第三章第三話

俺がモヤシが虐められてる事を知ったのは

文化祭の日だった。

ある男…名前は確か、狂 虎男。

入学式の時、俺の事を「寝坊助」と馬鹿にした奴だ。

人の事を笑うやつはつくづくクズだな。

モヤシはその事を俺に言っていない。

聞き込みをしたが、随分前から虐められていたらしい。

その日は雨の日であった。

何があったのかは知らないがとにかく救いたい。

どうしよう。どうやってアイツらを止める?

スマホの録画で撮って先生に渡す。

それが俺の出した答えである。




結果から言おう。失敗した。

録画もした。先生にも渡し、見てもらった。

解決みしようと試みた。

だが、この学校で一番強い生徒指導の先生が

倒されたことにより、彼に誰も歯向かう事が出来なくった。

「クッソ!どうすれば…。」

俺は、コンビニの裏地で何な考えは無いか調べていた。

「あれ?お前…。」

「あ?何だ?お前…!?」

そこには中学生の同級生が。

「『新任の殺し屋』!お前元気にしてた」

「その名前で呼ぶな。」

相手は見えなかったであろうが、俺は一瞬でナイフを取り、相手の首に押し付ける。

「わかった、わかったから、下ろしてくれ。」

「何の用だ、『千人殺し』」

「今は一万だ。ま、どうでもいい。お前何してる?」

「友達がイジメられている。付けを払わせたいが、どうも上手くいかない。」

「何だ?武力行使でいかないなんて、お前らしくもない。」

「今は、違うんだ。それに…。」

俺が虐められた理由、それである。

俺は中学の時までヤンキーであった。

コードネーム『新任の殺し屋』

新しく入った頃、でかい組の団長を倒した事で有名だったが、俺が調子にのり中学の奴らをパシリにし、それを嫌だと思う奴らが結成。俺を袋叩きにするとイジメるという

復讐であった。

俺はもう、戻れない。あの頃みたいに。

戻りたく無いんだ。

「そうか。お前なりの考え方があるんだな。」

そう言うと彼は帰ろうとする。

「お、おい。」

「何かあったら言えよ。戦争起こす時は俺の分も取っておけ。」

「…。わかった。」

やろう。やるしかない。

俺は、このまま二年生になるまでイジメを止める事は出来なかった。だが、


俺は覚悟を決めた。俺は、俺の事を犠牲にしても誰かを救いたい。分かったんだ。俺は、

生きたいのではなく、誰かを守りたいということに。

「おい、虎男。」

「あん?」

「いじめやめろよ。」

「なんだ?変わりにお前が俺たちのストレス発散させてくれるのか?」

「木枝がいじめられないのならな。」

「お前バカなのか?」

誰かが不幸ならないのなら俺はこの命を掛けたっていい。何回生まれ変わっても俺が皆の不幸を。変わりに受けてやる。

「オラ!」

そう言って殴ってくる。

痛くないように。そう願った。パシッ!そう音がなった。目を開けると、

「懐…。」

「頼君私に任せて。」

「女の癖に!」

その0.1秒後虎男が宙に舞った。

「グハッ!」

虎男が床に勢いよく叩かれる。

「女の子だからってなめないでよね。」

「カハッ,」

そう咳込む虎男を横目にちょと引いた。ぇぇぇぇぇぇええええ…

「何?」

俺がそんな事を思ってると、懐が笑顔で聞いてきた。

いや、目笑ってないなー。

なんか、怖いなー。

「ん?」

「なんでもないないです。」

つい、敬語になってしまう。

「て、乱暴な事ダメって言ったじゃん。」

「うん。でも、助けたかったから。」

「そうゆう時は私に言って私がなんでも解決してあげるから。」

「うん。ありがとな。」

「どういたしまして。」

「おい。」

「イチャイチャしてんじゃねえよ。」

「しぶといね。まだ生きてたんだ。」

その言い方は…。うん。まぁいいや。

「お前は小学1年生から強さとは何かならってこい。」

「強さとは他人を言いなりにさせるためのものだ!いちいちうるせぇんだよ。」

「違う。強さとは元々動物を狩るために生まれたものだ。本来は持たなくていい。でも、誰でも持ってるものそしてそれには弱さも着いてくる。それが原因で今こうなってる。誰かを守るものでも、傷つけるものでも無い。自分の弱さを知るためにある。」

