第9話 自己紹介

ナミコは黒のタイトなワンピースを着て

ブーツを履いて、黄色のダッフルコートを着た。


うん、似合うと思う。オシャレって楽しい。

メイクもいい感じ。

ピアスも似合ってる。


待ち合わせの場所に行くと車が止まっていた。


なんだろ?この車??

オンボロのアメ車?


「やあ!ここだよ!」


ナミコは車音痴だったけれど、さすがに

この車っていつの時代と思った。

でも、これの方が気楽だわ。

ベンツとかなら緊張したわね、きっと。


「お待たせしました。」


そう言って車に乗り込むと、オンボロ車の後部座席には荷物がごちゃごちゃにのせてある。


ナミコは笑えてきた。

すごいなぁ。歯医者なんか経営してたら

絶対にお金持ちなのに、気取ってない。

ナミコは車が土足禁止とか妙に綺麗だと

気を遣ってしまうので、返ってほっとした。


「さてと、どうしようかなぁ。マクドナルドのドライブスルーでも買って、車で食べながら

話そうか?その方が気楽じゃないかな。」


ええ?マック?

あまりにも意外過ぎて、笑いが止まらなかった。

でも、その方がいいかも。

オシャレなお店だったら、とてもじゃないけど

自分を出せないもの。


「はい!」


ふたりはマックを食べながら、自己紹介をした。

私は離婚して、ひとりで2人の子供を育てていること。親には全く頼れない事。

いつもなら警戒アラートが鳴り、初対面で

こんな話はしないのに、、、。

聞き上手なんだわ、きっと。

ナミコは話ながら思った。


先生からも自己紹介があった。

あの医院は長兄が継ぐはずだったこと。

優れた兄だったが、大学生で精神を病み

妄想や幻聴に悩まされて、自殺したこと。

当時、辛すぎて家出していたこと。


ナミコは話を聞いて、親近感を覚えた。


「ところで、何と呼んだらいいかな?

ナミコさんかな?」


「ナミ、、。それでいいです。親友達からは

小さな頃からそう呼ばれてるんです。

私は、小島さんでいいですか?」


「そうだねぇ。僕もヤスオさんがいいかな?」


11歳も歳上の男性を名前で呼ぶなんて

初めてだわ。

ナミコは別れたあとに、ヤスオさん、、。

と声に出して呼んでみた。

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