第25話 囚われの看護助手と看護婦達

眩しさが薄れ、そっと目を開けると今度は木漏れ日が網膜を焼いた。

背の高い樹木に囲まれた林の様な場所にいた。


「僕は鹿波碧かなみ・あお。この病院の入院患者だよ」

「かなみ、あお?古川祥一郎じゃないのか?」


瞬きしていると、目の前の青年と握手しているのに気付いた。


「古川祥一郎は君じゃないのか?」

鹿波碧は可笑しそうに言った。


「はあ?いや、そうなんだけど、鹿波さんは」

「アオ、でいいよ」

「アオは古川祥一郎では、ないと?」

アオはコクコクと頷いた。

「そうだよ、僕はずっとずっと、鹿波碧。ねえ、ここへは患者で来たのかい?それとも」


「鹿波君、もうすぐ先生の回診の時間ですよ」

頭を三角巾で包み、白い昔の看護婦の格好をした女の子がやって来た。


「もう、そんな時間か。すぐ戻るよ。で祥一郎は?」

「もしかして、新しく来られた看護助手さんかしら?」

看護婦が期待を込めた目で古川を見た。

「え、違」

「そうだった!よろしくね。お世話かけるけど」

アオは古川の言葉を遮って弾んだ声で言った。

「鹿波君はよく脱走はするけど手は掛からないわ」

「だ、そうだ」

アオは握った手を上下に軽く振ってから離した。


早足の看護婦、後ろをゆったり歩くアオ、古川の順で歩き出す。


三階建ての白壁の病院が背後に見える、手前には遊歩道が有り、庭にはよく手入れされた花が咲き乱れ、白いアイアンのベンチが彼方此方に置かれている。


『看護助手って何言ってるんだ此処どこだよお前だろ此処へ引き込んだの』

と言う文句を込めた視線を投げたが、アオは振り返って人差し指を口に当てた後は前を向いて歩いていく。


青みを帯びた優しげな黒い目、同じ色の黒髪は目が隠れるギリギリで整えられ後ろも同じくらいの長さのサラサラのストレートだ。こけた頬と青白い皮膚、古川よりはマシだが痩せ細った身体はやはり病人の様だ。背は古川より10cmほど高い。

糊の取れたくたびれた寝巻き用の薄青い浴衣の上に古ぼけた黄色のカーディガンを肩からかけている。


明るいところに出てやっとアオの容姿を確認できた。

古川祥一郎とは外見からして全く違う。

しかし、不思議な事にアオに対するあの時の感覚は消えていない。


此処は廃墟になる前の病院らしいが、外観の差からいつの頃なのか分からないし、この世界に違和感を感じる。


詳しい事は、また二人きりの時に聞こう、と思っていた。


が、病院の中に入るとアオは何も言わずに怠そうに2階へ上がってしまい、古川は地下の職員用の更衣室へ連れていかれた。

そして、渡された白い丸首の厚手の綿シャツと、ズボンに着替えさせられた。


「何なんだ一体」ロッカーに荷物を入れ、外へ出た。

前の廊下で待ち構えていた看護婦は、簡単に色々仕事の説明を始め、終わるといきなり仕事を山ほど振られた。


全室のリネン類の取り替え、その後は汚れたリネンを手で洗濯して干す。布団も干す。各部屋は箒と塵取りで掃除、病室に水道は無いので一日3回の飲み水の取り替え、食事の配膳。


看護助手って、僕に雑用をしろって事か!


