帰り道は初恋と再会の場所
帰り道は初恋と再会の場所
作者 ありとどむ
https://kakuyomu.jp/works/16817330659436117178
困っていた桜木は助けてくれた男子に初めて恋をするも、次第に疎遠になってしまっていた。十年後、再び彼に助けられ、互いの気持ちを告白し、これから先はずっと一緒となる話。
初恋が実ってよかったね。
こういう恋もあって良い。
主人公は男子高校生と、二組の桜木という女子高校生。一人称は俺と私、で書かれた文体。自分語りの実況中継で綴られている。
二人の視点で書かれている。
三人称で書いたほうが良いのではと考えるも、一人称の心理描写の描きやすさを考えると、本作の形でもいいのかもしれない。
三幕八場の構成で描かれているので、お話としては良くできていて面白く読める。
女性神話の中心軌道に沿って書かれている。
小学生の時、怪我をした桜木は、家に帰れずこのまま一生を終えるのかと本気で思い、道の真ん中で泣いているところを、sつ人口のの男子に助けられる。彼に初めて恋をし、徐々に一緒に変えることが増えていくも、中学に入ってから段々と一緒に帰るようになる。いつかあのときのように過ごせることを願いながら、高校生になっていた。
主人公の男子は、幼馴染の桜木に「めっちゃ可愛い……」といったことがあるも、中学あたりから周りの目を気にしてしまい、直接言えないまま高校生になる。桜木がかわいいという男子の話を耳にするも、今すぐ行動できる度胸もなく、アイツが幸せなら他の人と付き合っても構わないとさえ思うようになっていった。
学校の帰り、彼と初めて話した場所で待っていたらと思いながら、おう関係は終わっていたのかもしれないと思っていると思わず倒れてしまう。
十年前と同じように助けてくれたのは彼だった。
「桜木。その……ごめんな」と謝る彼に、「なんで謝るの。私こそごめんね」「中学の時はなかなか話せなくてごめんね。あの時に周りの目なんて気にしないで、私が想いを伝えられててたらよかったね」「もうすっかり暑くなってきたね。確か初めて助けてくれたのもこのくらいの時期だったっけ」「私は夏休みずっと空いてるんだけどさ、また二人でどっか行ったりしない?」と話しかける。
彼は自分の気持ちを桜木に伝え、「桜木。本当はお前のこと好きだったんだ。だけど……その、なんというか」「遅くなってごめん。もし良かったら俺と付き合ってくれないか」と告白する。
桜木は「ずっと嫌われているんじゃないかって思って怖かった」といって泣いてしまう。
彼は彼女が泣き止むまで、これから先もいつまでもずっと一緒にいるのだった。
それぞれのキャラクターを一人称で描いているので、思っていることは読者にわかりやすい。
とくに、男子と女子の思いの違いが良くかけている。
話を盛った内容ではない分、素直にこういう恋もあるだろうなと読者にも伝わる書き方ができている。
高校生になって、出会って十年後、同じ場所で助けられた。
小学一年生でまだ六歳のときに二人が出会い、高校一年生の十六歳になって再び話す機会を得たのだろう。
つまり、冒頭の「小学生の時に幼馴染である桜木に『めっちゃ可愛い……』」といったのは、一緒に帰る機会があったときのころの話。
中学になってから、まわりの目を気にするようになって、話さなくなっていくので、「めっちゃ可愛い……」と彼女に伝えたのは、五、六年生かと邪推する。
「二組の桜木って女子知ってる?」
「『桜木ちゃんかわいいかわいい!』っていつものやつを言いたいだけだろ。いい加減聞き飽きた」
「俺だけじゃないって。部活の先輩も狙ってるって噂を聞いちゃったんだよ」
近くの男子に話が耳に入ってくる。
同じクラスの男子と仮定すると、主人公と彼女はクラスが違うのだろう。
クラスが違うと話す機会がない。
彼女、桜木視点で、はじめて会ったときの回想が語られる。
はじめて助けてくれたとき、主人公の彼に初恋したことがわかる、
二人は両思いだったのだ。
「でも中学に入ってからだんだんと私が避けられるようになる。いつか彼とあの時のようにに過ごせるようになることを願っていたけれど、いつの間にか高校生になっていた」とあるように、彼の方から離れていったみたいだ。
彼女としては、彼に好意をもっていても、積極的に行動できず、受け身だったことで「もしかしたら彼とはずっと前に関係が終わっていたのかもしれない」と思うようになってしまう。
それでも、彼と初めで出会った場所へ、自ら足を運んでいる。
彼女としては、これが精一杯なのだろう。
思わず体制を崩して倒れそうになる。
「両手が塞がっているし思わず目を瞑った」とある。
なにに両手が塞がっていたのだろう。スクールバッグなどを持っていたのが無難な考えだろうけれど、それでは味気ない。ここは、初めて会ったときのことを思い出して、両手で顔を覆って泣いていたと考えたい。
そんな桜木を助ける主人公の彼。
駆けつける場所にいたことになる。
つまり、クラスの男子が桜木の話をしていて、「桜木が俺のことを待ってくれているという保証はどこにもないのだ。だからと言って今すぐ何かできる度胸があるかと言われるとそれもない。考えたくはないが、他の人と付き合っていてもあいつが幸せなら……」と思いながら、やはり本音は桜木のことが好きだから、彼女の後を追いかけていた。
だから、彼女が危ないときに駆けつけることができたのだ。
二人が同じ思いで謝り、「中学の時はなかなか話せなくてごめんね。あの時に周りの目なんて気にしないで、私が想いを伝えられててたらよかったね」桜木が自分の行動できなかったことに思いを馳せて謝る。
それに対して彼は、
「そうだな」
と答える。
そうだな、じゃないだろう。彼も同じだったのだから、そうだったんだと桜木の話を聞いて、実は自分も同じだった、ごめんねと気持ちを伝え合えばいいと思った。
後半、桜木が積極的に行動している。
主人公の彼が告白するのはその後である。
桜木が泣いたのは、ほっとして安心したからだろう。
嬉しくて泣いているのだ。途中で、「もしかしたら彼とはずっと前に関係が終わっていたのかもしれない」と卒倒仕掛けていたので。
ほんとうに、よかったーと思って、涙が溢れてきたのだろう。
だから主人公は、彼女を安心させるためにも、もっとはやくに行動すべきだったのだ。
この辺りのもどかしさが、今後も尾を引くのではないのかと気になって仕方がない。
「あの時の俺だったら多分……彼女が泣き止むまで……いや、これから先いつまでも一緒にいる」とあるので、反省はしていると思う。
これからの、彼の行動次第だろう。
読み終わって、十年後ぐらいに二人が結婚して家族が増えて、またこの場所を訪れたとき、二人が共通する思い出の場所として語り合って人生を歩んでいってくれたら素敵、と思った。
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