第19話 悪阻

ナミコを乗せて車は走った。


ナミコはつわりが早く出るタイプだったので

気持ちが悪くて青い顔をしていた。


喋る気分なんかない。

早く終わらせて眠りたいだけ。 

彼は心配そうにしてるけど、気持ちに応える予約なんてない。


処置中は意識が無いのでわからない。

ふらつくのを何とかこらえて、車に乗った。

痛みに耐えながら、ナミコの心はホッとした。

できるだけ、深く考え内容にした。


仕事は一週間休みをもらっていたので、

子供の世話以外は横になって過ごした。


彼からのメールは何通もうるさいくらいに届いた。

ナミコはそぅとして欲しい気持ちが

わからない男に対して苛ついた。


メールで夜に近くに行くからとにかく会いたいと何度も言ってくる。

根負けして、会いに行くと、男は果物をかご盛りで持ってきて、分厚い封筒を渡した。


ナミコは嬉しくなかった。

結局、男にはこの気持ちわからない。

封筒を突き返したが、相手も引かなかった。


もう、どうでもいい。

ナミコは受け取り帰った。

何だか悔しくて涙が流れた。

バカな自分。

何でもお金で解決しようとする男。


封筒の中味の50万は

貯金しないで、使ってしまおう。

こんな物、残したくない。


子供達の服やおもちゃ、外食にも行こう。

自転車も買っちゃえ。

ソファも。


ナミコは狂ったようにお金を使った。


そして、スッキリした。

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