第9話  勇者召喚

 ??

 なんで急に弱くなったんだろう……

 理由が分からない。


 声の低い魔法使いのナルお兄さんが、ボクが愕然としていたので、腰をかがめて、ボクと目を合わせて言った。


「アオ様、しっかりして下さい。ここで立ち止まってはいけません。

 旅は続くのです。魔王を倒すために。あなたは、勇者ですよ」


「ボクは、勇者じゃないモン!!」


「ま~こんな、チビで眼鏡で陰キャな勇者はいないじゃん!!どーするの?

 これから?」


 マーリエお姉さんが、ボクを見て言った。


 その通りだけど、ボクは陰キャじゃないよ~多分……


「次の【青輝石】は、テッカの丘にあるよ。Uターンになるけど、ボクもレベルが下がったけど、みんなの足を引っ張らないように頑張るよ」


「前に行ったところじゃないか!!その時にとって来ればよかったじゃないか!」


 ハサンおじさんが、怒り出した。


「前のみんなのレベルじゃ、全滅してたよ」


 パーティーのみんなは黙ってしまった。


 そして、来た道を戻って、テッカの丘までやって来た。


 丘の上に洞窟がある。ここにナルお兄さ一人で入って行って、鳥獣のケダスと戦って来るんだ。

 そして風魔法と、【青輝石】を手に入れて来るんだ。


「ワタシが1人で?」


 僕は、頷いて言った。


「そうだよ、Lv40あれば大丈夫だよ。火に弱いから、ガンガンいっちゃって良いよ」


 ボクは、お兄さんに親指を立てて、ウインクした。


 後ろの方で、マーリエお姉さんがはしゃいでいた。


「前に書いた魔法陣が生きてるじゃん!!レベル上がってる今なら、もっと強い勇者が喚べるかも……」


「確かに此処は、異世界に通じる丘だけど、ここは何回も使えないはずだよ」


 ゲームの序盤で、ボクが召喚されてる時点でイレギュラーなことが起こってるんだモン。


「うるさいよ!!ナルはさっさと洞窟に行ったんだし、【輝石】は5個あるんでしょう?あと一人メンバーが必要じゃない!」


 マーリエお姉さんは、魔法陣のところへ行って、ブツブツと呪文を唱えていた。


 地に書かれていた魔法陣の文字がほんのりと光って、勇者の装備をした、

 男の子が現れた。

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