第12話 初めて一緒に下校&悪知恵の提供
中須賀 花梨「ねぇ木越君。今日は一緒に帰らない? 」
昇降口で俺が靴に履き替え、帰路に就こうとした瞬間、偶然にも中須賀から誘いを受ける。
俺「構わない。だが大丈夫かい? 」
中須賀 花梨「何が? 」
俺「元カレの三宅に見つかれば面倒なことになるかもしれないぞ」
警告の意味で伝える。もし俺と一緒にいる姿を三宅に視認されれば、中須賀は強引に問い詰められる。その可能性はある。幾ら学年での奴の評価が下がったとしても、未だに陽キャである。強行突破は可能である。
中須賀 花梨「…。そうかもね。でも、その時はその時だよね。そんなことよりも私は木越君と一緒に帰りたいね」
なぜか仄かに頬を赤く染める中須賀。理解不能だ。
俺「そうか。中須賀が問題ならいいが。一緒に帰ろうか」
中須賀 花梨「うん! 」
嬉しそうに中須賀は早々とローファーに履き替え、俺の隣に並ぶ。
俺は中須賀の歩鼻に合わせ、前進する。
俺「モインで報告を受けたが。無事に三宅の浮気の拡散は成功したらしいな。ものすごい拡散力だな。学年中に知れ渡ってるんじゃないか? 」
中須賀の学校での影響力には舌を巻く。俺だったら絶対に不可能だろう。
中須賀 花梨「実は、私の友人の子がクラスで言いふらしたの。那須真紀ちゃんって子なんだけど」
俺は那須という女性が起こした言動を中須賀から詳しく聞いた。途中で話を遮らずに静かに耳を傾けた。
俺「そうか。友人はすごいな。勇気があるな」
中須賀の友人にはリスペクトを払いたい気分だ。友人のためと言えど、中々できることでは無かった。
感謝の気持ちもある。その友人のおかげで三宅は厳しい状況に追い込まれている。
中須賀 花梨「私もそう思う。ありがたいよね」
嬉しそうに薄く中須賀は頬を緩める。友人のありがたみを噛み締めているのだろう。
俺「そうか。それで、もう1つ中須賀が自身の身を守るために、やらなければいけないことがあるが」
スマートフォンを取り出す。俺は三宅の浮気相手の女性の目にモザイクを掛けた、例のキス写真を画面に表示する。
俺「これをどうにかして。今回と同様に拡散してくれ」
スマートフォンの画面を中須賀に見せる。
中須賀 花梨「これは三宅君のキス写真だよね。加工して浮気相手の目だけモザイク掛かってるね」
中須賀はスマートフォンの画面を注視する。
俺「ああ。この画像を拡散させれば三宅の立場はより悪くなるはずだ。中須賀と奴とのスクールカーストに今以上の差が生まれるわけだ。結果、浮気した愚かな奴はお前に接触できなくなるわけだ。スクールカーストが低くなることで行動の制限が生まれるからな」
俺は説得力のある言葉を並べる。
実際はそこまでする必要はない。だが、三宅を絶望の淵に落とすためには絶対に実行しなければならない。
中須賀 花梨「でもちょっとやりすぎじゃない? 」
俺「確かに中須賀の言う通りかもしれない。だが念には念だ。中須賀の身のためだ」
中須賀 花梨「木越君がそこまで言ってくれるなら」
ようやく中須賀は納得の表情を示す。
ふふっ。よしよし。
今回も俺の指示通りに動いてくれるようだな。
ありがとう中須賀。
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