第2話 不穏な空気
放課後。
帰りのホームルーム終了後、俺は喉が渇いたため自動販売機に向かう。
自動販売機が並ぶ場所は不思議と人気がない。
そのため何かとリラックスできる。
俺は人気がないことを確認してから、自動販売機へと足を運ぼうと試みる。
三宅 貫「なぁ花梨。そろそろいいよな? 付き合って1ヶ月だしキスの1つぐらいいいだろ? な?」
三宅が中須賀を顎クイする。
中須賀 花梨「あっ」
甘い声を中須賀が漏らす。
げっ。なんで三宅と中須賀のカップルがこの場所にいるんだよ。
俺は眉をひそめる。正直、不快である。嫌いな三宅を視認するだけでストレスが溜まる。
だが、もし三宅に姿を発見されれば、何を言われるか定かではない。
彼女の前では愚かな言動は決してしない。彼女からの評価を下げないために。
だが、今後の彼女の姿がない場所では分からない。今以上にウザ絡みをされる可能性は捨て切れない。それは絶対に避けたい。
そのため近くの校舎の陰に隠れる。
中須賀 花梨「ご、ごめん。まだキスは早いと思うの。そんな勇気はなくて」
ぱっと中須賀は三宅から離れる。
三宅 貫「そ、そうか。ごめんな」
中須賀 花梨「わ、私こそ。勇気が無くてごめんね」
三宅 貫「まぁ、花梨のペースもあると思うから。ちょっと俺は用事があるから先に教室に戻っててな」
中須賀 花梨「…わかった。本当にごめんね」
ゆっくりとした足取りで中須賀はその場から去る。
三宅は静かに中須賀の姿が消えるまで待機する。
三宅 貫「ちっ。ガード硬いな。キスぐらいダメなのかよ! 」
不機嫌そうに三宅は自動販売機を蹴り上げる。
ガンッと音を立て、自動販売機は左右に揺れる。
おお~。彼女がいない所では本性丸出しだな。思い通りに事が進まなくてざまぁみろだな」
嫌いな人間が苛立つ光景に少なからず嬉しさが込み上げる。他人の不幸は蜜の味ってか。
三宅 貫「まぁ我慢だ。花梨は学年1の美少女だからな。少しぐらい面倒くさくても仕方がないな。だがな、今までの女なら1ヶ月経てばキスぐらい余裕だったのにな~」
誰も聞いてない想定なのだろう。
大きな声で不満を漏らしながら、自動販売機で飲み物を購入する。
どの商品を購入したかまでは認識できない。
三宅 貫「まぁ我慢が必要な時期はどんな時もあるからな。だが、キスした後は短期間でエッチまで持ってかないとな。そうしないと俺がスッキリしないからな。それに学年1の美少女とのセックス。想像するだけで最高だぜ」
下種な笑みを浮かべながら、三宅は飲み物に口内に流し込む。
ペットボトルを片手にその場から姿を消す。
ようやく、うざい人間の姿が消える。
やっと自動販売機でお茶を購入できる。
隠れることをやめ、俺は自動販売機の前に移動する。
てか、もしかしてチャンスかも。
三宅について調査すれば、邪な情報ばかり入手できるかも。そうすれば、あの学年1の美少女と別れさせることも。
三宅に不幸が訪れる。
やってみる価値はある。
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