第44話 番外編 怪異と古川祥一郎とアオの日常 真紅の夕暮れ 3
「見えたぞ!構えろ!」
古川が伸ばしていた金色の手で、男を掴んだ。
「貴様等、何処から⁈」
「よっしゃ!そのまま!」葵光丸は手斧を飛ばした。
手を振り払った男はギリギリ避けたが頭を掠った。
血が飛び散る。
「惜しい!もうちょっとだった」
古川は目を金色に煌めかせて悔しがる。
「足場が不安定だったからな」
葵光丸は真っ先に飛び出し、男目掛けて6尺棒を出して打ち込んだ。
「サイファ!」
男が後ろに下がって怒鳴った。
ガキッと鈍い音がして六尺棒が受け止められた。
男の前に現れた一回り小柄な灰色の髪と目の男サイファが剣の鞘で止めたのだ。
サイファは剣を抜くと勢いをつけ葵光丸を払う。
「こいつ、強い!お前はアイツの元へ!」
鉄で出来た六尺棒が唸りを上げて再度サイファへ撃ち込まれる。
『サイファだ!もう一つ僕の中にいたの!』
古川はやり合う2人を飛び越えて、男の前に立つと、猛然と懐へ突っ込んだ。銀のナイフを心臓目掛けて繰り出す。
男が後ろへ下がったところを現れたアオがフォークとナイフを一本ずつ持って背中を刺してそのまま下へ裂いた。
男は振り向きざまに爪を伸ばすと、アオの腹を切り裂いた。
「アオ!」
アオは催眠を掛けようとして、腹の違和感に気付いた。
クロードの脇腹をナイフで切った古川は叫んだ。
「アオ、腹が裂けたままだ!下がれ!」
アオは後退して腹を押さえたが、力が抜けていっている。
「どうして⁈」
「腹を覆うイメージをしろ!力で包む感じ!早く!」
古川が男に蹴りを入れてふっ飛ばし、アオから更に離した。
「大丈夫、回復、できそう」
アオは苦しそうに言い残し、気配を消した。
男は体勢を立て直すと
「ゴーストなら殺れるのさ」
と伸びた爪を古川にかざした。
古川は男の顔に拳を入れたが、後ろに飛びずさって避け
られ、お互い距離を空けた。
「そう言えば名乗ってなかったな」
男は余裕を見せてニヤリと笑った。
「私はクロードと言う。お前は?」
「知るか!どうせ、発音できないだろう?」
「ショウイチロ、だったか?」
「わかってるなら聞くな!」
古川は一息で距離を詰めて首筋に手をぺったり付けた。
接触したところから煙が上がる。
「痛っ!銀だと?」
「銀ナイフ削った時の粉付けといた」
「一々癪に触る奴だ!普通の人間では無いと思っていたが」
「失礼な!僕はお前に会う前は普通の人間だ!」今度はクロードの左肩をフォークで刺した。そのまま奥まで突き通そうとしたが払われて腕を掴まれた。
捻って離そうとしたが外れない。
古川は力を出して掴んだ手を中心に金色の無数の針を打ち込んだ。
「うわっ⁈」思わず手を離したクロードだが、素早く反対の手で古川を巻き込んだ。瞬間目が合った。
「しまった」催眠に対抗したが、僅かに遅く、堕ちてしまった。
「あ、くそっまた」
今度は少し吸われて、クロードの力を入れられた。
「ああ!」
すぐに催眠から覚めたが、古川は傷口から身体の中に広がった得体の知れない感覚にのけぞった。瞬く間に古川の力を取り囲んでいき、意識が無くなった。
古川の半開きになった口から唾液が溢れ、それをクロードは啜って口付けした。
「相変わらず美味いな。伴侶より永遠の生き餌だ!行くぞ!しがみつけ」
目を閉じた古川の耳に囁くと、両手が男の背中に回され、再び長くなった爪がクロードの背中に食い込んだ。牙が伸びてきて、クロードの首に噛みつき、血を啜り出した。
「おい!何やってるっ!」
葵光丸が怒鳴ったが、古川を抱えたクロードと葵光丸から逃れたサイファは屋根まで飛んで、その向こうに消えた。
葵光丸も跡を追ったが、三人は霧のように消えていた。
「しまった。アオ!」
「もうちょっと休ませて。そしたら繋ぐ」
