第3話 二人一組

 その日の四時間目は、体育だった。


 種目はダンスで、場所は体育館だ。


 小学生時代は男女合同のクラス単位で行われていた授業だけど、今は男女別で二クラス合同である。


 もうだいぶ慣れてきたし、それ自体は別にいいんだけど――


 問題は二クラスの女子を合計した人数が奇数である、ってことだ。


「はーい、二人一組でペア組んでー」


 体育館内に、悪夢のような先生の叫び声がこだました。


 すると、まず大鳥さんや原田さんのような、明るくて人気のある、クラスの中心人物的な子たちがペアを組み、続いて、そこそこ社交的な子たちがペアを作り、最後にわたしのような陰キャたちが残される。


(どどど、どうしよう……)


 今日はどちらのクラスにも欠席者はいない。よって、必然的に誰か一人が余ってしまう。


 そしてその余った生徒は、先生とペアを組まされる羽目になる。


(それだけは嫌、それだけは嫌……!)


 そう心の中で念じつつ、余り物仲間の中で一番近くにいた子に声をかけようとしたわたしだったが――


「あ、あの、組んでくれない……?」


「うん、いいよ……」


 その直前、別の生徒がその子に話しかけ、ペアが成立してしまった。


「あっ……」


 慌てて周囲を見回すが、わたしとペアを組んでくれそうな生徒は、もうどこにもいない。


 つまり――わたしは先生をペアを組むしかない、ということだ。


(もう、最悪……)


 わたしは肩を落とし、ため息をついた。

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