第4話 昼休みの葛藤
どうしよう。
やっぱり、ちゃんとお礼を言ったほうがいいのかな。
でも、わざわざ声をかけてお礼を言うのもキモい気がするし……。
ていうか、陽キャの雑談に割り込むなんて、わたしには絶対無理……。
昼休み。
自分の席に座り、今朝、一緒に登校していた二人と楽しそうに話している大鳥さんを横目でちらちらと見ながら、わたしはひたすら逡巡と葛藤を繰り返していた。
こんなモヤモヤした状態じゃ、本を読む気になんてとてもなれない。
「はぁ……」
わたしはため息をついて、再び、大鳥さんのほうをちらりと見た。
ぱっちりとした長いまつげ。筋の通った高い鼻。ぷっくりとした、柔らかそうな唇。
いわゆる「顔がいい女」っていうのは、きっと彼女みたいな子のことを指すんだと思う。
それに、明るくて友達も多いし、わたしみたいな陰キャにも優しいし、本当、非の打ち所がないというか、わたしとは正反対だ。
ああ。
どうして、こんなに違うんだろう。
同じ日本人で、同じ中学一年生で、同じ女子のはずなのに。
(羨ましいなあ……)
正直、そう思う。
きっと、大鳥さんには悩みなんかなくって、毎日が楽しくて充実してるんだろうな。
せめて、うちの学校に文芸部でもあれば、わたしにも気の合う友達ができたかもしれないのに――
(いや、ないものねだりをしてもしょうがないか……)
わたしは再びため息をつき、そのまま机に突っ伏した。
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