アオは半透明で現れて、また消えた。
古川は押し倒されて首の傷口から血を吸われていた。
「やあ、あん、あっ」弱々しく古川が喘いだ。
「サイファ、そんなに吸うなよ。長持ちさせたい。コイツの血は貴重だ」
「でも、こいつ、ガリガリだ。そんな持たねえよ!」
「うぎっ」
「痛っ!」サイファと呼ばれた男は慌てて口を離して唇を拭った。
「ピリッときた」
「こいつの防御反応だろう。まだ全部明け渡してないのか」
2人は古川の目を覗き込んだが、金色の目は何も写していない。
『そんなに吸われるとホントに死ぬ』
古川は力で覆ったその奥でなんとか目覚めて意識を保っていた。
『また感じが変わった。吸血鬼化が少し進んだような。こいつら自分の入れた力も構わずやたら吸ってるからか」
古川はさっき吸い取ったクロードの力も積極的に取り込んだ。
自分自身がどうなるかわからないが、極限まで利用させてもらうつもりだ。
「こいつ、ナイフで何回も切りつけるし、キリみたいな武器でめちゃくちゃ刺すし、しかも銀だからタチ悪い。人を殺す事に何の躊躇もねえ!殺人鬼か?」
クロードがシャツを脱ぐと、背中や腹に負ったナイフやフォークの後は消えず、首筋も焼け爛れている。
銀はそんなに効くんだ。でも、心臓か脳だな。それ以外は致命傷にはならない。
クロードも古川の血を啜ろうとしたが、古川は結界を首に集中して抵抗した。
『止めろ〜、ミイラになる〜』
「ちっ!ちょっと休もう。銀は本当に効くな」
クロードは舌打ちして廃寺の建物に入って行った。
「祥一郎、どこ?」
復活したアオの焦燥した感情をすぐに掴んだ。
「祥一郎!生きてた!すぐ行くよ!」
「僕が合図するまで待って。僕の準備が済んでからにしよう」
「準備?わかった!早くしてね」
「手を出すなって言われたけど、一回はヤッておかないと気が済まねえ」
サイファが舌舐めずりしながら再び現れた。
古川の服を乱暴に脱がしていく。
すぐに白い裸体がサイファの前に晒された。
「何だこりゃ?」
体をまじまじと眺めてから、古川の性器に気が付くと笑い出した。
「ふたなり?でも、どっちも小せえな。入れるの後ろでいいか」
油っぽいものが股に掛かる。
古川の上に乗し掛かると、古川が目を覚ました。
サイファがハッとして上半身を起こしたが、古川は妖艶な表情で、両手を伸ばしてサイファの頭の後ろに回した。
「素直になっちまって」
サイファは古川の口にむしゃぶりついた。古川は両手でしっかりサイファの頭を抱え込む。
「ん、ん?うっ⁈離せ!」
古川は口からサイファの力を吸い始めた。
同時に身体から金色の手を10本程出し、背中に刺して力を更に吸う。
ついでにサイファの舌も噛んで血を啜る。古川に牙が生えたままなので、改めて首の血管の上から噛み付いて血を出なくなるまで思い切り啜った。
「おえー、甘いのと苦いのと、とにかく、とにかくまっずい!」
クロードの血は甘いだけだったのに、主人と眷属の違いなんだろうか。
でも、血を飲むと言う行為にさすがに嫌悪感を抱き、血の混じった唾を何度も吐いた。
サイファを調べると、既に死んでいるようだが、念の為袴に隠していたフォークで恨みを込めて胸を100回位刺してぐりぐり心臓を裂いてやった。
古川は服を着ようとしたが、股がベタベタしていたので、サイファのシャツを剥ぐとひとしきり拭いた。
「思い切り笑いやがって!後で切り刻んでやる」
まだ腹が立つので、拭いたシャツで顔をぐるぐる巻きにする。
サイファの首からごぎっと変な音がした。力余って頚椎を折ってしまったようだ。
変な方向に曲がってしまった頭はそのまま打ち捨てて、急いで服を着るとクロードの元へ向かった。
「お前、何なんだ、どうして支配されない?」
古川は認知した途端、金色の槍をありったけ出してクロードの身体に打ち込んだ。