「うるせぇ!!」

殴ってくる虎男でもその動きはスローモーションで再生されたような遅さだ。

「やり返しと正当防衛で殴ったってことでいいや。」

「バキィィ」

骨が折れたのかと言うぐらいの音が鳴った。そして、吹き飛んだ。

「悪いな。虎男。俺、お前より強いんだ。」ドサッと床に叩きつかれた。

それからはいじめは無くなった。

いじめの主犯もいじめられた側も。

全て無くなった。

俺はその後は懐に任せ、モヤシに家に行った。

ピンポーン。インターホンを押し、扉が開く


のを待つ。頼む。木枝であってくれ。

「はーい。」

そこにいたのは、木枝のお母さんだ。そう簡単にはいかないか。

「モヤシさんに会いに来たんですけど。」

その瞬間木枝のお母さんの顔がイラついてるような顔になった。


「僕ならモヤシさんの不登校を直せます。」

「!?。」

「だから、」

「いいですよ。」

「ありがとうございます。」

中に入り、

木枝の部屋に向かう。遊びの用事以外来たことないな。トントン

「木枝ー。様子見に来たぞー。」

ガチャ。

「頼君?」

「元気か?」

「ありがとう心配してくれて。」

「いいって事よー。」

「ねえホントは何しに来たの?」

「やっぱりわかるか。」

「うん。なんかね」

「-学校に来てくれ。」

「…。」

小枝は俺がそう言うと分かってたのか驚きはしない。

「なんで?」

「虎男の事は解決したから。」

「えっ?」

「だから学校に来ても大丈夫。」

「今まで見て見ぬふりしてた皆のもとに行けと?」

「…。」

「頼君は、さ。僕の事助けてくれたじゃん。でも、皆は助けてくれなかった。」

「いや、皆は「悪くないって言うんでしょ。」俺は頷く。

「確かに虎男君が悪いよ。でも助けてくれない人もいじめてるんだよ。」

「でも、」

「僕に話させてくれないかな?」

「あ、あぁ。」

「いじめはいじめてる方が悪いのかなって思ってた。でも、やられて、わかった。ただ自分が気に食わないやつを死にたいと思わせるまで、傷つける。精神的にも身体的にも。」「…。」

「ねえ君は僕が死にたいって言ったらどうする?」

「!?」

「冗談だよ。そして、もしもの話しだよ。」

「良かった。」

「…。ねえ。君は助けるでしょ。」

「…。」

無言で頷く。

「それはね優しさとは言わないんだよ。」「…。」

「死にたいのに、助けて、邪魔されるだけだよ。死にたいって思いは中途半端な気持ちから来る訳じゃないんだよ。だから、その覚悟を邪魔してしまったら、嫌がられるだけだよ。」

「…。」

確かにそうだ。俺も死にたいとなるまで、どれほど追い込まれ、どれほど我慢して、どれほど救いを求めたのだろうか。


しかも、こんな俺が邪魔したら…。

「話しは終わり。じゃあ帰って。」

「ああまた…。」

ダメだ。帰るな。助けろ。

俺の本能がそう言う。

「いや、まだいるよ。」

「帰ってよ。」

「お前死ぬ気だろ。」

「!?」

「どうなんだ?」

「そうだよ。」

「そんなのやめろ」

「こっちに来るな!」

そう叫んだ彼は手に包丁を持っていた。

「お、おい…。」

「こっちに来るなって言ってるでしょ!」

包丁をこっちに向けて叫ぶ。

「やめろ!死んでもいい事ないぞ!」

「なんで止めるんだよ!死にたいんだよ!生きてもいい事なんか無いんだよ!」

「でも!生きてくれよ!」

「止めないでくれ!」

木枝が自分に包丁を突き出した。死ぬそう思った。でも、その包丁は俺の手で止められた。でも力が強く、抑えきれなない。だから、俺は手で包丁を受け止めれるよう、木枝の体の方に、手をやった。そして、俺の包丁を抑える力は、なくなり、俺の手に刺さる。