他の看護助手達は無表情に黙々と仕事をこなしていく。

雑談したり、サボっている者は一人もいない。



「やってられるかー」


古川は叫んで、渡された洗濯するシーツと固形石鹸をタライに貯められた水の中に放りこむと外へ逃げ出した。

病院から外へ出て少し離れると、此処に来た時に居た林に来た。


切り株に腰掛けると持ってきたクッキーの袋を開けて2、3枚取り出していっぺんに口に入れた。


自棄になってバギバギモゴモゴ食べてるとアオがやって来た。


古川が恨みがましそうな目で見たが、素知らぬ顔でアオは隣に座った。

「一枚貰っていい?」スッと手を出す。

言われた通り一枚だけ渋々乗せた。


受け取ったクッキーを少しずつ食べていく。

「美味しいな。クッキーなんて久しぶりに食べた。ここじゃそんなハイカラなもの出ないからね。せいぜい薄甘い蒸しパンか果物さ」

「クッキーは持ってきていたからな」

「貴重なお菓子をありがとう」

水筒に残っていた最後のお茶を飲んだ。



「お前が道を歪めてるのか?」

古川はいきなり核心をついた。

「世間話にも付き合ってくれないのかい?」

アオは少し困った風な顔になった。


「歪めたよ。なるべく、僕のいない時間誰にも来てほしくないから」あっさりと認めた。

「あの部屋にいたのは?」

「あそこは僕の病室。こことあそこで部屋が夜だけ繋げられるんだ。長い時間居られないが、そちらに出た時に道を維持したり、集めた霊や人をこちらに引き入れている。

前に脇道に入る所で壁を作ったらみんな追突するから道にしたんだ」

アオは得意そうに言った。


「あそこは怪異や霊が集まる危険な場所だよ?何故入ってくるんだろう?」

古川は微笑んだ。

「わざと夜開けておいてる癖によく言えるな。引き寄せた霊と怪異と人で自分の力を補充してるんだろ?」

「この世界を快適に維持する為でもある。でも、霊や怪異はともかく、夜なんかにやって来る人間が、まともな奴か?そんなのはどうにでもしていいんだよ」

アオは罪悪感を全く感じさせない口調で言った。


「それについては意見が合うが、連れ去った人間はどうしてるんだ?」

「祥一郎と同じ看護助手か、看護婦として、そして僕に力をくれて、真面目に働いて此処を維持してるよ。多分死ぬまで」


「全員催眠かけて?」

「そうだね。洗脳になるのかな?でも祥一郎にはできなかったから、仕事が辛いんだよ」

「当たり前だ!有無を言わさず連れてきて、看護助手ですよ、はいそうですかって働けるか!お前の病院ごっこはもういいだろ?全員帰せ!」


「今まで帰した事ないから、やり方がわからない。僕が死んだら此処に来た時に戻るんだ。この世界のループの原因も謎だ」

アオは笑ったがすぐ咳き込んだ。腰に挟んでいた手拭いで口を覆う。

「世界のループ?」

咳が治まって古川に見せた手拭いに少なく無い血が付いていた。

「ほら、また死が近付いてきた。僕は此処にきた時から死ぬまでを何回も繰り返している。でも何度死んでも死ぬ時は苦しいもんだ」


「そうかい。僕もループしている様なもんだが、違う世界に移動するし、死んだことがないからわからん。死ぬ目には何度も合っているから苦しみには同情する」

アオは弱く笑った。

「そうか、祥一郎、だから僕のいる世界にいても平気なんだな。僕達は力と存在位置がとても似ているんだ」