「お前の力は俺には通じなかったはず」
「今の僕はおまえの一部だろう?自分自身の力だからダメージを受けるのさ」
「そんな、俺がダメージを受けたらお前も」
「僕はお前とは鍛え方が違うんだよ!このくらい何とも無い」
本当は身体が軋むような不快感と多少の痛みがあるが、平気な振りをした。
「それより質問に答えて貰おうか」
「何を言っている。俺がそんな、簡単に」
「動くな、クロード!答えて、祥一郎はどうなるの?」
冷え冷えとした声でアオが質問した。合図を受けて一瞬で現れたのだ。
クロードは逆らおうとしたが、身体が動かなくなった。
アオは赤い目で睨んだ。
「祥一郎は、吸血鬼になるの?」
クロードは言うまいと歯を食いしばっていたが、負けたらしく、舌打ちして話し出した。
「…今は吸血鬼の力を制御しているらしいが、俺と血の交換をし続けないと、そのうち何もできなくなって力が暴走して発狂するさ。
ショウイチロは能力的にかなり、こっちへ来ている。普通の人間が、そこまで吸血鬼に近付いた事が無いから、断定はできない。人間なら既に正気を失うレベルだ」
「お前が消えたら?」
「…」
「答えろ!」
「俺は、不死身だ。バラバラになっても、例え灰になっても時間はかかるが再生する。今回50年後に目覚めたら、眷属がサイファ1人になっていた」
「だから、仲間をふやそうとしてるのか!サイファは伴侶じゃないのか?」
「伴侶は完璧に自分と同等になる。子孫を増やせる。サイファは俺が初めて眷属としたから強いが伴侶には劣る」
アオは激昂して邪気を身体から噴出した。
「祥一郎は男だぞ!子供ができるわけないだろう!」
「子宮があるだろう。ならば可能だ」
「え、あるんだ」
古川は驚いて思わず自分の腹を押さえた。
「元があるなら発達させられる。その位なら簡単にできる」
「やだ、私、ママになれるの?どちらかと言えば男性器の方を」
古川がふざけて言った。
「冗談じゃない!子供産むなんて、そんな事させるか!!」
アオは飛びかかると邪気でクロードを覆った。
「絶対お前には渡さない!!異空間に閉じ込めてやる!!」
「アオ、それ以上力を出すな!元に戻れなくなるぞ!」
「コイツだけは駄目だ!この前の世界に繋いで閉じ込めてやる!」
「そんな事無理だ、試しただろうこの前!馬鹿アオ、止めろと言ってるだろう!」
古川はアオの邪気を祓うと抱きしめた。
「だって、だって、祥一郎を取られてしまう!人外でも実在する者には勝てない。子供産んだら、そっちに行っちゃう」
「なんで、僕がクロードに惹かれる前提なんだよ!誰が産むか!!これでも男なんだ。僕の興味は力だけだ」
「僕にも興味持って?」
「(アオの力に)興味あるから構うんだ、わかれよ」
「祥一郎、やっぱり僕は君が好きだ」
「どこに好きになる要素があるんだ⁈」
アオに何を言っても無駄な事は改めて認識した。
アオはポロポロ涙をこぼして抱きついている。
「痴話喧嘩はいいから、コイツバラバラにしていいか?」
葵光丸は拾ってきた斧をクロードの首に当て、溜息をついてから聞いた。
「何しても蘇るんだろ?殺る気失せた。違う世界送ってもそこが迷惑する」
「じゃ、どうする?」
「放置!アオ、離してやれ」
「え、駄目だよ!」
古川はアオを引き離すとクロードの方へ行った。
「お前は僕を放置していたら僕の気が狂うらしいが、お前はどうなるんだ?僕はお前の大部分の力を吸ったぞ?」
「まさか⁈あの短時間に?」
古川はにっこり笑った。
「その前に受けたダメージがあったから、力が減ってたんだ。なのに僕に血をやったり、取ったりした。その際に全部力吸ってやった。得意なんだ、力奪うの。与えるのは苦手だ」
「お前、自分がどうなるか」