「ぐぁ!」

声にならない、叫び声を上げ、

手に感覚が無くなっていくのを感じる。

「何やってるの!?」

やべぇ死にそう。

「い、きろ!こん、なことやっ、たって、らいせが、いい、ってこと、ないんだ、ぞ。」

「うるさい!なんで!自分の事気にしないで相手の事ばかり思うの!」

「だって…あっや、べ死ぬ。」

頭がクラクラして今にも気を失いそうだ。「何で!?僕をここまでして助けようとするの!?」

「そ、れは…!俺が!そうしたい、と思っ、たからだ!」

「こんなバカみたいな事を!?」

「ああ!た、だの自己、満足だ、よ!」

「頼君血が!ねぇ!目を!開けてよ!」

あぁ、もぅダメか、も、しれ、な…

どんどん眠くなってく。そして、俺は意のままに眠った。



「ん…。」

現在、5月24日

知らない所、知らないベッド。

「異世界転生しちゃった。」

そう言って起き上がる。目の前には医者がいた。

「…。」

微妙な空気が流れる。

懐とかモヤシだったらよかったな。

だって友達だったらさ、笑って終わったじゃん!でも、赤の他人だよ!

そりゃあこの空気になるよね。

「…。先生、寿命は…。」

「僕は看護師だし、寿命も無い。ただ単に貧血だよ。数日で退院出来るから。」

「…。記憶を消す事は可能ですか?」

「恥ずかしすぎて死ぬことなら出来ると思います。」

先生の言う通りである。

窓を見る。

「モヤシ…。」

大丈夫だろうか?

俺は不安を抱えながら長い時を過ごした。

でも、一週間もしないうちにモヤシが来た。

「俺あれからどうなったんだ?気が付いたら手の、傷は無いし、本当にどうなったんだ?」

「それが…わかんないんだ。」

「えっ?」

「記憶が無いんだ。」

「無い?」

モヤシは頷いた。

懐が何かしたな。

「でも、本当にごめん。」

「いや、いいんだよ。」

しばらく、無言の時間が続いた後、ドアが開いた。

「懐!」

「頼君調子はどう?いい感じ?」

「あれ、あなたは…。」

「何だ?モヤシ知ってんのか?」

『いや、私たちは初めて会ったよ。』

「そうなのか?」

「う、うん。見間違いだったみたい。」

「そうか。」

「じゃあ僕は帰るよ。」

そして、モヤシは俺の耳に口を近ずけ、言った。

「僕がいると、彼女さんとイチャつけないでしょ。」

「バっ…!俺と懐はそんなんじゃねぇし!」「後から色々聞くから。」

「ちょ、モヤシ!」

行ってしまった…。

「あの子何か言ってたの?」

「いや…。」

「ふぅーん…。で傷は大丈夫?」

「うん。てか懐誰から俺の事聞いたのか?」

「先生に聞いたの。」

「あれっ?懐俺が通ってる学校だっけ?」「…。」

「あっなんかごめんなさい。」

どうやらお怒りみたいだ。

「ハァ。せっかく来たのに台無しだよ。心配して損した。」

「お前…。俺の事心配してくれたのか?」「当たり前でしょ。だって…」

懐が俺の事心配してくれたのか…。嬉しいな。

「頼君弱いし、」グサッ!

「すぐ死にそうだし、」グサッ!

「目を離すとすぐそんな事するから。」グサッ!

「お前、なぜそんな精神攻撃ばっかすんの?」

「うるさい。もう危ない事しないで。」

「あぁ。わかった。」

「本当に?」

「本当に。」

「そう言ってまた、誰かのために傷付くんでしょ。」

「…。」

何も、返せない。答えが決まって無いわけじゃない。ただ、コイツの前だけでは、カッコつけたい。

「頼君。誰かのために行動する事はいいんだけど、それで、自分まで、傷付いちゃたら意味ないでしょ。」

「-じゃあ、アイツが死ぬのを黙って見てろって?」

懐は黙った。

「アイツがいじめられてるのを見て見ぬふりしろって?」

「…。」

「俺はやだ。俺は助けたい。傷付いてる人を。例え、俺が傷付いても、死んでも。」

病室が静かになって、何も言葉が生まれない。懐が口を開いて言った。

「私はただ頼君に傷付いて欲しくないから言ってるの。」

そう言った懐は泣いていた。

「-ごめん。」

俺が謝ると、懐はすぐ出ていった。

「もう1回謝らなきゃ。」

「おはようございます。」

「…空気読めないの?」

「すみません。まさか二重攻撃とは。」

「えっ?」

「さっき開けようとして女の子が出てきて、『空気読んでよ』って言ってました。」

「…。」

どうやら、そんな落ち込んで無さそうだ。

この看護師以外。

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