第26話 とうとう教室で

 キーンコーンカーンコーン。


 1時間目終了のチャイムが鳴り響く。


 授業を切り上げ、教員はクラスを退出する。


 チラチラ。チラチラ。


 今日はクラスメイト達の視線を感じる。


 不思議とクラスメイト達の視線は俺に集中する。


 特に目立った行為を取った記憶なし。


三宅 貫「お、おい! どういうことだい! 」


 三宅が俺の席に駆け寄り、机を勢いよく叩く。当然、クラスメイト達の視線は俺と三宅に集中する。


三宅 貫「どうしてお前と花梨が付き合ってるんだ! 答えろよな! 」


 三宅は俺にスマートフォンの画面を見せる。


 画面には俺と中須賀とのツーショットが映る。


 どうやらSNSを介して、付き合っていることを報告したようだ。昨日、やけにスマートフォンを長く操作しているとは思った。まさかSNSに写真を載せるとはな。


 中須賀の奴は策士だな。


 目立ちたくはなかったが、中須賀が報告してしまったんだ。俺は受け入れるしかないな。


中須賀 花梨「あはっ。やっぱりみんな木越君に注目してる」


 ベストタイミングで中須賀が俺の教室に登場する。


 クラスメイト達の視線は学年1の美少女に注がれる。全員が俺の彼女に釘付けである。


 一方、中須賀は自然に気を取られない。堂々とした態度でクラスメイト達を横切る。


中須賀 花梨「木・越・君! とうとう教室に来ちゃった! 」


 満面の笑みで俺のイスに座る。イスを半分で分ける形で座る。


三宅 貫「どうしてだ花梨。…どうして木越と付き合ってるんだ…」


 わなわなと身体を上下に震わせる。三宅にとって屈辱なのだろう。


中須賀 花梨「ごめんね三宅君。私、木越君のことが大好きなの! だから付き合ってるんだよ!! 」


 見せつけるように、中須賀は俺の腕に抱きつく。


 ちょっ。俺の腕に柔らかい塊が当たってるよ。わざとではないよ。そう願いたいよ。


三宅 貫「ば、バカな。俺が目の前でイチャイチャされるとは。花梨…考え直してくれ! 」


 しぶとく三宅は粘る。


中須賀 花梨「いや! それと今後一切、下の名前で呼ばないでね! 」


 冷たい態度で中須賀は言い切る。


三宅 貫「っ。そんな…」


 がっくりと、三宅は両膝に崩れ落ちる。


中須賀 花梨「ねぇ。木越君、昨日と一緒で頭撫でてぇ」


 甘えるような声で、中須賀は耳元で囁く。完全に三宅など存在しないものとして扱う。


俺「はいはい」


 俺は慣れた手つきで中須賀の頭を撫でる。

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