「もしかしたら狂った方が楽かもな。僕も君と似たような、ある意味不死者だから、いい加減正気でいるのも辛いと言えば辛い」
「俺を脅しても」
「あ、でも僕、死ぬ目に遭ったり、26歳になる迄に、違う世界へ転移してしまう体質でね。そうなったら、このままじゃクロードは消えるんじゃない?」
「本当なのか?」
「転移するのは本当らしいぞ」葵光丸は頷き、アオは一旦泣き止んだのに、また涙をこぼしながら、「僕は絶対付いて行く」と言った。
「転移は絶対起こる。それまでお互い適当に血と力を交換して最終的に人間と吸血鬼に戻って暮らそうって言う提案だ。力を与えたり返してもらったりの加減が苦手だからいっぺんにできない。ヤバくなってきたら来るといい」
「なるほどな」
アオの催眠が解けたクロードは座り込んだ。
「さっきから力があまり出ないと思ってたら、そういうことか。失敗したな」
取り敢えず、古川とクロードは和解した。
「この牙喋りにくいし、目立つから要らないんだけど」
古川は口を閉じて牙だけ出してみせた。
「意識しなければすぐに引っ込む」
「意識してしまう…」口をムグムグしたが変わらなかった。
「じゃあ、蝙蝠になるには?」
後は吸血鬼の能力だ。
「なるわけない。何故蝙蝠なんだ!人間の形が良いにきまってるだろう。そんなの小説の中の話だ」
「えー、じゃ消えるのはどうするんだ?」
「わからん。意識するとできる」
「今の目の色変えられる?」
「さあな、変えようと思ったことないからな」
「他人を支配できる?」
「血を吸えばな。そうじゃなければ弱い。でもお前は前からその能力有るだろ?」
「怪力、瞬発力向上、遠見、硬い牙と爪伸ばす、血を吸って吸血鬼の力にできる…しかないだと⁈」
「銀には気を付けろ」
うがーっと古川は吠えた。
「快適な吸血鬼生活が送れんではないか!」
「そんだけあれば十分だろ?おまえ、今のままでも不自由してなさそうだ」
「足りない!更に良い生活を望むのは人間の性だ」
クロードは負けた、と言うように笑った。
「訂正する。お前は化け物のようだが、単に欲望に忠実なだけの人間だよ!」
これ以降クロードはおとなしくなり、何故か葵光丸の家にちょくちょく招かれ、葵光丸と頭や手足が飛ばない程度に闘い、葵ともやり合って指導のような事もしている。
眷属でも死なないサイファもクロードと渋々提供した古川の力で元のように蘇った。眷属のままなので、否応無くクロードに付き合っている。
三ヶ月に一回程度にクロードは古川の血を求めてやってくるので、交換している。その際にクロードの力を返しているので、徐々に古川の吸血鬼能力は少なくなっている。目は元の薄茶色に戻って牙も引っ込んだ。
お互い血の交換をした後は怠い。クロードは古川の血を余り吸わないように力を取り入れなくてはならないし、古川はクロードの力を吸わないように血だけを補充するのだが、一気に血を補充したい吸血鬼の本能では難しいので神経を使う。クロードも古川も繊細なことは苦手だ。
結果、1時間位の交換で、 動けなくなり下手すると一日中2人で同じ布団でゴロゴロしている。
「また、同じ布団にいる〜!子供作ってるんじゃないよね?」
「アオの思考が短絡的すぎる」
2人の様子を見たくないと葵光丸の家に行っていたアオが帰って来た早々に文句を言っている。
「そんな訳ないだろ」
「俺はいつでも要求に応じるぞ」
「吹っ飛ばすぞ」
「怖い奥さんだなあ」
2人とも口だけで実際は動くのも億劫だ。
「折角猪肉貰ったから鍋しようと思ってたのに!!」
「アオ、猪鍋食べたーい」
「猪は久しぶりだ」
「何でクロードまで!」
「後でキスしてあげるよ〜アオ」
「忘れないでねその約束!ちょっと待ってて」
「お前の伴侶はちょろいな」
「チョロい、なんて言葉よく知ってたな」
「お前がよく言ってる」
