(完結)彼女は義妹ですがNTRたみたいです。なので俺は真相を確かめる事にしたのだが.....?

アキノリ@pokkey11.1

第一章 最悪の世界と.....?

地獄の時間の流れと陽の当たった時

第1話 3つの心

この世の地獄というものを経験する奴はそんなに居ないと思う。

当たり前だが人間というのは地獄というものを見る若しくは考えてしまうと精神が壊れてしまうのだ。

だから地獄というものを考えたり見たりはしないと思う。

通常はそれが当たり前だと思う。

大体は.....だが。


だがその中で俺。

星空瞬(ほしぞらしゅん)は地獄を見てしまった。

何を見たかと言えば付き合っている筈の義妹の浮気である。

本当に地獄と認識としか出来ない。

俺とは違う男と一緒に。


「.....」


星空流(ほしぞらながれ)。

義妹である少女。

だが俺の彼女である。


前髪を1箇所だけ結っている茶髪のボブで天使の様な存在。

成績優秀であり全てが優秀、欠陥など一つも無い筈だったのだが。

あくまで今日までは、だ。


俺自身が流の行動がおかしいとは思い始めてはいたんだ。

だけど見て見ぬふりをしていた。

毎回毎回。


顔立ちはそこそこである凡人の俺だ。

まあ浮気されてもおかしくは無いとは思うが。

成績もそこそこな人間だしな。


まあでもそれがあっても本当に浮気するとは思わんだろ。

流の気持ちを満足させようと常に流を中心に動いていたのだが。

この様な結果になり残念としか言いようが無い。

俺は考えながら目の前を見る。


因みにその流に何があったのか。

俺が浮気をしている姿を見た感じである。


それもホテルに連れて行かれる様に。

誰か分からないが男と一緒に。

やれやれ.....最悪だ。


「最悪の気分だな.....」


目の前の義妹を追い掛けたのが運の尽きだったな。

義妹がずっと怪しい行動をしているとの情報を掴んで、だ。

それがまさか浮気だとは思わなかった。

思いたくなかったのだ。


何かを受け渡ししてから歩いて行ったのだが。

ホテルまで行ったのならもう浮気かな。

確定かもしれない。


雨が降ってきた。

俺は踵を返して帰宅する事にする。

それからそのまま歩いていると土砂降りになってきた。

俺はバシャバシャと水溜りを蹴飛ばす様な。

水をかき分ける様に歩く。


「.....クソッタレ」


そんな事を呟きつつ目の前のゴミ箱を蹴っ飛ばす。

そしてゴミを拾い集めて収納した。

哀れすぎるし何をしているんだ俺は。


俺自身もバカなのか?

いや。

バカになってしまったか。


「本当に何を.....しているんだろうか」


そのままゴミを拾い集め終わる。

もう既に雨でビショビショの俺は.....ゴミを汚いとも思わなかった。

ゴミを拾い集め終わって俺はゴミ箱を蹴飛ばした元の位置に戻す。

そのまま早足になっていると流からメッセージがくる。

それはこんなメッセージだった。


(今学校の用事で学校に居るから少しだけ帰りが遅くなる.....ゴメン)とメッセージが記載されていた。

あくまで浮気した事を認めないつもりかな。

スマホも濡れる中、俺は頭をガリガリ掻いて帰宅しているとこんな声がした。

ね、ねえ、という感じで、であるが。


「ビシャビシャだよ!どうしたの!?瞬!」

「.....陽毬.....」

「そんな.....風邪ひいちゃう」


傘を差してビニール袋を持っている。

俺と流の幼馴染の安川陽毬(やすかわひまり)が居た。

太陽型の髪留めが特徴的である肩までの黒髪。

そして特徴的な笑みの美少女。

スーパーからでも帰宅しているのだろうか。


俺は濡れながら、ああ。すまないな。ちょっと用事があってな、と説明する。

陽毬は、そんなの.....雨に濡れたら最悪の気分になっちゃうよ.....、と悲しげな顔をしてから傘を傾けてくる。

そして満面の太陽の様な笑顔になる陽毬。


「訳を聞くよ。私の家に来て」

「いや。いいよ。帰る」

「風邪ひくって!」

「分かったよ.....怒るなって」


俺は額を掻く。

風邪を引いたらヤバい、か。

でも本当に風邪でも引いてしまえば良いのに。

肺炎とかで死んでしまいたい。


そして俺はそのまま陽毬の家に向かう事になった。

それからシャワーを借りつつ考え込み。

そのまま風呂場から表に出た。

服を借りる。



「それでは。ごほんごほん。.....何があったの?」

「怒らないか」

「うん。当たり前だよ」


赤い表紙の本を読んでいた陽毬は本を横に置く。

それから飼い猫のチョコを撫でながら俺をニコニコしながら見てきた。

チョコは茶色の毛並みの猫である。

ちょっと白髪が多い年寄りの猫だが。

それを見てから再度、陽毬を見る。


「実はな。流に浮気されたみたいなんだ」

「え!?」

「それで元気が無かったんだよな。俺は」

「そうなんだね。.....大変だったね」


陽毬は衝撃を受けた様な眉を顰めて複雑な顔をする。

そして沈黙する陽毬。

俺はその姿を見ながらチョコを撫でながら周りをゆっくり見る。

本当に居心地の良い家だな。

何も変わらない。


コイツのお兄さんが去ってから陽毬もイメチェンした。

去った訳は後で話すが。

それまでの世界を掻き消す様に。

猫ジムが置いてあったり綺麗に世界が整っている。

俺は陽毬とチョコを見ながら椅子に座る。


「.....どうする?」

「どうするも何も俺達は兄妹だ。だからこそこの呪縛は解けないだろうしな。分かり合う事はもう出来ないだろうけど」

「そうだね。.....でもしっかり話合いはしないといけないよね。そんなの」


チョコは気持ち良さそうな感じで伸びをする。

俺はその姿を見ながら苦笑する。

すると降りてから対面に居る俺に擦り寄って来たチョコ。

そのまま抱えてから持ってみる。


「んにゃー」

「可愛いなお前」

「にゃー。ゴロゴロ」


しかし長寿だよなコイツ.....ホンマに。

もう既に17年は生きているしな。

俺達が赤ちゃんの頃には既にこの家に居たらしいし。


チョコと名付けたのは陽毬の兄とされているが。

思いながらチョコを見ていると。

ずっと考えた様な顔をしていた陽毬が顔を上げる。

このままではダメだよね、と複雑な顔で言いながら。

そして俺を真っ直ぐに見据える。


「瞬。もう少しだけ流ちゃんの行動を観察してみてからその判断で別れを切り出したら良いかも」

「もう少しだけ観察、か。確かにな。.....それで判断するか」

「そうそう。まだはっきりした事は言えないしね。その。9割は浮気だとは思うけど。確定してから証拠を突きつけてあげた方が効率が良いでしょう?」

「.....まあ確かにな」


そんな会話をしているとスマホに、瞬、何処に居るの?、と流からメッセージが.....飛んできた。

俺はその言葉に眉を顰める。


そして顎に手を添えた。

コイツは本当に気が付いてない様だが。

本気で最低な事をしているのを自覚してない様だ。

最低だな。

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