第2話(超改稿)否定の想い
義妹が浮気した、とは実際信じたくは無い。
だから正直言って、本当に浮気した、のか見定めてみようと思う。
陽毬の提案でそうする事になった。
まあでも丁度良かった気がする。
それから全てを判断したい気がするしな。
9割近く決定だとしても。
あと1割に賭けたい。
「.....ただいま」
俺は大雨の中で雨に打たれない様に傘を借りた。
30分ぐらい陽毬と話してからようやっと足が動いて歩ける様になったので重い足を進めながら家に帰り着く。
そして顔を上げると、瞬、お帰り、と声が。
俺はその顔を見た。
そこには微笑みを浮かべている流が居る。
俺はあくまで平穏を装う為に柔和に返事をする。
何というか色々と限界に近いが。
「流。ただいま」
「んもー。何処に行ってたの?心配したよ」
「.....ああ。陽毬の家だな。すまない」
「陽毬さんの家?何の用事で?」
「まあちょっと用事があってな」
正直浮気はしてないと思いたいぐらいの笑顔だ。
思いながら俺は流を見る。
流は、その。食べるか分からなかったけど美味しいお店のケーキを買ったよ。おやつ用意しているからね、とまた笑顔で言ってくる。
その姿に、ああ、と返事をしながらそのまま鞄を置く。
そして制服を脱いでから洗濯機の中に入れてリビングに戻ってみる。
するとコーヒーの良い香りがしてきた。
またアイツが豆から挽いたんだな、と思うコーヒーの香りが。
「お前って本当に豆から挽くの好きだよな。コーヒーを」
「そうだねぇ。これはこだわりだからかな。大好きだよ」
「.....そうか」
俺はそんな返事をしながら椅子に腰掛けた。
それから鼻歌混じりでコーヒーを淹れる流を見る。
今日もまた.....山子さんと親父は遅くなる。
だから俺達だけになるが。
何というか今日は親父たちが居て欲しかった感じはする。
「はい。どうぞ」
「.....ああ。すまないな」
そんなやり取りをしながら俺はコーヒーを受け取る。
ミルクが入っているコーヒーだ。
砂糖は入って無い。
これは俺好みの味付けとなっている。
俺はそのコーヒーの液面を見てから対面に腰掛ける流を見る。
「これ美味しいケーキなんだって。友達が言っていた」
「.....そうなんだな」
「友達.....結構グルメだから」
それが本当に友達かどうかは定かでは無いが。
思いながら俺は眉を顰めるが。
直ぐにそれをするのを止めてからケーキを食べる。
いかんな。もろに複雑な顔になる。
それも勝手に、だ。
流を見る。
流は笑みを浮かべてモグモグと効果音でも出そうな感じで食べていた。
「美味しい!」
これ美味しい!、と言いながら。
とても可愛らしい笑顔で癒される.....が。
今は悪魔な顔にしか見えない。
どうしたものか、と思う。
俺は考えてハッとしてからそのまま首を振る。
「そうだ。流。ケーキはどんなのが好きなんだ?」
「私はショートケーキだねぇ。今食べているし」
「.....そうなんだな。俺はチョコケーキかな」
「そう?でもチョコケーキも美味しいよねぇ」
「.....そうだな」
それからケーキを食べてみる。
チョコケーキを買って来てくれた。
それを食べるが確かに美味い、と思う。
このお店は出来たばかりの様だが。
「所で瞬」
「.....何だ?」
「何か悩んでいるのかな?」
「.....悩んでいる?.....俺が?」
正直流の事で悩んでいるとは言えない。
今は様子を見るつもりなので、だ。
まだはっきりした事は言えないしな。
思いながら適当な言葉を取り繕ってから回答した。
「学校で小テストがあるんだ。それで悩んでいるんだよな」
「ああ。そうなんだね」
「お前の所でもないか?プチっていうか.....その。小テストみたいなの」
「確かにあるかもしれないね。今は無いけど.....」
それから苦笑する流。
俺はその姿を見ながら、そうか、と答える。
でも小テストって難しいよね案外、と言ってくる流。
言葉に俺は、そうだな、と何とか笑みを浮かべながら答える。
「小テストいつなの?」
「来週だな。.....数学のテストだな」
「そうなんだ。頑張ってね」
「.....もう6月だしな。.....早いもんだよな時間経つのって」
「そうだねぇ確かに早いよね」
言いながら顎に手を添えて、うんうん、とニコッとして頷く流。
俺はそんな姿を見つつ少しだけ笑みを浮かべて俯く。
はっきりして全てを見据えなければ、と思える考えが心にあった。
そうしなければ俺の身体が保たないかもしれない。
「そういえば.....お前のクラス.....特進で土曜授業があるんだよな?今度」
「そうだね。面倒臭いけどね」
「.....そうか」
何というかこうして世間話を出しているが.....しかし特進の授業も大変だな。
思いながら俺は考えてみる。
俺のクラスは正直言って特進とかでは無いのでよく分からんが。
それから流を見る。
そして俺は釘を刺す様に言った。
「勉強でうつつを抜かすなよ」
「?.....うつつ?」
「疾しい事をするなよって意味だ。.....俺以外に浮気とかな」
「.....それは無いよ。瞬」
俺はその言葉に真っ直ぐに流を見る。
だと良いがな、と思える。
流はその姿に柔和に、?、を浮かべていた。
俺はそんな姿に目線だけ動かしながら。
そのままケーキを食べた。
本当にそうだったら良いのだが。
そう考えつつ。
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