EITOエンジェル総子の憂鬱(仮)15

クライングフリーマン

宝石店強盗

 ======== この物語はあくまでもフィクションです =========

 ============== 主な登場人物 ================

 南部(江角)総子・・・大文字伝子の従妹。南部興信所所長の妻。EITOエンジェルのチーフ。

 大前英雄管理官・・・EITO大阪支部の管理官。コマンダー。総子からは『兄ちゃん』と呼ばれている。

 足立祐子・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 石動悦子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 宇野真知子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 丘今日子・・・EITO大阪支部メンバー。看護担当。元レディース・ホワイトのメンバー。

 河合真美・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 北美智子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 久留米ぎん ・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトの総長。 EITOエンジェルス班長。

 小峠稽古 ・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 和光あゆみ・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

 中込みゆき・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

 海老名真子・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

 来栖ジュン・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7の総長。EITOエンジェルス班長

 愛川いずみ・・・EITO大阪支部メンバー。通信担当。

 白井紀子・・・EITO大阪支部メンバー。資材・事務担当。

 芦屋一美警部・・・大阪府警テロ対策室勤務の警部。総子からは『ひとみネエ』と呼ばれている。

 芦屋二美(ふたみ)二曹・・・。三つ子の芦屋三姉妹の次女。陸自からの出向。総子からは『ふたみネエ』と呼ばれている。

 芦屋三美(みつみ)・・・芦屋財閥総帥。総合商社芦屋会長。EITO大阪支部のスポンサー。総子からは『みつみネエ』と呼ばれている。

 南部寅次郎・・・南部興信所所長。総子の夫。

 小柳警視正・・・警視庁から転勤。大阪府警テロ対策室室長。

 馬場力(ちから)3等空佐・・・空自からの出向。オスプレイまたはホバーバイクの操縦士。本部と支部の連絡便としてもオスプレイを操縦する。

 大文字伝子・・・総子の従姉。翻訳家。DDリーダー。EITOではアンバサダーまたは行動隊長と呼ばれている。。EITO大阪支部は、伝子が推奨した。

 大文字学・・・伝子の、大学翻訳部の3年後輩。伝子の婿養子。小説家。EITOのアナザー・インテリジェンスと呼ばれている。

 一ノ瀬(橘)なぎさ一等陸佐・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。皆には「一佐」と呼ばれている。

 久保田(渡辺)あつこ警視・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。皆には「警視」と呼ばれている。

 愛宕(白藤)みちる警部補・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。愛宕刑事の妻。

 金森和子二尉・・・空自からのEITO出向。馬場と恋愛関係であったことが発覚した。

 増田はるか三等海尉・・・海自からのEITO出向。

 馬越友理奈二曹・・・空自からのEITO出向。

 大町恵津子一曹・・・陸自からのEITO出向。

 田坂ちえみ一曹・・・陸自からのEITO出向。

 浜田なお三曹・・・空自からのEITO出向。

 新町あかり巡査・・・みちるの後輩。丸髷署からの出向。

 結城たまき警部・・・警視庁捜査一課からの出向。

 安藤詩三曹・・・海自からのEITO出向。

 日向さやか(ひなたさやか)一佐・・空自からのEITO出向。

 飯星満里奈・・・元陸自看護官。EITOに就職。

 稲森花純一曹・・・海自からのEITO出向。

 愛川静音(しずね)・・・ある事件で、伝子に炎の中から救われる。EITOに就職。

 工藤由香・・・元白バイ隊隊長。警視庁からEITO出向。

 江南(えなみ)美由紀警部補・・・元警視庁警察犬チーム班長。EITOに就職。

 伊知地満子二曹・・空自からのEITO出向。ブーメランが得意。

 葉月玲奈二曹・・・海自からのEITO出向。

 越後網子二曹・・・陸自からのEITO出向。

 高木貢一曹・・・陸自からのEITO出向。剣道が得意。

 小坂雅巡査・・・元高速エリア署勤務。警視庁から出向。

 下條梅子巡査・・・元高島署勤務。警視庁から出向。

 斉藤理事官・・・EITO司令官。EITO創設者。

 草薙あきら・・・EITOの警察官チーム。特別事務官。ホワイトハッカーの異名を持つ。

 渡伸也一曹・・・EITOの自衛官チーム。GPSほか自衛隊のシステム担当。

 夏目警視正・・・EITO副司令官。

 愛宕寛治・・・伝子の中学の書道部の後輩。警部。丸髷警察署に普段は勤務している。

 橋爪警部補・・・丸髷署刑事。普段、愛宕とコンビを組んでいる。

 久保田警部補・・・警視庁刑事。あつこの夫。

 久保田管理官・・・久保田警部補の叔父。EITOの前司令官。EITOと警察のパイプ役。立てこもり犯との交渉人でもある。

 筒井隆昭・・・伝子の大学時代の同級生。伝子と一時付き合っていた。警視庁副総監直属の警部。EITOに出向。

 副島はるか・・・伝子の小学校の書道部の先輩。彼女の父が書道部顧問。自宅と菩提寺に書道教室を開く。ある事件をきっかけに、EITO準隊員になる。

 ケン・・・通称ケン・ソウゴ。かつて、死の商人として伝子が対峙したが、実態はイーグル国のスパイだった。ピンチの時、伝子の助っ人に現れる。イーグルが独立した後も、スパイ活動をしている。

 ジョー・・・過去の事件で、伝子と対決した、ヌンチャクの名人。ピンチの時、伝子の助っ人に現れる。

 ジャック・・・過去の事件で、伝子と対決した、三節棍の達人。ピンチの時、伝子の助っ人に現れる。


 兼子省吾・・・副島の父の弟子。伝子と愛宕の恩師。

 宮本貞子・・・副島の弟子。



 = EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す =

 ==EITOエンジェルズとは、女性だけのEITO大阪支部精鋭部隊である。==

 =エマージェンシーガールズとは、女性だけのEITO東京本部精鋭部隊である。=


 ブラックスニーカーとの決戦前夜。午後10時半。EITO大阪支部。作戦司令室。

 大前は、深夜にも拘わらず通信が入ったことにただならぬ連絡だと悟った。

 「大前さん。恐らくブラックスニーカーは、人質の副島先輩と、武装集団を連れて来ると思うんです。人質交換なんかしないで、私をいたぶる積もりです。そこで日向達に時間稼ぎをさせながら、EITOエンジェルに急襲して欲しいんです。前田空将は喜んで引き受けてくれました。明日午前中に、EITO大阪支部に自衛隊機が10機発着離陸します。EITOエンジェルを乗せて欲しいんです。勿論、10人しか乗れないので、後はオスプレイで移動して下さい。オスプレイ班は先発として、エマージェンシーガールズと合流して下さい。」伝子は慎重に、そして、正確に大前に作戦を告げた。

 「伝子さん、詰まり、EITOエンジェル達は、パラシュート部隊で降りる訳ですね。」

 「そういうことです。東京ドームの屋根は、東京本部のスタッフが操作します。パラシュート部隊に皆が気を取られている隙に、副島先輩を救出します。パラシュート部隊は降りたらすぐにエマージェンシーガールズと合流して下さい。」

 「馬場を使っていいんですね。」「勿論です。これは作戦です。作戦に私情は禁物です。作戦が終り次第、隊員を運搬して帰ること。これを馬場君に伝えて下さい。2人のこれからは、理事官に一任しましょう。」「了解しました。朝イチで招集して向かわせます。ご武運を!」「ありがとうございます。」と伝子は通信を切った。

 「今日は眠れそうにないな。」「じゃ、ワインでも飲む?」

背後に芦屋三美がいた。三美は、いきなり大前にキスをした。

 「飲む?って、もう酔うてるやないかい!」と、言った大前に「職場恋愛、いいじゃない。私が無理矢理成就させてやる。」と三美は言った。

 「お休み!」と言って、大前は仮眠室に向かった。

 「こらこら。」「大人を虐めちゃイカンでしょ。」一美と二美が顔を出した。

 「総子がいたら、ピコピコハンマーね。」よく似た三人は揃って笑った。

 翌日。午前9時。EITO大阪支部。会議室。

 「と言うわけで、急遽、東京本部の応援や。最近、『えだは会』も出没しているし、他の事件もいつ起こるか分からん。今回の作戦が終り次第帰阪や。ちょっときついけど、辛抱してくれ。中部方面隊から空自の複座戦闘機F-15D が10機来る。パイロットの席の後ろに乗り、合図と共に、パラシュートで降りる。自衛隊機に乗れなかった者は、オスプレイで移動や。こちらは、エマージェンシーガールズと、先に合流する。ユニフォームはエマージェンシーガールズのものを着るように。ぎん、ジュン、パラシュートの練習した筈やが、降りられへん者は?」

 「兄ちゃん。稽古と真子がまだあまり実践訓練出来てへんねん。」と総子が言った。

 「そうか。よし、聡子と稽古と真子は、馬場のオスプレイに乗って先に行け。後の者は、今言った通りや。パラシュートを外している間は、弓矢隊やホバーバイクがフォローしてくれる。臨機応変に行動やな。以上や。こんなところです、小柳警視正。」

 最後は、マルチディスプレイに向かって大前は話した。

 「今、コマンダーが言った通り、不測の事態が起こる可能性がなくもない。ただ、 今回は『幹』との大決戦だ。何が起こっても、闘いが終るまではこちらから連絡をして出動要請はしない。健闘を祈る。」

 午前10時。オスプレイが発進した。オスプレイには、総子は稽古と真子を伴って、乗った。

 午前11時。中部方面隊から、空自の複座戦闘機F-15D がやって来た。カタパルトが2機分しかないので、順次着陸し、乗員を乗せ、離陸した。

 午後12時半。戦闘機10機が一斉に飛び立った。

 先頭機の複座に芦屋二美が乗っている。残りの複座のジュンが言った。

 「ウチら、ボウリングのピンみたいやな。」

 「余裕だな、EITOエンジェル。そんな冗談が言えるなんて。自衛官にはいないぜ。」

 操縦席の自衛官が言った。「ありがとう。」「その調子で敵をガンガン攻めてやってくれ。俺達は運ぶだけで、直接手助け出来ないが、成功を祈っている。」

 「任しといて!!」操縦席の自衛官はまた笑った。

 午後2時半。東京。自衛隊目黒基地。

 戦闘機10機は、発進を待っていた。

 『EITOより入電。各機、東京ドーム上空に移動せよ。』

 自衛隊機は、東京ドームに向かった。

 午後3時5分。東京ドーム。

 エマージェンシーガールズと、敵の集団は、既に対峙していた。副島という人質があるから、すぐには動けない。

 各機が上空に到着すると、屋根が開いた。

 手はず通りだ。1番機から順に、下降し、複座からパラシュートを身に着けたEITOエンジェルが飛び出した。機はすぐに離脱し、上空に消えた。

 敵の集団が戦闘機に気を取られていると、EITOエンジェル姿の大文字伝子が、敵の幹部に注射器を当て、眠らせた。

 敵の集団のリーダーが、その方向に向かって叫んだ。「おい、何をした?」

「おっと、ここからは、私たちのターンだ。フォーメーションA、B、C!!」となぎさは、インカムに叫んだ。

 EITOエンジェルズは、パラシュート部隊として着地し、順次パラシュートを体から切り離した。

 なぎさの率いるエマージェンシーガールズと、エマージェンシーガールズ姿の総子達は、敵を攪乱しながら、ペッパーガンで敵に向かって行った。ペッパーガンとは、胡椒等を成分とした丸薬で出来た弾を撃つ銃である。火薬の込められた銃ではない。エマージェンシーガールズもEITOエンジェルズも、殺傷能力のある武器は禁じられている。民間企業だからであり、警備会社と同等である。

