第14話 援助

それからは、ふたりはホテルで会う事が多かった。

ナミコもその方が良かった。

何より、疲れていたので、気兼ねなくゆったりしたかったのだ。

彼もそれをわかっていようで、岩盤浴やマッサージのある部屋をとってくれた。


ナミコはたわいも無い話しをするのが好きだったし、同じ医療人として理解し合えるのも良かった。


文献が欲しいと言えば彼は手に入れてくれた。

それで満足していた。



ある日、帰りぎわに彼から封筒を渡された。

なんだろう?この厚さ、、。

お金だわ。


「お金なら入りません。私は自分の事は自分で何とかします。そんな目的じゃありませんから。」

ナミコは不機嫌に封筒をつっ返した。


「わかっているよ。ナミがそんな子じゃ無い事はね、付き合って良くわかってる。

だからこそ、援助したいんだよ。

お金は邪魔にはならないよ。

子供はね、大きくなるととてもお金がかかるんだよ。その為にも貯金したらいい。

それに、それは僕の小遣いから出すんだから気兼ねはいらない。こうみえても、僕の小遣いは30万なんだよ。」

そう言って笑った。


そう言われてみたら、お年寄りの患者さんや利用者さんが、お金は子供が小さな頃に貯めるのよ。大きくなれば、必要になる額が違うからねと随分言われたっけ。

いつも、潔癖で生きてきたけど、自分ひとりならそれでいい。

子供達の事も考えなきゃ、、。


「じゃあ、子供達の為にいただきます。

ありがとうございます。」


「うん。それでいい。

あとね、口座番号教えてくれるかな?

メールで、できた子供さんの口座がいいな。」


「あのう、本当にこれ以上はいいです!

そういうの嫌なんです、、。」


「あははは。心配しなさんな。

とにかくメールを必ずしなさい。約束だよ。」


ナミコはお金持ちって金銭感覚が完全に自分とは

違うことを改めて知った。

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