第24話 空き教室でイチャイチャ
「どうしたんだ? 空き教室に呼び出して」
中須賀に疑問を投げ掛ける。
昼休みの半ば、中須賀からモインが送信された。偶然にも空き教室は知っていた。
中須賀 花梨「学校でも木越君と居たかった。だから呼んじゃった。ダメだった? 」
恥ずかしそうに中須賀は説明する。顔もわずかに紅潮する。
俺「構わない。何がご所望だい? 」
また心臓に悪い時間が続きそうだな。だが仕方なさそうだな。俺と中須賀はカップルだからな。
中須賀 花梨「また手を握りたい。木越君の温もりを感じたい」
嬉しそうに、中須賀は右手を差し出す。朝と同じようにきれいな手を差し出す。
俺「分かった」
内心、緊張する。だが、おくびにも出さない。
中須賀の右手を握る。柔らかい感触が伝わる。
中須賀 花梨「わぁ。木越君の温もりだ~。ドキドキもあるけど落ち着くんだよなぁ」
心臓に手を当て鼓動を確認する中須賀。不思議と彼女の鼓動が俺にも伝わった。俺の鼓動のリズムとも交わった。不思議な感覚だった。
中須賀 花梨「もう1ついいかな? 」
中須賀は人差し指を立て、おねだりする。控えめな態度も形成する。
俺「いいぞ。可能な限りだぞ」
次は何だ。難しい内容はお断りだ。
中須賀 花梨「手を握りながら、頭を撫でて、欲しいんだけどな。ダメかな? 」
俺の顔を見上げる中須賀。上目遣いだ。
中須賀は身長が150cmしかない小柄な女の子だ。だから自然と見上げられる形だ。
俺は思わず息を呑む。予想外すぎる要求である。
心拍数は跳ね上がる。同時に頭の中は真っ白になる。並行して体温も上昇する。
俺「あ、ああ。こうか? 」
中須賀の頭の上に手を置く。ぎこちない所作で、頭を撫でる。ツヤのある髪の感触が伝わる。
中須賀 花梨「ふわぁ。き、気持ちいいよ。良い感じだよ~」
うっとりとした表情の中須賀が視界に映る。とても満足そうな笑顔を浮かべている。
中須賀 花梨「この時間が一生続けばいいのに。時間とか止まって欲しい」
目を閉じ、幸せに浸っている様子の中須賀。俺の手の動きに合わせて、首を動かしリラックスしているようだ。
これで良いんだよな。中須賀も満足してるよな。
手探りで一定のリズムで頭を撫で続ける。
中須賀 花梨「そ、そこいい! ずっと撫でて欲しい! 」
毛先に沿って撫でる。中須賀の好意的な反応が露になる。
俺「こ、ここがいいんだな。じゃあ集中的にここを攻めるからな! 」
手ごたえを覚え、指示通りに撫でる。
中須賀 花梨「ありがとう。最高だよぅ」
一方、空き教室の廊下に1人の男子生徒の存在がある。その男子生徒の名前は三宅である。
三宅 貫「ちっ。廊下からイチャイチャ会話が聞こえやがる。昼休みに偉そうに恋人同士の時間を楽しんでる。てかっ。リア充爆発しやがれよな! 」
ボッチの三宅は苛立ちを表面化した。廊下の床を全力で踏みつけた。
三宅は友達をすべて失っていた。女子達からも声掛けは消えていた。以前までのスクール―カーストを失っていた。
そのため、イチャイチャするカップルが羨ましかった。憎かった。妬ましかった。
そんな感情が三宅の背中から感じ取れた。情けない背中から取得できた。
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