第11話 バレる
昼休みに突入。
教室で早々にボッチで昼食を済ませる。眠気を覚ますために屋上に向かう。
屋上の開放的な風に当たり、眠気を吹き飛ばす魂胆である。
階段を上がり、しばらくすると屋上の入り口に到着する。
浮気相手の女性「ちょっとどういうつもり! 」
屋上から怒号の声が聞こえる。どこか聞き覚えのある声色である。
俺「先客か? 」
静かに俺は屋上のドアを少しだけ開ける。わずかな隙間から日中の光が差し込む。
屋上のフロアには三宅と浮気相手の女性の姿がある。
三宅 貫「それは。そのだな…」
三宅は口籠った。コミュニケーション力の高い三宅でも適切な言葉を選べない状況だ。
どうやら三宅にとって修羅場だ。
それにしても三宅の浮気相手の女性はこの学校の生徒だったんだな。他校だと勝手に決めつけていたが。上級生か? それとも同級生か? もしかしたら下級生か?
浮気相手の女性「はっきりしてよ! 2股掛けてたの? しかも、あの中須賀花梨とも付き合ってたの? どうなの? 」
鋭い眼光を輝かせながら、浮気相手の女性は三宅に詰め寄った。
三宅 貫「ちょ。確かに嘘ではないけど」
目を逸らし、弱々しく三宅は肯定する。視線は右往左往に彷徨う。
浮気相手の女性「やっぱり。…友達が伝えてくれた情報は正しい…。しっかり、あーしの顔を見なさい! 」
三宅 貫「お、おう。…わかったよ」
恐怖を帯びた表情で三宅は浮気相手の女性の指示に従う。この状況では従わざるを得ないのだろう。浮気相手の女性の目力が強すぎる。三宅の眼球の動きが活発になる。
浮気相手の女性に促され、三宅はしっかりと彼女の顔を見つめる。
パーン。
空気を破るような乾いた音が鳴り響く。
浮気相手の女性が三宅の頬を思いっきり叩く。
三宅 貫「は…。へ…。な……」
三宅は頬の感触を確認する。三宅の頬は赤く腫れていた。
浮気相手の女性「最低! 本当に信じらんない! このクズ男! 絶交よ! 絶交!!」
浮気相手の女性は大声で罵り、踵を返して足早に立ち去った。
三宅は呆然と立ち尽くしていた。
三宅のこんな姿は初めて見た気がする。いつも明るく元気に満ちた彼が抜け殻のように脱力する。
俺はそんな光景を見てドアノブから手を離す。
バタンッ。
三宅の耳に届かないように、俺は屋上のドアを閉じる。俺はその場を離れ、階段を下って校舎内に戻る。
興奮を抑える事ができなかった。こんな場面を目の当たりにできるとは。夢にも思わなかった。
ふふっ。三宅ざまぁ~。
情けない姿を視認できたわ。眼福眼福だわ。最高の気分だわ。
ウキウキな気分で俺は教室の帰路に就く。軽くスキップを交えながら、廊下を進む。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます