プロとして仕事をしたのだから。
お題:打算的な仕事 制限時間:15分
プロとして仕事をしたのだから。
私はプロとして仕事をしている。プロというからには、その辺の素人ではとても出せないようなクオリティで仕事をしているし、その成果の約束に応じた仕事をしているつもりだ。
だからこの時限爆弾には最大一分の時間差が出来るし、振動センサー、光反射感知素子にも大したものは搭載していない。最低限、目的のビルの柱を吹き飛ばせるだけの、いや、切り抜いて押し出してしまうほどの威力は組み込んだが、適切な設置を行った場合にそれは最大の威力を発揮する。これは火薬で巨大なブレードを爆発成形、発射して対象に大きな亀裂を走らせた後に爆破を行い、柱を吹き飛ばすことに特化させることで極限まで予算を抑えたものだ。正しく使用されたならば、想定の四倍の断面積を持つ柱でさえ、破壊することが可能な自信作だ。
説明書きを添えて、宅急便で送る。設置は今回の仕事には含まれていない。仕方ない、クライアントの予算の都合だったのだ。
数日後、某商業ビルでの爆発騒ぎがあった。何者かが爆発物を仕掛けたものの、死者はおろか、怪我人も出なかったようだ。設置が十分でなかったのだろう。
電話が鳴る。今回のクライアントからだ。相当お怒りなのだろう。ここは刺激してもまずい。
「謝罪はさせて欲しい。セーフハウスまでお願いしたい。場所は……」
一時間後、私のセーフハウスは、いや、大型の仕掛け爆弾はその役目を終えた。設置も、十分だった
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