 EITOエンジェルズは、二美の合図で、エマージェンシーガールズと違う動き方をしながら、参戦した。4台のホバーバイク隊が、後方支援の弓矢隊を追い越し、水流ガンを放った。水流ガンとは、圧縮した水をグミ状にして撃つ銃である。吹き矢ガンも開発されたが、前述の通りの規約上危険ということで、今は使われていない。

聡子達は、敵の銃火器が使用困難になったらすぐにシューターとバトルスティックで追い詰めて行った。シューターとは、うろこ形の手裏剣で、足止め用に、敵のつま先目がけて放たれる。先にはしびれ薬が塗られている。バトルスティックは、3段階に伸縮する棒で、このバトルスティックの先端にも痺れ薬が塗ってある。

各所に敵を追い詰めた班から順に、新兵器の熱反応弾が撃ち込まれた。屋根のオスプ レイが移動し、ネット弾を落した。ネット弾は地上2.5メートルに到達すると、自動 的に網を広げる。森などにある仕掛けのような形ではあるが、そのまま上空に掬い上げることは出来ない。飽くまで一時的な捕獲である。

 警察の機動隊とワゴンが到着した。ワゴンの中に、斉藤理事官もいた。

 戦闘のただ中、ホバーバイクが2台到着し、人質の副島と兼子に付けられた複雑な装置は、筒井と夏目が切り離し、到着した2台の救急車にストレッチャーで運ばれた。

 救急車には、到着した久保田管理官と久保田警部補が分譲した。

 ジープで到着したケン、ジョー、ジャックが援軍として戦闘に加わった。

 筒井も戦闘に参加した。伝子も戦闘に参加した。

 根気よく追い詰め、約10カ所に、敵の塊が出来た。あつこの合図で、警官隊が護送車で到着し、順次逮捕連行されて行った。2時間にも及んだ闘いは終わったのだ。

 ケンは、「じゃあな、大文字。」と言い、ジョーもジャックも「じゃあな、大文字。」と言って、ジープに乗って何処かへと消えた。

 愛宕と橋爪警部補が囚人護送車で到着し、敵幹部を逮捕連行した。

 伝子に久保田管理官から搬送先救急病院の連絡が来た。

 高遠がバイクでやって来た。高遠は、白バイ隊の先導で、伝子を乗せて去った。

 総子は、なぎさに一緒に行くかと尋ねられたが、「今、コマンダーから連絡来たから、帰るわ、オスプレイで。宝石店強盗の予告や。」と、総子は応えた。

 大阪からのオスプレイに、馬場が向かおうとすると、金森が立ちはだかり、馬場に敬礼をした。馬場も敬礼を返した。

 斎藤理事官がワゴン車から降りて来て、言った。

 「エマージェンシーガールズ、EITOエンジェルズに敬礼!」

 「エマージェンシーガールズ、整列!」となぎさが言うと、稲森を始め、あちこちにいたエマージェンシーガールズは一列に整列した。筒井や高木。ジョーンズも列に加わった。

 慌てて、総子は言った。「EITOエンジェルズ、集合!!」

 EITOエンジェルズ達は、気が付き、引き返して、整列した。

 2つの列の真ん中には、何故か、金森と馬場がいた。

 なぎさが言った。「ご武運を!!」

 理事官は改めて言った。「敬礼!!」

 エマージェンシーガールズは一斉に敬礼し、EITOエンジェルズは敬礼で返した。

「直れ!!」理事官の号令で、皆は敬礼を解いた。

 総子はなぎさにハグをした。「なぎさねえちゃん、伝子ねえちゃんによろしゅうな。副島さん、気になるけど、任せとくわ。」「うん。また、たこ焼き食べようね。」

 こうして、総子は、大阪にトンボ返りをすることになった。

 午後7時。EITO大阪支部。会議室。