クロードは不意をついて古川にキスして軽く抱きしめる。
「止めろ、アオに呪われるぞ」
「ショウイチロは本当に不感症だな。それに残酷で身勝手で美しい。惚れた。やっぱり伴侶になれ」
古川はクロードを引き離すと勢い良く上半身を起こした。
「美しいはともかく、他どこに惚れる要素があるんだよ。おかしいぞ?お前」
「お前はサディストだろ?俺はお前のせいでマゾに目覚めた」
「うう、それ僕の責任か?」
くらっと眩暈がしてまた布団に横になった。
すかさずクロードが古川の身体を弄り始めた。
「気性も男なのに、身体は女より華奢で両性を持つ。そのアンバランスさがそそる。俺の子を産めよ」
「う、吸血鬼の子産むとか、キモチワル…」
古川がクロードの不埒な手を押さえ込んでいるとアオがやってきた。
「用意できたよ…!クロード!祥一郎ぅぅ⁈」ルンルンで傍にやってきたアオが一変した。
「折角良いところだったのに、今俺が口説いてるから後にしろ」
「僕が、はいそうですかって言うと思う?」
「猪鍋食べよう!な?アオ!クロードは余計な事言うな!僕はとってもお腹空いた!」
古川はクロードから脱出すると御膳に着いた。ぐうっとお腹が鳴る。
アオがそれで渋々と仕込んだ鍋を持ってくる。
クロードもニヤニヤしながら向かいに座った。
古川は人間?(?怪異?)関係の面倒臭さに気が遠くなる。拗らせてるアオだけでは無く、吸血鬼のクロードにまで好意を持たれてしまった。
取り敢えず何も考えずにひたすら猪鍋を堪能した。
「うま〜、美味しいよ、アオ、最高!」
古川はアオをちょいちょいっと手で呼ぶとチュッとキスした。
「もー!クロードの前で!もっとして、祥一郎」アオは古川の頬にキスを何回も返した。
「アオ、食べにくいって。クロード帰ってからな!」古川は適当に言った。
「今日は泊まっていく」
「「帰れ」」
アオは古川ともっとイチャつきたいから、古川は面倒が更に面倒になったから言った。
「俺、大抵外で寝てるからな、たまにはフトンで寝たいな」
「日本は空き家多いから、お前なら勝手に入れるだろう?」
自分さえ良ければいい、古川らしい発言だ。
「古い家の臭いが嫌なんだ。煙臭い家とかな。物を貰いにはちょくちょく入るが、長居するとすぐバレる」
「単に空き巣じゃないか!」
「どこでも入れるゴーストに言われた」
「僕は物を取らないし血も吸わない!」
この三人の中で一番倫理観があるのはアオ、なんだろうか。
「あーもう、布団出すからそっちで寝ろ!風呂は僕の後な!」
「いいぞ。日本の風呂は良いよな、温まる」
「吸血鬼が温まってどうするんだよ!」アオが怒って突っ込む。
「アオ、もうちょっとしたら風呂の用意な」
「はーいって、もしかして一緒に入るの⁈僕も入る!」
「そんな訳無いだろ!!」
「別に構わんが」「おい!」
「駄目だよ!僕が背中流してあげる、全部洗ってあげてもいいよ」
「ゴーストの癖に何がしたいんだ?俺はその続きをしたいんだ」
「孕ませたら地獄に送るから。僕だってある程度まで続きできるよ。祥一郎の身体は隅から隅まで知ってるんだから!」
アオとクロードの古川談義が激しく(あやしく?)なってきた。
「お前等いー加減に黙れ」
古川がにっこりと引き攣った笑顔で言った。
『『しまった』』
二人に向けて片手を横に払った瞬間、2人とも古川が命名した「魔返し」の結界が発動して外へ追い出された。
「誰が一番偉いか、考えろ!」
クロードは平気で地面に横になっていたが、アオはいつものように泣き喚いたので、結局2時間位して入れた。
風呂は1人ずつ入った。アオは風呂洗いの為最後にされてぶつぶつ文句を言っていた。
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