元魔王様と愛弟子の訪問 8
ジル達が戻ると既にブリジットとタイプBは戻ってきていた。
ダンジョンの中に狩ってきた魔物を出している最中である。
「なななっ!?」
ブリジット達が狩ってきた魔物を見てルルネットが驚いている。
それを聞いてタイプAと美咲がこちらに気付く。
「お、マスター達も帰ってきたのか。」
「すみませんジルさん。魔物狩りを頼む事になってしまって。」
「気にするな。弟子が狩りをしたい、強い魔物と戦いたいと乗り気だったからな。」
殆どジルは見ているだけで魔物を狩ったのはルルネットだ。
特に疲れてもいないので問題無い。
「その弟子は変な声を上げているけどどうしたんだ?」
タイプAがルルネットの方を見て首を傾げている。
「こ、これってお姉様達が狩ってきた魔物?」
床に並べられている魔物達を少し震える指で差しながら尋ねるルルネット。
「そうですね。タイプBと共に先程狩ってきた魔物ですよ。」
「ブリジット様は随分と腕を上げられていましたので魔の森の奥でも狩りが捗りましたね。」
床に並べられている魔物は高ランクばかりだ。
かなり深くまで入って魔物狩りをしていたのだろう。
「タイプBは新たな武器を得てより強くなっている様に感じました。後で是非手合わせを願いたいですね。」
「構いませんよ。今から行いますか?」
「そうですね、魔物を出し終えたらお願いします。」
「くっ、負けた。」
楽しそうに談笑している傍らでルルネットががっくりと膝を付いて敗北宣言をしている。
「負け?どう言う事だマスター?」
「かなりの数の魔物を狩ったからな。総量でブリジット達に勝っているのではないかと嬉しそうに話していたのだ。」
「それで結果がこれか。」
「残念ながら量でもランクでも劣っている様だな。」
ジルも同じ様に無限倉庫からルルネットが狩った魔物を取り出していくが量も質も下回っている。
と言っても多額のダンジョンポイントになる事には変わらないので気にしているのはルルネットくらいだろう。
「げ、元気を出して下さい!私としてはどちらもとても助かりますから!」
「…美咲、貴方良い人ね。暫く浮島でお世話になるから仲良くしましょう。」
「はい、こちらこそです。」
美咲に励まされてルルネットは直ぐに立ち直った。
元々ブリジットもタイプBも自分より格上の実力者達だ。
ジルも殆ど手を貸していない事からこの結果も当然と言うものである。
「皆さん、沢山の魔物をありがとうございました。これでまたダンジョンの拡張や改造が行えます。」
「中々の量だな。これは作り甲斐がありそうだ。」
美咲が皆に礼を言って頭を下げ、タイプAが並べられた魔物を見ながら満足そうに頷いている。
「タイプAも美咲と一緒にダンジョン作りをしているの?」
「ああ、意外と面白いからな。一緒に考えて作ってるんだ。」
以外にもタイプAはダンジョン作りにハマっている。
最近は美咲と一緒にいる事が多く、天ちゃんと魔の森で魔物狩りをしている事も多い。
「へえ、そうなんだ。ねえ、タイプAって強いのよね?」
「当たり前だろう?この浮島で一番強いのが俺だ。」
自信満々に言い切るタイプA。
そう言える実力が実際に備わっている。
先日の天使達との戦いではマスターであるジル以上の成果を上げていた。
「それってジルよりも強いの?」
「俺の火力はマスターをも上回るなからな。」
「それなら今度勝負してよ!」
ジルをも上回る最強のメイドゴーレムと知りルルネットは目を輝かせる。
そんな強者が目の前にいるのなら是非戦ってみたい。
「勝負だと?こんな小娘と俺が?」
ルルネットの頭から足まで見ながらタイプAが言う。
「ルルネットよ!ジルに訓練を付けてもらった事もあってそれなりに強いんだから!」
「ふーん、そうか。まあ、気が向いたらな。」
「それで構わないわ!」
ジルに鍛えられたと言う言葉で少しだけ興味は持ってもらえた様だ。
滞在期間も長いのでその内機会もあるだろう。
「それより今はダンジョン作りをしたい気分だ。美咲、早速取り掛かるぞ。」
「は、はい。それでは皆さん私はこれで失礼しますね。ジルさん、これはいつものお礼です。皆さんで食べて下さい。」
「悪いな美咲。」
「いえいえ、またお願いします。」
魔物をダンジョンポイントに変え終えた美咲が袋を差し出してくるので受け取る。
するとタイプAが待ちきれないとばかりに手を引いて連れていった。
「美咲も何も無いところから物を取り出したけど収納スキル持ち?」
「あれはダンジョンマスターとしての能力だ。ポイントで色々と購入出来るから魔物狩りの礼として毎回くれている。ほら、お前達の分だ。」
袋の中から美咲のお礼を取り出してそれぞれ配っていく。
「ん?何これ?」
「食べ物ですか?」
渡されたものを初めて見るブリジットとルルネットが首を傾げている。
それも当然で美咲が渡してくるのは元の世界の食べ物なのでこの世界には存在しない。
「プリンと言う甘味だ。こうやって蓋を開けて掬って食べるのだ。」
「マスターと食べると更に美味しく感じられます。」
見本を見せる様にジルとタイプBが先に食べて見せて表情を綻ばせる。
ちなみにメイドゴーレム達は空腹と言った状態にはならないが同じ様に食べ物を食べたり味わったりする事は出来る。
「「っ!?美味しい(です)!」」
ジル達に続いて食べた二人がその美味しさに驚いている。
異世界のスイーツの美味しさに感動したブリジットとルルネットはあっという間に完食してしまい、物足りなそうな表情をしているのだった。
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