第五章第五話

「も、モヤシそれ、」

「み、見ないで!」

「いやこれ…。」

三十分前。

「降ってきたな…。」

下校しようと思った瞬間雨が降ってきた。

傘持ってきて無いしなー。

「あれ、頼君。」

「モヤシ!いい所に!傘持ってるか?」

「うん。」

「よし。一緒に帰ろうぜ。」

「いいけど、かの…じゃなくて懐ちゃんは?」

「入学してすぐだから部活やってないだよ。」

「あぁ。そういう事か。」

「じゃ、帰るか。」

「うん。」

俺はモヤシと相合傘して帰っていた。

何の言葉が生まれないこの時間が三十分続いた。

そして車が走ってきて水溜まりのある所を走った。当然水は飛び跳ねてしまう。

それがモヤシに-。

「…。」

「大丈夫か?寒くないか。」

かかってしまった。今の季節は夏。

梅雨でジメジメしているが、風邪を引いてしまいそうなくらい今日は涼しかった。

モヤシの白ティが、透けてしまいそれが見えてしまう。

「も、モヤシそれ、」

「み、見ないで!」

「いやこれ…。」

ブラジャーだった。

胸のとかろにピンク色のブラジャーが透けて見えてしまっていたのだ。

そしてよく見れば胸に膨らみがあった。

俺は急いで、今着てるジャンバーをモヤシに着せ、急いで俺の家に帰った。

モヤシを風呂に入れさせ、俺は危なかった。と思うと同時にこれから何と話し掛けていいのか分からなくなってしまった。

「あ、上がったよ。」

「あ、あぁ。」

「…。」

「…。」

無言の時間が暫し続いたところでモヤシが言った。

「ぼ、僕女の子なんだ。」

「そ、そうなんだー。」

「虎男君からいじめられてる時僕が女の子だって分かったから僕が何でもするって言ったから。」

「あぁそういうことだったんだ。でも、なんで、男の格好してるんだ?言いたく無ければ言わなくてもいいけど…。」

「ありがとう。でも、言うよ。僕、女の子の姿だと、女子からいじめられるから。こっちに引っ越して男の子の格好してたんだ。」

確かにモヤシは顔はいい方だからそれが女子に気に食わなかったんだろう。

「じゃあ女子に戻ろう。」

「話し聞いてた!?」

「ああ。それに明日から夏休みだからな。いい機会だ。まず髪を伸ばせ。」

「なんで、やる方向で話が進んでるの!?」「スカートは懐がくれるだろうし。」

「ねぇ、聞いてる!?」

そうして、モヤシを女の子に戻す作戦はすすんだのだ。

次の日学校は騒がしかった。

それはそうだ。

モヤシが女子の格好をしてたからだ。

その格好には俺もビックリした。

何故ならばそれは完璧な女の子。

1000年に1年の美女と言っても、いいぐらい。

髪は背中まで伸び、顔は美しく、スカート姿はとても新鮮なものだ。そして、一番驚いてたのは、虎男だった。

「えぇ!お、おま!えっ!?」

言葉にはならなくそれは赤ちゃんがなんの意味もなく叫んでるみたいなとのだった。

だろうな。ちょっと前まで、女の子なのを

知って虐めていたのからな。

「頼君!ちょと!これでぼ、じゃなくて、私がいじめられたらどうするの!?」

「大丈夫だって。俺がいるし。」

「えっ?」

「俺がお前のことを一生守ってやるよ。」「えっ…///」

その顔は乙女が恋した顔のように赤くなる。「どうした?」

「頼君のバカァァ!」

「えぇ…?」

なんでだよ

それを懐にもしたら、

「この女たらし」

と言われた。



「頼君。私部活どこ行くか迷ってるんだけど。

「そんな迷うものなのか?てか懐は何かしたいもの無いの?」

「いや、特に。」

「じゃあ俺が入ってる部活来いよ。」

「そういえば、頼君何やってるか分かんなかったけど何やってるの?」

「ゲーム部。」

「えっー。」

「一応言っとくけど、女子部員いるからね。」

「じゃあ入ろうかな。」

「じゃあ、これからよろしくな。」

ゲーム部室

(モブA)「ようこそゲーム部へ!」

(モブB)「歓迎するでごさる。」

懐はデブ三人程度に絡まれていた。

「おい、懐なにやってんだ?」

「聞いてないでまずこの人達どうにかしてくれる?」

「うぁ。ちょと失礼。この子俺の彼女なんで。」

「えっ?」

「あぁ!言ってみたかったんだよね!この言葉!」

ラブコメやアドベンチャーゲームで

ナンパ男に絡まれた時の男の決まり文句。

言いたかったんだよ!

(モブB)「頼殿だけずるいでござるよ。」(モブA)「そうです。ちゃんと立場を弁え て。」

「ごめんごめん。」

「はぁ。」

「ごめん何か怒った?」

「怒ってないよ。」

「わぁ、怒ってらっしゃる。」

そんなに顔に出ているのであろうか。

「ゲーム部って何するの?」

「大体、カードゲームか、ボードゲームだよ。」

「あぁ。そっち系ね。こっち系だと思っちゃた。」

そう言って取り出したのはスマホだった。「そっちの活動はあんまり無い。さて、懐、オセロやるか。」

「なんで?」

「実力を図るためだ。」

「じゃあ、私本気で行っていいの?」

「あぁドンとこい。」

三分後。

「負けた…だと?」

何故か、俺はオセロ初心者に負けていたのである。

「あっさりと終わったね。」

「この俺が、初心者に、負けた?これは夢だ。現実ではない!ほら、つねれば…。いたたた!」

「そういう事だよ。わかった?」

こいつ…!絶対神の力使った!

酷い!



「私、今日が体育祭だって分かんなかったんだけど。」

「そうか、お前入学してすぐだから分かんなかったのか。応援は口パクで良いとして。」「それ、ホントにいいの?何か私だけサボってるみたいな感じじゃん。大丈夫なの?」「大丈夫俺も毎回やってるが、あんま何にも言われてないぞ。」

「いや、良くないでしょ。」

「まぁ、百mとかで頑張ってるから。」

「頼君、スポーツ出来るんだ!以外。」

「まぁな。最初は皆にも驚かれたよ。」

「そうだろうね。」

「じゃあ、お前にカッコイイとこ見せてやるよ。」

「っっっ〜///」

そう言うと懐は赤くなる。

それの理由を知らないが俺はとりあえず行った。

俺たちは勝った。

けど、懐は浮かない顔をしていた。

俺は、心配していたが、大丈夫そうだ。


今俺は、俺がいなくなった世界で過去を見ている。懐かしいな。懐だけに。

こんなこと、懐に言ったら、懐怒るだろうな。

今、この世界では、戦争や貧困などが起きている。

毎日誰かが死んで、誰かが生まれるけど、

また死んでしまう。

まるで、まるで

「普通の、世界だな。」

今、君たちがいる世界みたいだ。

戦争が起きて、誰かが苦しんで、


強盗されて、死んでしまって、


罵詈雑言で、自殺していまって、


毎日誰かが罪を犯している。

こんな、世界。

果たして本当に普通なのだろうか。

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