元魔王様と天使族の襲来 7
肉を切らせて骨を断つと言う作戦でわざと斬られたが思いの外出血してしまったので、泣く泣くポーションを飲んで回復しておく。
ライエルも何かしらの回復手段を持っているのか徐々に傷口が塞がっていく。
どちらも傷が癒えるとライエルによる上空からの無差別光剣連続攻撃が始まった。
敵味方関係無く光剣が降り注いでくる。
一つ一つが凄まじい威力を持っており、光剣が地面に当たる度に小さなクレーターを作って土煙が舞う。
「反撃の隙すら与えないよ。何も出来ず無様に刺し貫かれて息絶えるがいいさ。」
「ふむ、これは少しまずいな。」
ジルが仲間達を結界で包みながら呟く。
高火力で手数も多いので何重にも結界を展開しなければ簡単に打ち破られてしまう。
ちなみにライエル以外の天使はナキナ達や光剣によって全滅しているので、敵はライエルだけとなっている。
「ジル殿の結界でも防ぎきれんとはのう。」
「天使族の持つ聖痕はこの世界には無い力です。魔法ともスキルとも違う、天使族の上位存在のみが扱える特異な力。」
「神の力なんて呼ぶ人もいるくらいだしね。」
「随分と大仰な名前だな。」
天使族と敵対している魔族の二人だからか、それなりに敵の情報を持っている様だ。
聖痕は特殊な能力であり、天使族の中でも限られた者しか持っていないと言う。
「聖痕による能力は強力なものが多くてそう感じてしまうのです。ライエル以外にも厄介な聖痕を持つ者は多数いますから。」
ライエル以外の上位存在についての情報も持っている様だ。
「戦闘経験があるのか?」
「魔族と天使族は敵対関係ですからね。こちらに戦闘の意思が無くても狙われるものなのです。特に10年前の召喚されて間も無い頃はよく狙われていました。」
召喚された当時から魔族とは敵対関係にあったらしい。
理由は分からないが随分と天使族に目の敵にされている。
「戦った天使族は倒せなかったのか?」
「その時には既に私達の力が大分落ちてたんだ。だから逃げるのに精一杯だったって感じかな。」
「成る程な。」
二人が全盛期の力を扱えていれば天使族の上位存在とて対等に渡り合えそうだと感じる。
魔王時代から仕えてくれている二人はそれ程に強いのだ。
「それでこの後はどうするのじゃ?そろそろ限界じゃろう?」
こんな雑談をしている間もライエルによる攻撃は続いている。
結界が砕かれる度に新たな結界を展開しているが、このままでは埒が開かない。
「私達も戦いましょうか?」
「いや、我が相手をしよう。お前達は巻き込まれない様に離れているといい。」
魔王時代の本調子には程遠い二人やナキナと影丸ではライエルと戦うには実力不足だ。
そうなると相手をするのはジルが適任である。
「ジルさん魔力大丈夫そうなの?今日は結構な量を使っていると思うけど。」
魔物を狩る為に魔法を乱用していて極級魔法まで使った。
更に無限倉庫に収納する度にスキルを使用しているのでかなりの魔力を消費している。
「まだそれなりに余力はあるから問題無いだろう。厳しい時は声を掛ける。」
「おっけー、任せておいて!」
「ご武運を。」
「無理はせんようにな。」
三人にはそう言うが自分だけで排除出来るならばそれが一番だ。
頼ってしまえば犠牲者が出る可能性もある。
「いい加減鬱陶しいな、燃やし尽くしてくれる。超級火魔法、インシネレート!」
結界を解除すると同時にジルの手から火山の噴火を連想させる程に凄まじい勢いで火が溢れてくる。
そのまま光剣に激突して大半を燃やし尽くし、ライエルを更に上空へ退避させる事に成功する。
これにより光剣攻撃が一旦止まった。
「へえ、超級魔法の詠唱破棄か。人族なのにやるじゃないか。」
「随分と余裕だな。」
聖痕による攻撃を魔法によって相殺されたと言うのにライエルは全く焦っている様子が無い。
人族に負けるとは全く思っていない様だ。
「何やら話し込んでいたみたいだからね。強い僕がハンデとして待っていてあげたのさ。全員で協力して向かってくるならそれでも構わないよ?」
「いや、お前と戦うのは我一人だ。」
仲間達も強いがライエルと戦うとなれば力不足だ。
守りながら戦うよりはライエルだけに集中したい。
「一人でこの僕に敵うとでも思っているのかい?」
聖痕による大いなる力を披露しているのにジルの戦意は失われない。
大抵の人族は次元の違う力を前にして戦う気すら無くすのだが、ここまで自分に戦意を向けてくる者はライエルにとっては初めてだった。
「人族をなめている様だからな。それなりに戦えると言うところを見せてやろう。」
「ふははっ、だったら壊れるまで遊んであげるよ。直ぐにへばらないでよね。光剣射出!」
周囲に浮いた複数の光剣がジル目掛けて勢い良く放たれた。
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