 「総子。帰る途中で班分けしたか?」「うん。」「ブライト宝石店の本店は心斎橋店や。しかし、予告状には本店か支店か書いてない。戎橋支店も日本一支店も狙われると想定して配備や。もし予告の0時より30分経っても、何も起こらん店があったら、他の店に合流してくれ。ほなら、食堂に行って、食事してくれ。それで、訓練場に移動して仮眠するんや。それで、紀子、いずみ。準備ご苦労さん。芦屋からも応援に来てくれて、寝具や食事の用意は出来てる。」

 「紀ちゃん、いずみちゃん、残業してくれたんか?ゴメンな。」

 「何言うてんの。ウチらも隊員の一種やろ。それに、コマンダー一人で何出来るねん!」

 「随分な言われ方ね。」と、三美は笑って言った。

 「取り敢えず、解散。移動してくれ。」大前は頭をかいた。

翌日。午前0時。ブライト宝石店心斎橋本店。

 約10人の、目出し帽を被った若者がショーケースを割り、バッグに詰めようとした。警報器はけたたましく鳴った。

 警報器のお陰で、近寄った総子達に、彼らは気づかなかった。総子はペッパーガンを撃った。

 彼らがむせ返る中、総子は、バトルスティックで『小手』を叩いた。

 祐子、悦子。真知子も続いてバトルスティックで彼らの手首を打った。

 総子は、DDバッジを押した。DDバッジとは、所在地情報をオスプレイやEITOに送る通信機能を持ったバッジだが、緊急連絡用にも用いられる。EITOから警察のシステムに連動して、現場の警官隊に警察無線が入る段取りになっている。

総子が、インカムで、ぎんのチームとジュンのチームに連絡をした。

 「そっちは、どうや。」と総子がインカムに言うと、「今、警官隊が逮捕連行中です。」と、ぎんが言ってきた。そして、「こちらも同じくです。」とジュンの声が聞こえた。

 「片づいたら、皆、オスプレイで支部の基地へ戻って仮眠してくれ。」

 午前1時半。EITO大阪支部。

 食堂で、紀子、一美、いずみが、おにぎりを皿に山盛りにして、待っていた。

 皆、夢中でおにぎりを頬張る中、稽古が「あれ、チーフは?」と、のんびりした口調で言った。

 「マンションに帰らせた。新婚さんやサカイな、堪忍したってや。」と、大前は言った。

 「コマンダー、優しいわ。『惚れ直した』わ。」と、紀子が言って去った。

「ほれ・・・直した?」きょとんとしている大前に、一美が「鈍感。」と言い、いずみが「鈍感。」と言って、出て行った。

 紀子といずみは一美がランボルギーニで送って行った。

 午前2時。総子のマンション。

 二美と総子がオスプレイで支部から帰って来ると、南部が待っていた。

 お手伝いの、芦屋の社員、知子が帰宅後だったので、南部がおにぎりを握り、待っていた。

 「じゃ、私は、これで。ごゆっくり。総子。今夜だけはセックスはNGよ。」

 「うん・・・。」総子は、椅子に倒れ込んだ。二美は、備え付けの血圧計、体温計、血中酸素濃度測定器で異常が無いことを確認して、南部と一緒にベッドに総子を運んだ。

 「明日、藤島先生に往診に来て貰うわ。念の為に、妊娠検査薬も持って来て貰うわ。」

 そう言って、マンション部の、自分のマンションに帰って行った。専用エレベーターで。実は、二美の部屋は、総子の部屋の真下である。

 「おにぎりは、明日の朝に食べよな。妊娠検査薬って・・・?」

 南部は、おにぎりを持ったまま、固まった。

 ベッドでは、総子がクスクス笑っていた。

 ―完―

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