元魔王様と精霊の依頼 5
ベリッシ湖に戻ったジル達は水の精霊の下へとやってきてゴブリンや呪花に付いての報告を行い魔法道具を渡した。
「い、いいんですか?こんな貴重な魔法道具を。」
ジルから魔法道具のランプを貰った水の精霊が尋ねてくる。
前世を知っているので恐れ多いとでも思っていそうだが、リュシエルがいる手前そこまで表に出してはいない。
「我は必要無いからな。湖の防衛の一つとして使うといい。領民も喜ぶだろう。」
「感謝します!」
水の精霊は嬉しそうな表情を浮かべて頭を下げてきた。
自分を信仰するシャルルメルトの者達の安全が高まるのは水の精霊にとっても嬉しい事だ。
「出来れば人族の魔法は対象にしないでもらえると助かります。魔物に襲われてしまった時に魔法が使えずに死者が出る可能性もありますから。」
「魔法の使用制限は魔物やベリッシ湖に害意ある者に限定するつもりだから大丈夫だ。」
あくまでもベリッシ湖やベリッシ湖を訪れてきた人達を守る為に使うつもりだ。
「それなら良かったです。そしてこちらが呪花の代わりの魔石です。」
「こんなに沢山!?」
受け取った袋の中身を見て水の精霊が驚いている。
二人でどれだけのゴブリンを倒したか分からないが相当な数の魔石が入っている。
「ゴブリン達を倒して手に入れた魔石だ。これだけあれば暫く起動させられるだろう。」
「ベリッシ湖に水の精霊が戻って領民も再びここを訪れる様になっています。また盛り上がっていた頃に戻るといいですね。」
リュシエルもその当時の様子を是非見てみたいと思っている。
再び水の精霊が住み着いた事でそうなってほしいものだ。
「直ぐに私を信仰する為に人族が集まるでしょう。その時の為に私も沢山採取物を用意しておかなければ。」
「共にシャルルメルトを盛り上げていきましょう。」
「ベリッシ湖は私に任せておくといい。」
水の精霊が小さな身体を反らして自信満々に言う。
レイクサーペントの様な大物が来ない限りはベリッシ湖は安泰だろう。
それにリュシエルも強くなっている。
次にベリッシ湖が魔物に襲われたらリュシエルが返り討ちにしているかもしれない。
「それでは用も済んだし引き上げるとするか。」
「そうですね、日も落ちてきましたし。」
ゴブリン討伐は数が多かったので中々時間が掛かってしまった。
明日はセダンに帰る日なのでそろそろ屋敷に帰って休みたい。
「色々とありがとうございました。ささやかながらお礼をしたいので少々お待ち下さい。」
水の精霊はそう言ってベリッシ湖の中に入っていく。
少し待っていると水を操って大きな木箱を幾つも運んでくる。
「これはポーションか?」
「随分と沢山ありますね。」
「ベリッシ湖の周辺で育てている植物の中には薬草も多いです。それを使ってポーションを沢山備蓄しているんです。前は精霊ポーションと言われて人気だったんですよ。」
水の精霊自らが作って取り引きやベリッシ湖での怪我人の為に使っていたと言う。
効果はポーションの中でも高い部類であり、水の精霊のお手製と言う事で更なる付加価値が付いて人気だったらしい。
「それをくれるのか?」
「はい、好きなだけお持ち下さい。素材は幾らでも取れますから。」
「ならば有り難く貰っておこう。ポーションは何かと必要になるから助かるぞ。」
水の精霊から木箱を受け取って無限倉庫に収納していく。
効果の高いポーションは買うと高いので大量に貰えるのは嬉しい。
「ジルが使うのですか?」
「我が使う訳無いだろう?お嬢の様に訓練する者に使う為に持っているのだ。」
「成る程。」
効果が良くても味が良い訳では無い。
ジルが飲むとすればシキが極上蜂蜜で作った甘いポーションくらいだ。
あれならば甘味を味わう感覚で飲めるので味覚を破壊される心配も無い。
「それにしても収納スキルは便利ですね。」
水の精霊がベリッシ湖に蓄えていたポーションを沢山渡してくれるのでどんどん無限倉庫に仕舞っていっている。
普通なら馬車が数台必要になる量だが無限倉庫があれば全く問題無い。
「お嬢も魔法道具を検討してみたらどうだ?公爵家の財力なら買えない事は無いだろう?」
「そうですね、考えてみます。」
収納系の魔法道具は高いが公爵家なら手が出せるだろう。
と言ってもジルの無限倉庫の様に無制限に収納出来る訳では無いので注意が必要だ。
「ではポーションも貰った事だし帰るとしよう。」
使い切れないくらいポーションを収納した。
今世ではもうポーションに困る事は無さそうだ。
「また薬草やポーションが大量に必要になった時は是非いらして下さい。」
「ああ、その時は寄らせてもらおう。」
「水の精霊、ベリッシ湖はお任せします。」
「任された。」
水の精霊に後を任せてジル達は屋敷へと帰還した。
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