第11話 作戦会議

 その日の昼休み。


 わたしと圭夏ちゃんは邪魔が入らないよう、人気ひとけのない校舎裏で、部員集めの作戦会議を行っていた。


「さて……あたしたちが部員を集めるには、他の部から引き抜くか、もしくは兼部してもらうしかないわけだけど……どうしよっか」


「やっぱり……チラシやポスターを作って、地道に宣伝するしかないんじゃないかな」


 現状を確認をする圭夏ちゃんに、わたしは何の捻りもない答えを返す。


「だよねー。新歓の部活紹介はもう終わっちゃってるし……まあ、全校生徒が集まる朝会で宣伝するって手もあるにはあるけど、一週間近くも待ってなんかいらんないし」


「そうだね……」


 朝会があるのは月曜日で、今日は火曜日だ。


「となると、問題はチラシやポスターのデザインをどうするか、ってことだけど……どうしよっか? あたし、絵心とか全っ然ないんだよね……」


「絵心はわたしもないけど……でも、ネットのフリー素材をダウンロードして使えば、それなりのものはできると思う」


「あ、そっか。よし、じゃあ早速パソコン室に……」


「待って、圭夏ちゃん」


 歩き出そうとする圭夏ちゃんを、わたしは引き止める。


「ん?」


「学校のパソコンは一度シャットダウンすると全データが初期化されちゃうし、わたしたちはUSBメモリも持ってないから、パソコン室でチラシやポスターを作るのは、放課後にしたほうがいいんじゃないかな……? 昼休みはもう、あと十五分もないはずだし……」


「あれ、そうだったっけ……じゃあ、先に生徒会まで許可をもらいに行く?」


「いや、実物のサンプルがないと、生徒会も許可は出せないと思う……」


「あーもう、めんどくさいなあ……あと十五分も、どうすりゃいいのさ」


 と言って、頭をかきむしる圭夏ちゃん。


 言われてみれば確かに、十五分というのは何かをするには短いけれど、何もしないで過ごすには長い時間だ。


「とりあえず……職員室まで、パソコン室の使用許可をもらいに行く?」


「それだ!」


 わたしが提案すると、圭夏ちゃんは頭上に明かりが灯ったかのような表情で、わたしを指差した。

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