元魔王様とフォルトゥナとの再会 8
レギオンハートの従魔から情報を貰ったジル達は一先ずテスラと合流する事にした。
「色々と情報を貰う事が出来たからこそ今後の行動をどうするか悩ましいな。」
「我々はジル様に従います。テルイゾラと戦争でも構いませんよ?」
「それは我が拒否したいところだ。戦う必要が出てくれば仕方無いが、簡単な方法で済むならそれがいい。」
フォルトゥナを救い出す為に必要なのであればテルイゾラを潰す事も視野に入れている。
それでも楽な方法があるならその方が疲れなくて済む。
「ですが人質を取られている以上、フォルトゥナだけを救出する訳にはいかなくなりましたね。」
当初は元配下のフォルトゥナの現在が心配だったので、生きていくのが大変そうなら浮島に招こうと思っていた。
しかし人質を取られ、同じ立場の者も大勢いると分かってしまったので、フォルトゥナだけを救って終わりとはいかないだろう。
「そんな事をしてもフォルトゥナは喜ばないだろうしな。同じ境遇の者達と人質全員を救うくらいでなければ。」
「大掛かりな事になりそうですね。」
どれくらいの規模になるかは分からないがフォルトゥナと同じ立場の者達や人質達を全て救う様に動く事になりそうだ。
一日で帰れるのか怪しくなってきたが、事情を話せばルルネットも分かってくれると信じたい。
「お二方、今宜しいでしょうか?」
テスラの下へと向かっているとミネルヴァが戻ってきた。
「ミネルヴァ、丁度良いところに。先ずは情報収集ご苦労様です。こちらでも色々と分かった事があるので情報の共有をさせて下さい。」
「分かりました。」
レギオンハートの従魔に聞いた事をミネルヴァにも説明していく。
「成る程、その様な事になっていましたか。」
「テルイゾラには何度か足を踏み入れているんだろう?その時に気付かなかったのか?」
ジル達よりもテルイゾラに多く出入りしている筈のミネルヴァからは、そう言った話しを事前に聞かされていない。
「申し訳ありません。闇の部分に触れる程、テルイゾラの中に長期間滞在した経験が無かったもので。」
「外には上手く隠せていると言う事か。」
「監視役も多いらしいですからね。」
少しの滞在期間では違和感を掴むのは難しい様だ。
監視役もいるので普通の警備兵の様に振る舞っていただろうから、ミネルヴァにもそう見えていたのだろう。
「一応私が集めてきた情報に付いてもお話しします。」
ミネルヴァが手に入れたのはフォルトゥナが現在所属している組織に付いてだった。
「テルイゾラの治安維持組織ですか。レギオンハートの従魔が言っていた防衛任務の事でしょうね。」
「荒事絡みは一番避ける奴だから人質の効果が効いているな。」
性格を知っているジルからすれば絶対に所属しないであろう組織である。
人質を取られているので嫌々従っているのがよく分かる。
「フォルトゥナは臆病な性格ですが、女性の為ならば戦いを選ぶ男らしい一面もあります。見捨てられなかったのでしょうね。」
「フォルトゥナの購入した奴隷は女性らしいしな。」
男性でも見捨てていなかったと思いたいが、そもそも男性の奴隷をフォルトゥナは購入したりしないだろう。
「その治安維持組織がお二人の言うテルイゾラの闇の部分と言う事になりそうですね。」
「大勢の実力者を従わせてテルイゾラの治安を維持する組織に組み込んでいるらしいな。」
「不法入行者やテルイゾラで犯罪を犯した者もその組織が対応します。前に砂賊が襲われているのを見た事がありますが、相当な実力であったと記憶しています。」
さすがに元魔王軍でトップクラスの強さを持つフォルトゥナと同等の実力者はいないと思うが、高ランクの冒険者や実力者達が目を付けられているのだとしたら、テルイゾラはかなりの戦力を所持している事になるだろう。
「負けはしないだろうが戦闘は避けたいところだな。」
「相手にはフォルトゥナもいますからね。」
戦えば無傷で勝利とはいかないだろう。
ナンバーズを数人相手にする方がマシかもしれない。
「見つけました、テスラ。」
大通りを進んでいると脇道の入り口付近にテスラの後ろ姿を見つける。
「ジル様、あの、申し訳無いのですが少しご相談したい事が。」
テスラが非常に言いにくそうにしながら話し掛けてきた。
「ん?何だ…って。」
ジルは脇道にいる者を見て驚く。
そこにはテスラだけで無く他にも人がいた。
「ジル様!テスラ様の話しで貴方様が我が王の生まれ変わりだと聞きました!ずっとお会いしたかったです!もう離れたくありません!」
そう言ってがっしりと身体全体でしがみついてきた者がいる。
その者はジル達がテルイゾラに来る目的となった人物、魔族のインキュバス種であるフォルトゥナだった。
「これは一体どう言う状況なんだ?」
「あははは。」
状況が分からずジルが尋ねるとテスラは視線を逸らして乾いた笑い声を出していた。
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