学校で」


すると陽毬は、流ちゃん今.....居ないよね?、と確認してくる。

俺はその言葉に、今は自室だ、と答える。

そうしていると陽毬は、そっか、と言ってくる。

貴方に用事があったんだよね、とも。


『その。流ちゃんは浮気しているかも』

「.....!.....それは何故そう思う?」

『.....鞠が。私のお兄ちゃんの部屋を片付けで見たんだけど流ちゃんが一緒にお兄ちゃんと撮っている写真が出てきてね.....』

「.....マジか.....」

『何かが起こってるよ。多分.....』


私も.....ちょっとその、と言い掛けて飲み込む感じの言葉を言う。

俺はその言葉に、?、を浮かべて反応する。

すると陽毬はハッとした様な感じで、な、何でもない、と言う。

その言葉に、お、おう、と返事をした俺。


『あくまで、もしかしたら、の話だけど.....でもまあお兄ちゃんだから』

「.....」

『.....瞬。大丈夫?』

「.....大丈夫だ。.....死んでないから」


そっか、と頷いた様に反応をした陽毬。

俺はその言葉に、ああ、と反応した。

それから少しだけ沈黙になる。

すると陽毬が口を開いた。


『ねえ。私って要らない子かな』

「は?それはどういう意味だ」

『.....あ。いや。何でもない。.....と、取り敢えずは様子見だね』

「ああ。そうだな。.....うん」


すると陽毬が、じゃあまたね。用事があるから、と話す。

俺は、ああ。じゃあな、と言葉を発する。

その言葉に、うん。じゃあまた明日。おやすみね、と言って電話が切れた。

それを確認してから俺は伸びをする。

そしてドアを開けてから表に出る。


「取り敢えず水でも飲むか」


そんな事を呟きながらリビングに入るとそこに.....流が居た。

俺はその顔に一瞬だけ眉を顰めたが。

直ぐに気を取り戻す。

そういうのは今はしないつもりだったから。


「流。大丈夫か」

「?.....うん。大丈夫だよ?」

「.....自室に居たんじゃなのか?」

「あ。ちょっと用事があって降りて来たの」

「そうなんだな」


何かしていたのだろうか、と思いながら俺は警戒しつつコップを取り出して飲み物を飲んだ。

すると、ねえ。瞬、と声がした。


顔を上げるとそこに迫って来た流の顔がある。

何だコイツは、と思いながら見ていると.....複雑な顔をした。

そしてこう話す。


「.....陽毬さんと何を話していたのかな」

「.....え.....!?」

「陽毬さんだよね。今話していたの」

「.....知っていたのか?」

「まあ私は地獄耳だからね」

「.....」


用事があったからちょっとしか聞いてないけど、と苦笑する流。

俺はその言葉に、まあ色々だな。テストの事とか話していた、と取り繕う。

すると流はその言葉に、そうなんだ、と明るくなった。

単純なもんだ、とは思えるが。

だけど良かった。


「.....だからあまり気にすることは無いかな」

「うん。分かった」

「.....」


正直言って、どうなるか、だが。

考えながら俺は流を見る。

そして飲み物を飲んだカップを置く。

最悪の事態を想定しなくてはならないだろう。

思っていると流が切り出した。


「私は大丈夫だからね」


と笑顔で。

何が大丈夫なのか分からなかったが。

後に知る事になる。

この呟きの内容を、であるが。

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