「そうだな。古川祥一郎と同じ気配なのは、多分世界で浮いた存在だからだ。でも、強制的に別世界へ転移される僕達と違う。アオは一人で」


古川は隠し持っていた小型包丁を出すと、アオの首に切りつけた。

「断ち切れる」


血管を切れた様で血が噴き出す。

アオは喋ろうとして口を開けたがだらだらと血と唾液が溢れた。

アオが手で血が噴き出した所を押さえると、血の流れが止まっていった。


「まだ死ぬ日じゃない」多少咳き込みながらアオが言った。

更に古川はアオの心臓目掛けて包丁を突き刺した。

また血が吹き出し、古川の身体まで血まみれになった。


「アオ、君はもう死んでるんだ。認めないから苦しいんだ。病気も傷つくのも思い込みで、アオの肉体は既にどの世界にも無い」


アオがふうっと息を吐くと悲しそうに言った。

「そうか、そうなるのか。僕の気持ちをわかってくれる祥一郎なら一緒に居られると思ったんだけど」


「僕なんかじゃ無くて、どうせ本当に居て欲しい人は、別の場所にいるんだろ?」


いつの間にか血は止まっていた。アオは血塗れのまま古川に向かって微笑んだ。


「そうだね、そんなことは無かったけど、病気が治ったら必ず会いに行きたいと望んでた人はいた。無理な願いだったけど、希望だった」


「死んだんだから仕方ない。これだけ血を流したのに死ねないのか!」

古川が自分で流させた血の臭いに気分が悪くなった。これだけリアルに再現できるアオの能力にも密かに驚いた。


「ループの最初の方なら死を認識させる有効な手だと思うけど、もう遅いよ。ループは止められないけど、今では何回繰り返そうとも完全に僕だけの為の世界なんだから」

アオは古川に向かって迎え入れる様に血塗れの両手を広げた。

「わかった?此処は君を閉じ込める檻になったんだ。他の患者は何も知らない」

「違う!他の入院患者も記憶が残ったままループしている!病気が重すぎて動けないだけだ」


「別に死なないなら、いいじゃないか」

「お前も大概酷い奴だな」

「どうだろう?死にたいなら殺してみても良いけど祥一郎はどうやったら納得して、進んで僕と一緒に居てくれる?」

「どうして僕が死人の相手をしなくちゃならないんだ」

「祥一郎はそういう人じゃないの?いつも霊や怪異を相手してるんでしょ?」


いつの間にかアオに考えを読まれている。

「相手してるんじゃ無くて抹殺してるんだ!お前もその対象だ!」

「怖い怖い。でも例え僕を殺せても、この世界は無くならないよ。しかも僕が道を繋げなければ、ここに永久に閉じ込められたままループするんだ」

「本当にそうかな?」古川は挑戦的に言った。


アオは考え込んでいたが、パッと明るい顔になって言った。

「そうだ、祥一郎の会いたい人をここに呼べば、その人と一緒なら此処でいいでしょ?」

「要らぬお世話だ。お前の会いたい人を呼んで一緒に住めばいいだろ?哀れんで無限に看病してくれるよ」


「それができたらなあ。僕がこんな事になっている間に、向こうも人生終えてるんじゃないかな。此処にいると日にちが分からなくなってさ」


「やっぱり、女への未練か。どいつもこいつも悪霊は好きだな、怨恨と恋愛」

「僕は悪霊じゃ無いし、怨恨と恋愛も持って無いよ」

「自分で気付いてないのが恐ろしいな」



「鹿波さーん」呼ぶ声が聞こえた。

「お前、いっつも呼ばれてるな」

