第9話 勇気を出して

中須賀 花梨「三宅君が浮気した情報を拡散しろ。って言われてもどうすればいいんだろ」


 俺との電話を終えた後、教室に戻る途中に中須賀は頭を悩ませていた。。先ほどまで廊下を進みながら電話を掛けていた。


中須賀 花梨「とにかく、友達に話してみることが大事だよね」


 教室に到着し、中須賀は決心する。


中須賀 花梨「ねぇ真希ちゃんとふみちゃん。聞いて欲しいことがあるんだけどいいかな? 」


 クラスで仲が良い中須賀は声を掛ける。


那須 真希「どうしたんだ花梨? 」


 那須はショートヘアのボーイッシュな女子だ。


小林 文「花梨ちゃんの話なら何時でも聞くよ」


 小林は小柄の可愛らしい女子だ。


 両者ともに中須賀には及ばないが、顔立ちは整っている。


 中須賀 花梨はクラスでは人気者だった。勉強もスポーツも出来るし人当たりも良いので男女問わず好かれていた。だから、中須賀の話なら大方の生徒が耳を傾けた。


中須賀 花梨「いきなりなんだけど。私、彼氏の三宅君と別れたの」


 前置きを置かずに、直球で本題を話す。


小林 文「え!? 本当に! あの隣のクラスの彼氏さんだよね? 」


中須賀 花梨「うん。そうだよ」


那須 真希「どうしてだ? 訳があるのか? 」


 那須は理由を尋ねる。


中須賀 花梨「…。うん実は三宅君が浮気してたの」


 中須賀は少し間を空けて、答えた。


那須 真希「なんだと! それは最低だぞ! 許せないぞ!! 」


小林 文「…あちゃー。花梨ちゃんは何も悪くないから」


 2人とも驚いた表情をする。そして同情の目を向ける。


中須賀 花梨「ありがとう2人共。それで話の続きだけど。三宅君の浮気している事実を知ったから私から別れを切り出したの」


 悲しいオーラが中須賀に漂う。浮気の光景でも思い出したのだろう。


那須 真希「許せないな! あたしの親友の花梨に深い傷を負わせるなんてな! 」


 那須は怒りを露にする。


小林 文「でも花梨ちゃん。これからどうするの? 」


中須賀 花梨「う~ん。それがわからないんだ」


 中須賀は困った顔を浮かべる。どう動けばいいか見当もつかない。


那須 真希「わからないか。それなら、あたしに任せな! 」


 自身の席から勢いよく那須は立ち上がる。


那須 真希「お~い。みんな聞いて欲しい。花梨の彼氏が浮気したらしい~。こんな可愛い彼女がいるにも関わらずに。ちなみに、その彼氏の名前は三宅貫らしい」


 クラス内は騒然としていた。


中須賀花梨「ちょっ! ちょっと真希ちゃんやめてよ」


 恥ずかしそうにして、中須賀は小声で話す。


 中須賀と小林は驚きを隠せなかった。突然の那須の狂気的な行動だった。


那須 真希「だって、こうでもしないと花梨の為にならないだろ」


 薄く那須は微笑を浮かべる。


 意外な展開で中須賀の目標は達成される。


中須賀 花梨「まさか。こんな簡単に拡散が成功するかな。真希ちゃん大胆だな」


 予想以上の効果があったようで、驚く。


 那須 真希のお陰で三宅の浮気は瞬く間にクラス内に拡がる。やがて学年の垣根を超える。

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