秋の田舎編第3話

「さて、これからどうしようか。」

助けるとは決めたものの、何からやれば良いのだろう?

うーん……。

そうだな。まずは情報収集だ。


数時間して、集まった情報

真実かはわからない。

┌──────────────────┐│虐めは複数人。           │

│その中の一人がフウ。        │

│リーダー格は、富山という人。    │

│虐めの対象は、加川さん。      │

│虐めは、一年前から。(加川さんの) │

│フウは二ヶ月前から。        │

│フウを虐めてるやつは、加川さんの親友│

│の黒川さん達がしている。富山や他の人│

│転校している。           │

└──────────────────┘

整理すると、富山さんグループがフウに命令して加川さんをいじめて、加川さんが不登校

になり、加川さんグループが富山さんグループにいじめて、富山さんグループはいなくなったが、フウがまだ残ってしまった。

多分、加川さんグループは加川さんを同情を抱いたやつらが勝手にやった事だ。

ならば、加川さんを何とか説得しなくては。


Day.6

まずは、話せるかだ。

俺は今、加川さんの家の前にいる。


ピンポーン


「はい」

「加川さんにプリントを届けに来ました」

「…待ってて」

「はい」


「娘は会いたくないって言っているので、私が貰います」

「せめて話だけでもさせてください」

「でも…」

「このままじゃ、いつまで経っても顔を合わせてくれませんよ」

「…分かったわ。でも、何かあるようなら、直ぐに出て行って貰うから」

「はい」




「加川さん」

「…」

俺は加川さんと扉越しに話していた。

どうやら人と会うのは嫌らしい。

「おはよう。いい天気だね。そこからは太陽は見えるのかな?暗い所にずっといると骨折してしまうって知ってた?」

「…帰って」

「分かった。明日も来るよ」

「…」


Day.7

「懲りずにまた来たよ」

「…お母さんに許可は貰ってるの?」

「うん」

「そうなんだ…」

「別にお母さんが悪いって訳じゃないからね」

「分かってる。学校にも行かないで、ずっと引きこもっていても何も言ってくれなくて何でもしてくれるから、それだけで嬉しいよ。お母さんは優しいから」

「それは、本当に優しさなの?」

「…。今日は帰って」

「分かったじゃあね」

「…うん」


Day.8

「おはよう」

「…」

「今日は食べ物持って来たよ」

「…いい」

「その言葉を聞いた瞬間、バランスいい食事をさせたくなった」

「大丈夫。いや、食べれない。」

俺は扉を開けていいかも聞かずに扉を開け、

食事を置いた。

「食べてみなよ。意外と食べれるかもしれないよ」

「…」

足音がし、近づいて、音が止まり、

そして足音が遠のいた。

「いただきます」

「どうぞ」

「…美味しい。あむっ、あむ。ケホッケホ!あむっ」

「かきこみすぎて死ぬなよ」

「うん」

「返事、良くなってきた。声も明るくなったな」

「別に…そんな事無いし」

「とりあえず明日も来るよ。じゃあな」

「…うん、じゃあね」


Day.9

「おはよ」

「うん」

「少しは部屋出たか?」

「いいや…」

「じゃあ俺が手伝ってやるから出てきてくれ」

「…」

「昨日扉の前まで来れたんだ。出来るよ」

「分かった。やってみる」

「うん」

「すぅ〜はぁー」

「大丈夫。俺がいる。俺に会いたいだろ」

「うるさい」

「じゃあほら、」

「うん」

「…」

「…」

ガチャ

「おめでとう。こうやって会うのは初めてだよね」

「ありがとう…。本当に…ありがとう」

「どうたしまして。今日はここまでで大丈夫だよ」

「うん…。だけど、私お母さんに会いたい」

「じゃあ、下に降りれる?」

「頑張る」

「じゃあ行こう。1段づつ確実に」

「うん」



「灯…!」

「お母さん」

灯って言うんだ。初めて知った

「大丈夫なの?具合悪く無い?」

「大丈夫だよ。お母さん」

「何?」

「ありがとう」

「…!」

俺は一目散に帰りたいんだがなこの空気壊したくない。だが、言わなくてはいけないことが沢山だ。

