第34話 自宅で慰め
中須賀 花梨「それで、何で屋上に居たわけ? 」
俺の部屋のベッドに腰を下ろすなり、花梨は疑問を呈した。
やっぱりな。
俺は胸中で合点がいった。屋上から帰路に就く間、花梨は屋上に関する話を聞いてこなかった。珍しく、ほとんど会話をせず、必要最低限の言葉しか交わさなかった。そして、俺の部屋に到着したら、これだ。
俺「実はな——」
俺は屋上で起こった出来事をすべて偽りなく、話した。
花梨は俺の話に耳を傾ける最中、時折り顔をしかめた。不快感を感じたのだろうか。だが、言葉を遮らず、最後まで耳を傾けた。
中須賀 花梨「なるほどね。 それにしてもひどいね! 私と付き会った優成君が気に入らないから。嫌がらせとして嘘告白した。最低だね! 」
花梨は怒りを露にした。俺のために怒ってくれた。
その事実が何よりも嬉しかった。世界でたった1人の彼女が自分のために怒ってくれた。この上なく幸せだった。
中須賀 花梨「それにしても、優成君は大丈夫? 嫌がらせを受けて傷ついてる? 」
表情は一転し、心配そうな瞳で花梨は俺を見つめる。瞳はわずかに潤む。
俺「ああ。大丈夫だ。正直、彼女がいる俺に嘘告白はあまり効果ないな。だって既に彼女がいるからな。あいつらバカだよな! 」
実際に俺は告白を断る予定だった。正直、嘘告白の件はどうでも良かった。ただ…。
中須賀 花梨「…嘘つき。優成君わかりやすい! 」
不満そうに、花梨は唇を尖らせる。目も微量に細める。
俺「ど、どうしてだ? 別に悲しくないぞ。辛くもないぞ。顔に出てないだろ? 」
そうだよな。俺の顔に動揺は走ってないよな。その上、口調もたどたどしくなかったはずだ。それなのに、なぜだ?
中須賀 花梨「あのね。顔に書いてあるよ。嫌がらせを受けて凹んだってね」
花梨は俺の頬をつねる。
俺「…痛い…」
じんわり右頬に痛みを感じる。だが、不思議と苛立ちを覚えない。
中須賀 花梨「正直に言いなさい。本当は辛かったんじゃない? 」
真面目な瞳で、花梨は俺を覗き込む。俺と花梨の大きな瞳が合う。
俺「…はい。正直、気分は良くない。それに、嫌がらせを受けて辛くて悲しい。たとえ噓告白だとしても、不覚にもそのような気持ちを感じた」
正直な気持ちを吐露した。花梨の前では嘘はつけなかった。自然と素直にあの屋上での心境を口にした。俺は案外、メンタル的に弱い人間なのかもな。
中須賀 花梨「よろしい! よく正直に!! 」
花梨はベッドから腰を上げ、俺に抱きつく。そして、俺の顔を自身の豊満な胸に埋める。
タユン。柔らかい胸の感触が俺の顔を襲う。
は?まさか。花梨の胸に俺の顔が。これは大丈夫なのか? いくら彼女と言っても、付き合い始めて1ヶ月も経過してないぞ。
中須賀 花梨「辛くて悲しい優成君を私が慰めてあげる。私の柔らかい胸を堪能させてあげる。男の子はおっぱい好きでしょ? 」
恥ずかしそうな様子だ。だが、気持ちに打ち勝つように、花梨は俺の頭を優しく撫でる。
柔らかい手の感触が髪や頭に伝わる。不思議と子供のように頭を撫でられ、安堵する。撫でられる度に辛さや悲しみが浄化される。
自然と身を委ねるように、俺は花梨の背中に腕を回す。
中須賀 花梨「ふふ。可愛い! 今日はたくさん私に甘えて欲しい! 私は優成君の彼女だし」
花梨は動作を止めずに、俺の頭を撫で続ける。
花梨の撫で撫でに心を奪われる。無抵抗で撫で撫でを受け入れる。
中須賀 花梨「何度も優成君には救けてもらったから。今度は私が優成君の役に立つ番だから」
花梨は母親の眼差しで向ける。
俺「そんな大したことではない」
中須賀 花梨「謙遜しない謙遜しない。気持ちよかったら寝てもいいよ? 膝まくらも準備できるよ? 」
俺「ああ。じゃあ、お願いしようかな」
欲望にあっさり敗北し、俺は花梨から腕を解放する。
中須賀 花梨「はい、準備できたよ」
花梨は正座し、ポンポンッと軽く膝をタップする。制服のスカートから純白な太ももが露になる。ムチムチで弾力もありそうである。
俺は緊張で生唾を飲み込む。俺が花梨と彼女だからできる。俺だけの特権である。
俺「では、お邪魔します」
すべてを預けるように、眠りにつくように、俺は花梨の太ももに優しくダイブした。
ここからの感想はご想像にお任せする。想像は無限大である。
ただ1言だけ言わせて欲しいな。1言だけだ。
控えめに言って最高だった。至福の時間だった。
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