第3話 追跡
さ~て。どこかで尻尾を出してくれないかな。
放課後。
随時、隠れる場所に身を隠しながら、三宅と中須賀カップルの帰路を追う。
2人とも仲良く雑談に勤しむ。
キスは拒んでいたが、手は握れるようだ。そのため、三宅と中須賀は恋人つなぎをしながら共に隣を歩いていた。
けっ。リア充。爆発しろ。
おっと。気を逸らしていれば見失ってしまうからな。
結局、中須賀の自宅まで追跡してしまった。どうやら三宅は中須賀を自宅まで送り届ける予定だったみたいだ。
中須賀 花梨「毎回、学校があるときは学校から自宅まで送り届けてくれてありがとう! 」
三宅 貫「いやいや。彼氏なら当然のことだよ。それに学年1可愛い美少女を単独で帰宅させられないからよ」
爽やかなスマイルを貫はきめる。ほとんどの女性は甘いスマイルにメロメロになるだろう。
ちっ。爽やかイケメン嫌い。
中須賀 花梨「相変わらず三宅君は褒め上手なんだから! 」
照れ隠しで中須賀は三宅の脇腹を肘で軽く小突く。
三宅 貫「本当に可愛いな。俺の彼女は」
中須賀 花梨「褒めても何も出ないから」
三宅 貫「何も出なくていいな。だって花梨がいてくれるだけで俺は幸せだから! 」
中須賀 花梨「…ありがと。それを聞けて私も嬉しいよ…」
ラブラブムードが三宅と中須賀の間に流れる。
おい。やめろ。せめて室内でやれ。
中須賀 花梨「じゃあ、そろそろ自宅に入るね。また明日ね! 」
ひらひらと笑顔で中須賀は手を振る。
三宅 貫「おう! また明日な~ 」
三宅も手を振り返す。ここで解散となる。
中須賀が自宅に吸い込まれるまで、三宅は見届ける。
三宅 貫「それでは違う場所に移動しますか」
むっ。期待通りの行動をしてくれるかな?
制服のポケットからスマートフォンを取り出し、三宅は操作し始める。指の動きから文字を打ち込んでいる。
三宅 貫「よし! 完了」
文字を打ち終えると、三宅はスマートフォンを制服に仕舞う。
歩を進め始める。
置いていかれる訳にはいかない。
先ほど同様に物陰に上手に隠れながら、バレずに追跡する。
しばらく追随すると、1つの大きな建物がある。
あれは、地元で有名なラブホじゃないか?
ラブホの目の前で堂々と三宅は待機する。おそらく誰かを待っている。
「あ! 貫! お待たせ~ 」
見覚えのない茶髪の女性が三宅に抱きついた。化粧は濃く、モデルのように背が高くスタイル抜群だ。
三宅 貫「全然待ってないよ。わざわざ来てくれてありがとよ」
嬉しそうに柔和な笑顔を浮かべる。
見覚えのない女性「貫に呼ばれたなら行くに決まってんじゃん! 」
三宅 貫「助かるな。俺もうムラムラしてやばいんだ」
見覚えのない女性「相変わらず性欲がすごいんだから。まずキスしよ! ほら! 」
女性は唇を突きだす。ずいっと、目を瞑りながら。
三宅 貫「へへっ。では遠慮なく。いただきま~す」
見覚えのない女性「うぅ…ん」
ラブホの前にも関わらず、三宅は女性の唇を奪う。
慣れた感じで優しくソフトキスする。
三宅 貫「相変わらず唇柔らかいね」
見覚えのない女性「うふふ。褒めてもらえて嬉しい。貫もキスが上手だね」
三宅 貫「じゃあ、もっとやっちゃおうか」
見覚えのない女性「うぅ~~ん」
再び貫は女性の唇を塞ぐ。女性から感じた甘い声が漏れる。
チュッチュッ。
艶めかしい音が周囲に響く。遠慮なしにキスが繰り広げられる。
おっと。呆然としてはいけない。
俺は慌ててスマートフォンを取り出す。カメラ機能を起動し、三宅と女性がキスする光景を写真に収める。
よし! 三宅の悪事を証拠としてキャッチしたぞぃ。
思わずガッツポーズをしてしまう。
チュッ。
三宅と女性との唇がようやく離れる。細い唾液の糸を引きながら。
見覚えのない女性「やばいムラムラしてきた」
女性の目はとろんと乱れる。唇の下辺りには唾液がこびり付く。おそらく三宅の唾液だろう。キスをしたことで付着したのだろう。
三宅 貫「続きはホテルの中でやろうか。思う存分やろうか」
ウィンクし、三宅は自身の胸に女性を抱き寄せる。
見覚えのない女性「キャ!? 強引~」
いたずら気に女性は三宅の乳首辺りを指でなぞる。
三宅 貫「男はちょっと強引な方がいいんだろ? 」
見覚えのない女性「うん。そっちの方がカッコいい~」
三宅 貫「そうかそうか。この後のホテル内でも強引さを見せつけるから。覚悟しとけよな」
見覚えのない女性「ふふっ。楽しみ💗」
三宅と女性はホテルの入り口を通過し、中に入る。
俺はしっかりと2人がホテルに入る瞬間もカメラに収める。
さらに、2時間ほど待機し(ラブホテルの休憩は2時間なため)、三宅と女性が満足そうにホテルから出てきた瞬間も正面からカメラで撮影する。
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