「ありがとう…、あなたには何をお返ししようか…」

「そんな事いいんですよ。本題がこれからです」

「?」

「今の現状と、いじめの事実です」



「と言う事で…」

「そんな…黒川ちゃん達が…」

「あぁ」

「私はそんな事望んでいない」

「止めようにも、多分俺じゃ何も出来ない。だから、灯が、黒川さん達に言って止めないと」

「うん」

「でも、まだ外には出たくないでしょ」

「うん…」

「なら、行きたい時に行けば良い。今日は無理しないで、じゃあ。あと、飯ちゃんと食えよ」

「分かった。じゃあね」


灯は、大丈夫。

あとは黒川さん達と、

フウを何とかしなくては。

Day.10

「ミィ君、今までどこ行ってたの?」

「灯さんの家」

「え?」

「扉から、出させた所までやったよ」

「えぇ!?」

「だから、あとは黒川さん達と仲良くしようと思うんだ」

「凄いね…」

「そうかな?」

「うん」

じゃあ、行こう。



「よっ、」

「…」

俺は黒川さんグループの元に行った。

田舎は狭く、とても見つけやすかった。

「何の用?」

声が怖い

「灯さんの事なんだけど…」

「イジメた奴の仲間に、灯の名前を呼ぶ資格なんて無い」

「まぁ、まぁ、」

「何?」

「俺は、さ。仲良くしたいんだよ」

「誰が、あんたと!」

「もし、イジメられてる奴がイジメてる奴にあいつをイジメろって言って、イジメたら、誰が悪いと思う? 」

「は?」

「分かりにくかった? じゃあ、イジメられてる人が不登校になった理由は、イジメられてる人がイジメたからとかは?」

「…何が言いたいの?」

「つまりそういう事だよ。灯さんが不登校になってから、誰か転校しなかった?」

「…」

「でも、フウは!逃げなかった!アイツが、1番苦しんでた!なのに!」

「…」

「すまん、取り乱した。でも、そういう事なんだ。分かってくれ」

「でも、結局は自分を守る為でしょ!そのせいで!あの子は苦しんだの!まだ、イジメも軽かったし、不登校ですんだけど、もし死んじゃったらどうするの!?」

「…もし、フウが灯をイジメてなければ、フウは、知らない人の為に命を掛けて救ったヒーローってなるな」

「…!」

「そういう事なんだよ。これが、最前の選択だったんじゃないか?」

「…」

「まぁ、イジメがなければ、最前なんだけどな」

俺は嫌味のように言う。それが現実になる訳ないのに。

でも、こうやって、何か言わないと気が済まない。

俺は、そういう人間なのだ。

「まぁ、とりあえずじゃあな。俺は忙しんだ」

灯を、何とか学校に行かせなくては。

Day.13

この3日間、だんだんと外に慣れさせて、とうとう、学校に行けるようになった。

今日は、イジメについてらなさなければならない。

やろう。

「灯、ちゃん。灯ちゃん!来たんだね!良かった…。本当に」

「うん。でも、まだ終わってないよ」

「?」

「イジメについて、終わらせよう」

「…」

「聞いたの。雪ちゃんから。皆苦しんだの。イジメなんて止めよう」

「灯は!自分の事をイジメた人を許すの…?そんなわけないでしょ」

「許すよ。だってもう、私と同じ思いしたもん。ウィンウィンだよ」

「灯…!優しすぎだよ…!」

「うん。それでいいんだよ」


これでイジメは無くなり、分かり合えた。

何か、休みに来たのに、疲れたな。

でも、良かった。


Day.14

「ミィ君、もう帰るの?」

「うん」

「ねぇ、何で帰ろうと思ったの?」

「…。俺の事がさ、好きな人いてさ、告白断って、凄く気まずくて帰って来たんだ」

「ミィ君の事を好きな人なんているの…?」

「まぁ、」

「そうなんだ。私たちを仲直りさせたんだから、仲直りしてね」

「分かってるよ」

「ねぇ、」

「ん?」

「好きな人、いる?」

「…。いるよ」

「へ、へー。そうなんだ」

「なんだよ…」

「何でも」

「じゃあ、俺もう行くな」

「うんじゃあね」


少女は1人呟いた。

「私、ミィ君の事、好きだったんだよ」

多分、あの表情では、私の事を好きでは無いと、少女は察した。

少女の頬には水が、流れていた。

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