「部屋にいるの嫌いなんだ」

「病人の癖に」


パタパタと看護婦がやってきた。

「点滴するのでお部屋に戻って下さいよ」

「もう行くから。ありがとう」

看護婦はニコッと笑って元来た道を走って帰って行った。


「今、お前と僕の血みどろの姿見たのにスルーしてた」

「見せたく無いものは見せない」

「でも血みどろだぞ?」

「洗ってね、看護助手君」

「え"!嫌だよ!」

「自分の洗うついでにいいだろ?手持ちの寝巻き、そんなに無いんだ。ループしたら新しいのが又あるけど。祥一郎も患者と騒動を起こして監禁部屋とかは嫌でしょ」


ちっ。古川が舌打ちした。

「全くお前の都合のいい世界だな」

「そうなってしまったんだから仕方ない。此処に居て世話してくれるよね?」

「嫌に決まってるだろ」


また看護婦が走ってやってきた。

「えと、鹿波さん?」

「君もアオって呼んでいいよ」

「他の看護婦さんが呼んできてって」

「さっきも来てたぞ」


「あれ?」

戸惑う看護婦の様子がおかしいのに気付いて顔を見た途端、古川は流れるようにアオを殴った。

アオはふらついて尻餅をついた。


「クソッ!手が痛い!非力なのが腹立つ!」

「あなた何してって、アオっ、その血!」


「お前何してくれてんだ!!」

古川は握った手を震わせて叫んだ。


「会いたい人を呼んであげたよ。これで僕の側に居てくれるよね?祥一郎」

「誰も頼んでない!夕凪は関係ない!」


伝えにきた看護婦は「え?」と辺りを見回してから二人を見ると不安そうに言った。

「あれ?古川さん、此処はどこです?そして何故私は看護婦のコスプレを?古川さんは外科手術後の医者?えっと、アオは血みどろのゾンビ?もしかして、ハロウィン?」


「!!トリックオアトリート!!なわけあるか!!」


はあ〜〜〜〜

怒鳴ってから腹の底から溜息をついて古川は力無くうずくまった。


「部屋に戻らないと。じゃあ、後で寝巻き取りに来てね」

ナオは平然と立ち上がると病棟へ歩き出した。


「古川さん⁈どうしたの?説明してお願い」

夕凪はオロオロとして古川の肩を掴んだ。

「夕凪」

下を向いた古川から低い声がした。

「今までどこにいて、どうして此処にいるの?」


「うえっ」夕凪はびくつきながら白状した。

「それが、学校帰りに、古川さんが待ってるよって男の人に言われて、あ、それってアオだ!どこでって返事したら、連れて行くって、あれ?その後の記憶が無い」


「また、夕凪の帰り道にか。いやもういい、もう言うまい。あいつ、病室じゃなくても引き込めたんだ。そもそも僕が報酬につられたのが悪かった。ついでに今回は確実に夕凪を怖がらすと目論んでいたからな」

「古川さんの仕事を受ける基準が私に鬼畜過ぎ」

夕凪は不満たっぷりに言った。


「それだけじゃ無いよ。住処の屋根瓦葺き替えたかったんだ」

「それはそれは!私の事は単なる趣味ですね、分かりました」

「趣味というより生き甲斐だよ」古川はにっこりして嬉しそうに言った。

「何ですとー⁈」


もう一度溜息をつくと、古川は頭を抱えた。

「此処は閉ざされた世界で、アオが支配している。しかも時間がループする。僕の方が戦うのは強いのに、この世界だとあまりアオに僕の力が効かない。僕と力が似てて、空間掌握と催眠はアオが上だ。こんな厄介な奴と遭ってしまうとは!ん?」


