+ ちーちゃんとあっちゃん +
⚘ scene 01
◇ ◇ ◇
登校時間ぎりぎりに出ていく
「あっちゃーん、先、靴はいといて」
声をかけると、うん、と返事してトタトタ玄関にかけていく2号。
しばらくするとゴロゴロ音がしてきて、たぶん床で水筒を転がしてるんだろう。
「あっちゃん、お茶もれるからやめてー」
その瞬間は音が止むけど、少しするとコロ…コロ…と聞こえてくる。
一回じゃやめないんだよなー。
まぁ、いちいち叱るのも疲れるから放っておく。
日焼け止めをぬって申し訳程度に顔をつくって玄関に急ぐと、私が来たのに気づいたあっちゃんが、何事もなかったかのように水筒を両手で持ち直した。
バレてんだよ、と視線をおくると、気まずそうな顔をするわけでもなく、しれっと立ち上がるあっちゃん。
最近小賢しさがマシマシだ。かわいいからいいけど。
親のひいき目かもしれないけど、あっちゃんは年中さんの中では割とませてると思う。
お兄ちゃんと歳離れてるからかな。
考えながら、あっちゃんをチャリのうしろにのせる。
暦的には秋なのに、朝から暑くてげんなりする。
気合を入れようと努めて明るい声を出す。
「ベルト、よし!」
「よし」
つぶやくように真似するあっちゃんの声を聞きながらチャリにまたがる。
「いくよー」
ペダルを踏みこむとうしろで水筒の氷がカラン、と鳴った。
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