第5話 現実
中須賀 花梨「それでどうやって浮気の現場を私に見せてくれるのかな? 」
あれから昼休み頃に中須賀からモインを介してメッセージが送信された。どうやら現実を受け止める決意が固まったようだ。
俺は快く受け入れた。
そして放課後。
俺と中須賀は三宅を追跡する。
俺「安心しろ。絶対に目にできる。それと今日は三宅と一緒に帰る誘いは拒否したのか? 」
中須賀 花梨「うん。木越君の指示通りに断ったよ」
俺「それならいい。中須賀の望みは叶えられる」
随時、俺達は物陰に隠れながら、三宅をストーカーする。
しばらくすると、以前の地元で有名なラブホテル前に到着する。
俺「ここが。写真に映っていたラブホだ」
スマートフォンを三宅は注視し、操作する。おそらく例の女性とメッセージのやり取りを交わしている。
中須賀 花梨「未だに半信半疑だよ。木越君が嘘の情報を私に提供したとは考えられないけど。私に隠して三宅君が浮気をしてるなんて」
俺「残念ながら現実は残酷だが。これから目の前で直面する出来事にショックを受けるかもしれないが。覚悟はできてるか? 」
脅すように俺は言葉を投げ掛ける。
浮気相手の女性「貫~! 」
例の女性がラブホ前に姿を現す。勢いよく女性は貫に抱きつく。
三宅 貫「おぉ~。相変わらず強引に抱きついてくるな」
不満を口にしながらも、どこか三宅は嬉しそうだ。
中須賀 花梨「…そんな…」
衝撃的な現実を目にし、中須賀の顔に絶望が走る。顔色も少し悪く変貌する。
現実は残酷だ。三宅は浮気をしていたのだ。
三宅 貫「やばい。今日はムラムラがいつもよりやばい。だから恒例のラブホ前でのキスは今日は無しでいい? 」
浮気相手の女性「え~。好きなんだけどな~。でも貫の性欲が暴走してるなら仕方ないね」
三宅 貫「ありがとう。本当にいい女だな~」
ニヤニヤしながら、以前と同様に三宅は女性の肩に腕を回しラブホに入っていく。
中須賀 花梨「ひどい…。ひどいよ。どうして浮気なんか。しかもラブホで身体の関係も持ってるなんて…」
耐えられずに中須賀は大粒の涙を流す。多くの涙が何度も頬を通過する。
俺「うん。辛いよな。三宅は本当にひどい奴だよな。彼女がいるのに浮気するなんてな」
慰めるように俺は中須賀の背中をさする。自然と腕が動く。
中須賀 花梨「うぅ……もう無理だよ。こんな現実を見せられたら。この悲しみを乗り越えるのは私にはできないよ。やっぱり私は三宅君のことが少なからず好きだったんだよ」
涙を流しながらも中須賀は必死に伝える。
俺「そうか。辛かったな」
中須賀が泣き止むまで俺は背中をさすり続けた。
背中をさすりながら、不思議とある感情が溢れた。三宅に対する怒りの感情がふつふつと沸き上がった。
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