古川は顔を上げた。

「それでも催眠解いた夕凪はエライエライ」

「それは古川さんがアオを殴ったのを見たお陰もあります。私、すご〜く馬鹿にされてるような」


「褒めてるんだよ。僕はこの世界と元の世界を繋げられない。つまり、僕達はアオの御機嫌を取らないと帰れない」

「えー!!」

夕凪は口をポカーンと開いた。


「アオに特別に気に入られたのは僕で、夕凪は僕に言う事きかせる為の人質だな」


「ええ、それは、油断して、本当に申し訳ありません!そんなパターンがあるとは!稲荷神社の時と逆ですね」

「この隠された僕の魅力に気付くとは」

「かなり変わった人ですね」

古川はわざと言ったのに夕凪はうっかり素で答えてしまった。しまったつい。


古川は笑顔で手をワキワキさせて夕凪の正面に来た。

「僕の魅力をわかってない人に、わからせてもいいんだけど?」

夕凪は古川からサッと距離を取った。

「わかってます結構です」


古川はにっこり笑った。

「当面、此処で生活する振りをしなければ、監禁部屋に入れられるそうだ」

「え、なんで?私、こんな格好になってますが、看護師とかできませんよ?」

「准看護師なら、清拭とか、点滴や注射の準備?」

「う、取り敢えず習いながらします」


「悪いね、でも此処の患者死にかけばかりだから、失敗しても気にしなくていいよ」

「どうして、そんな事言うんですか!」

「夕凪の気が楽になるかなって」古川はちっとも悪気無くしれっと言った。

「思いません!頑張ります!」

夕凪はぷりぷり怒りながら病棟へ小走りで行った。


「僕もいい加減戻るか」と言ったものの、クッキーをもう2枚ほど食べてからにした。


嫌々帰ると、シーツの洗濯は終わっていて、誰も文句を言ってこない。

うん、適当にしよう。

そう決めて楽そうな配膳に付き合った。


ご飯をアオの部屋に持っていくと、ベッドに横たわっていて点滴の途中だった。

顔色が悪い。

「飯だけど、アオ食べる必要あるのか?」

トレーを小さな車付きテーブルに置いて、アオの側に近付けた。


アオは無理矢理笑顔を作った。

「ここでは生きてる限り食べないと」

「アオは死んでるって言っただろ?」呆れて言う。


「さっきの刺されたのが、結構効いたよ。今頃動けなくなって、それ見た看護婦に更に点滴された」

「お前が溜め込んである力をかなり抜いたからな」


「そんな事したら余計帰れないよ。力に余裕が無いと繋がらないよ?」

「どうせ、そんな気無いだろう?」

「うん、全く無いよ。僕の世話して欲しい」

「やだよ」

「僕の担当に決めたから」


「おいおい、そんなは勝手に、決められるのか。アオ君は甘えただなあ」

イラついてからかった。

「そうだよ。祥一郎もそうだろ?」

アオは手招きした。

「起こして?」

古川は少し躊躇った後、近付いて片手をアオの首の下に入れた。


アオが不意に点滴をしていない手を伸ばして古川の後頭部を掴んだ。

そのまま引き寄せられ口付けさせられた。


古川はそのまま何回かされるのを受け入れてしまった。自分の口にぬるっと舌が入ってきて、漸く我に返り突き放した。

このような事をされるなんて思いもしなかったので油断した。

「催眠かけたのか、この一瞬に!この僕に⁈」

点滴してるから安易に動かないと思って油断した!


「この世界は祥一郎より僕に有利にできてるからね」

祥一郎は思ってもいない事態にかなり動揺した。男からキスされるとは思ってもいなかった。

「もしかして、アオは、僕を性的な対象として見てるのか」

「そうだよ。一目惚れ」アオは悪びれずに言い切った。

 

「心底理解できない」

男女どちらも性愛を抱かない古川からすると、アオの心情は異様だった。


「僕ら男同士だぞ?」

「わかってる。僕も今まで同性に惹かれるとか、有り得無いと思ってたけど、祥一郎に対しては違ってた。他の人と比べると、一緒にいてとても心地良いんだ。君の美しい顔にも惹かれるね。夕凪もなかなか可愛いし、力の質が近いから、祥一郎の替わりになるか試してもいいけど?」


「殺す!絶対殺す、夕凪は僕のものだ!」

古川はアオを全力で祓おうとしたが、突然全身を掻き回される様な不快感と頭痛がしてきて力を集められない。

頭を押さえてアオを睨んだが、アオは薄笑いするだけだ。


「すぐ殺そうとするんだから。まだ包丁持ってるの?」

「コックに持ち出したのバレて取り上げられた」

「そう、残念だったね。次はロープとかで首絞める?」

「僕は非力なんで、物理的な力が沢山要るのは向いていない。良かったな、窒息死は苦しいだろ?」

「そうだね、楽しみにしてるよ。でも、君の集中は乱せるみたいだね」


今のところ何やっても無駄か。

「早く食べろよ」思い切りぞんざいな口調になった。

「食べさせて」

「言うと思った。甘えるな」アオからの軽い催眠は断ち切れた。

アオの余裕な表情に腹が立ち、また催眠をかけられる前に古川はふらっと出て行った。


いい加減嫌になり、回収は別の者にさせようと、夕凪の様子を見に行った。

血圧計の使い方を習いつつ、恐る恐る患者の血圧を測っていた。


「夕凪も何とかなりそう」


古川は病室の掃除をしにいった。






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