第六章第六話

「夏祭り行こうよ!」

モヤシがそう、俺に言ってきた。

「パス。」

「はぁあああー」

そう言ったらモヤシが気が抜けた用に倒れ、そう嘆いた。

「俺、近くのじ、」

ドクン、!

そう心臓は叫んだ。言ったらダメだ。本能が言っている。神社の事言ったらダメなのかい。

「コンビニでたこ焼き買って、家でレンチンして食うわ。」

「なんなら行こうよ〜。何で来ないの〜。」「家にいたい!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「で、モヤシちゃんにビンタされて、来たと。」

「そうだよ!てか、お前のせいだぞ!何で神社の事言えないんだよ!」

「何言ってるの?私が神様ってこと以外は言っていいんだよ。」

「でも、言えなかったよ。」

「それは、決めつけじゃないの?私も神社に人増えて欲しいから言ってみる。」

「よろしく。」

これが言えないのは後で分かる事だが本当に本当に全てが終わった後でだ。

「じゃあ、ミニ夏祭りするか!」

でも、この瞬間が楽しかったのは事実だ。


言えなかったのは神社が無くなる

『運命』の時、言い訳を変えなければならない。

変えるのが、多ければ多いほど

『運命』が変わりづらい。

「めんどくせぇな。」

俺は一人、呟いた。


「ら、頼君。」

「何だ?モヤシ。」

昼休み、モヤシが話かけてきた。

「一緒に遊園地行かない?」

特に予定無いな。

「良いよ。」

あれ?

「メンバー誰々なの?」

「そりゃあ頼君と、」

「うん。」

「私」

後はいないのか?

「と、今から、懐ちゃんと虎男君を誘うつもりだったの。」

「そうか。まぁいつか二人だけで一緒にどこか行こう。」

「っっ〜///」

「モヤシちゃん。ちょっといい?」

「な、何?」

何故かモヤシは懐ちゃんに連れて行かれた。

何かコソコソ話している。

なんだろう。

俺は、超鈍感男の二つ名を持っても良いと

俺は後々思ったのである。


当日。

メンバーは、頼、懐、モヤシ、虎男。

全員出席。

「今日楽しむぞー!」

「おー。」

「お、おー。」

「何で俺まで。」

「まぁいいじゃん。」

「あぁ。」

「よし、行くか。」

お化け屋敷にて。

「きゃー!無理無理!頼君。」

「痛い!痛い!大丈夫だって。」


ジェットコースターにて。

「うおぉぉぉぉぉ!」「きゃー!」

一旦休憩。

「いやー面白いなー。」

「もうげっそりだよ。よく普通でいられるね。」

「絶叫系無理なんだな。」

「うん。」

「ちょっと水買ってくるから待ってろ。」「ありがとう。」

「モヤシちゃん大丈夫?」

「懐ちゃん。ありがとう。」

「右、左、前、後ろよぉし。」

「懐ちゃん?」

『治して。』

「あっ。」

「治ったみたいだね。」

「懐ちゃん?今のは?」

『忘れて。』

「…………。」

「おーい。水買って…。って」

「ありがと。置いといて。」

「人がいないからって。」

「いいでしょ。」

「んっ…。あれ?懐ちゃん?頼君?」

「おっはー!」

「うん。おはよう。」

「じゃ。次行くか。」

「あっ。うん。次どこ行く?」

「観覧車。」

観覧車にて。

「綺麗だねー。」

「そうだな。」

「今日、一日中楽しかった。」

「俺も。」

「あのね、頼君。頼君に聞いて欲しい事があるの。」

「何だ?」


「頼君。大好きだよ。」


「えっ?」

「友達としてとかじゃなく、恋愛的に。」「???」

「私、頼君に助けて貰った時から好きなの。だから、私と、付き合ってくれる?」

「あっ、え、ちょ、ぇぇ?」

「急にごめん。でも、抑えきれなかった。」

「…。」

「返事は?」

「ごめん。俺、好きな人いるんだ。」

「わかってるよ。」

「…。」

「わかってるけどなんでこんなに悲しいの?何で?決めた、はず、なのに、グスッ。何で?何でこんな悲しいんだろう。」

俺は暫く何も話さず、ただ撫でてやるしかなかった。

俺が撫でたらモヤシは

「頼君は、ズルいよ。」

と言った。

そうだ。俺はずるい。

振った女の子にこんな事しているから。

でも、それしか無いんだ。

お前が、悲しまないようになるのは。

俺は、人を悲しませたくない。

俺は、そんな願望を抱きながらも、

『私は頼君に傷ついて欲しくないだけなの。』

『死にたいのに邪魔するんじゃねぇ!』

「ひぐっ。うぅああ、」

人を傷つけてばかりだ。


俺達は、何も話さず、帰った。

気まずいし、何より、恥ずかしい。

きっと明日には話せるはず。頑張ろう。

明日に期待しよう。

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