第32話 空気的にもう1回
中須賀 花梨「あっ…」
ようやく中須賀の唇から離れる。両者の唾液がわずかに付着する。
中須賀 花梨「…き、木越君」
上目遣いで俺を見つめる。トロンッと瞳は揺れる。
俺「悪い。つい。中須賀が可愛い。だからキス…。してしまった」
バックハグしたまま、後方から俺は中須賀を見つめる。俺と中須賀だけの空間が醸成される。
三宅 貫「な、な、な。なんてことをしてるんだ! 人前なんだぞ!! 」
三宅は大きく動揺した。悔しいのか。信じられないのか。定かではないが。身体中を震わせ、両拳を握り締めていた。
中須賀 花梨「ねぇ木越君ね。キスしてくれて。ありがとね。すごく気持ちよかった。幸せな気持ちも味わえた。木越君はどうだった? 」
三宅など蚊帳の外に、中須賀は疑問を投げ掛ける。俺1点だけを見つめる。
俺「ああ。俺もだ。中須賀と同じ気持ちだった。幸せだった」
中須賀 花梨「そうなんだね。気持ちを共有できたね。嬉しいね」
俺「ああ。そうだな」
上品に微笑を浮かべる。堪らなく俺の視線を惹きつける。
三宅 貫「おい! 聞いてるのかい! お前ら!! 」
三宅がごちゃごちゃ五月蝿い。
だが、俺の耳に届かない。おそらく、中須賀の耳にも通らない。三宅にとって不幸に違いない。仕方がない。邪魔者だから。
中須賀 花梨「あの、もう1回キスしよ? 木越君。いや、…優成君…」
中須賀は下唇に触れ、可愛くおねだりする。未だにトロンッと瞳は揺れる。
いやいや。その表情は反則だろうが! こんなの拒否できわけないだろうが! 俺のお姫様は魔性の女なのか?
それに名前呼びかよ! 唐突すぎるだろ〜。
俺「ああ。…花梨が望むならな。叶えてあげないとな」
無言で中須賀は振り返る。俺と中須賀が正面から見つめ合う状態になる。
俺「いくよ花梨」
中須賀 花梨「来て…優成君」
俺は中須賀の頬に触れる。一瞬、ぴくんっと肩を震わせる。だが、快く受け入れる。嫌悪感は皆無である。
三宅 貫「お、お前ら。まさか! 」
とき既に遅し、俺と中須賀は準備万端である。
中須賀 花梨「う…うぅん♡♡」
中須賀の口から甘い声が漏れる。
俺と中須賀は優しいソフトキスを交わす。再び、中須賀の柔らかい唇を堪能できる。病みつきになる味と感触である。至福の時間である。
俺と中須賀は長い長いキスの後、お互いの唇を解放する。
中須賀 花梨「もう1回…欲しいな…うぅ〜ん♡」
中須賀の要望に沿い、無言で唇を塞ぐ。俺は中須賀と中須賀の唇の虜である。
結局、俺達は三宅の存在を無視し、何度もキスをする。止めることは何人たりとも不可能である。
中須賀 花梨「最高〜♡。うぅん。あ、あん♡」
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