元魔王様と暗躍する謎の集団 3
集落の周辺の調査を始めてそろそろ1時間が経とうとしていた。
今のところ何も見つけられてはいない。
「何も見つかりませんね。」
「ふむ、勘が外れたか?」
感知結界による魔物達の異常行動から既に何か起こっているのではと調査を始めたが、特に何も見つけられていない。
「ん?」
ジルは歩くのを止めて突然立ち止まった。
「どうかされましたか?」
周りを歩いていた鬼人族達は、突然どうしたのかと不思議そうにしている。
「魔力が感じられなくなった。」
「えっ!?」
周囲の警戒をしつつ歩いていたのだが、突然魔力を感じられなくなってしまった。
直ぐ近くにいる鬼人族達の魔力すらも感じられない。
感知が苦手な鬼人族は言われるまで気付かなかった様だ。
「ここから先だな。何か細工されている。」
きた道を少し戻るとまた魔力を感じられる様になった。
見えない境界線でもあるのか、ある場所を境に魔力の感知が出来無くなっていた。
結界によるものであれば結界魔法の使い手であるジルが気付けるので、魔法道具による可能性が高い。
なので辺りを全員で捜索してみる事にした。
「ジルさんこれかもしれません!」
「見つけたか。」
少し離れた場所で鬼人族の者が何かを見つけた様だ。
「これって何でしょうか?」
鬼人族の者が地面を指差して尋ねる。
そこには小さな魔法陣が浮かび上がり、中心に石で出来た棒が立っていた。
草むらの中に隠す様にあったので通り過ぎるくらいでは気付けない。
なので今まで鬼人族達に発見されなかったのかもしれない。
「…明らかに怪しいな。」
ジルは万能鑑定のスキルを使ってこの物体を視てみる。
名前は四柱石と言う魔法道具であった。
他にも同じ物が三つ存在しており、設置された四箇所に囲まれた範囲内にいる生き物の魔力を感知出来無くすると言う効果だった。
「何か隠していると言う事か。」
こんな魔法道具を設置しているのは、範囲内に魔力を持った何かを隠しているからだろう。
普通は魔力が感じられなければ違和感を持つ者が多いが、感知が苦手な者が多い鬼人族ならば、これで充分隠し通せる可能性がある。
「どういう事ですか?」
「これは魔法道具だ。同じ物が四つあり、囲まれた範囲内の魔力が感知されなくなるらしい。」
万能鑑定のスキルで視た魔法道具の内容を教えてあげる。
「そんな魔法道具を一体誰が…。」
当然鬼人族達には見覚えの無い物だった。
「工作員とやらの仕業かもしれんな。一先ず壊すか。」
これがあると魔力による感知が出来無い。
調査をする為に邪魔である事には違い無いので、踏み砕いて破壊すると魔法陣も一緒に消える。
「っ!こいつは大物だな。」
魔法道具を破壊した事により、突然今まで感じなかった魔力が感知出来た。
かなり近い場所から大きな魔力反応を感じる。
これ程の魔力であれば集落からでも感知出来たかもしれない。
おそらく魔物達の多くは、野生の勘でこれを感じ取って逃げたのだろう。
「見つけたのですね?」
ジルの反応から鬼人族達にも緊張が走る。
「ああ、かなり近いぞ。こっちの方角だ。」
ジルの案内に従って森を進むと山に空いた大きな穴、洞窟の様な場所の中から魔力が感じられた。
「あの穴の中だな。何があるか分かるか?」
「特に何かある訳ではありません。大きな空洞が広がるだけの洞窟です。」
地元民である鬼人族達も知っている場所だ。
特に何も無い洞窟なので滅多に来る事は無いらしい。
「今は何かが住み着いている様だな。それも人為的にか。」
魔法道具によって隠されていたので、人の手が加わっているのは明らかである。
「シキ、キクナかナキナは近くにいるか?」
精霊との真契約によって使える様になった意思疎通で連絡を取る。
どんなに距離が離れていても頭の中で会話が可能となるのだ。
「お姫様ならいるのです。」
「そうか。原因と思われる者を発見したから接触していいか聞いてくれ。」
一応確認は取っておいた方がいいだろうと思い連絡した。
「分かったのです。」
シキはそう言ってナキナに確認を取ってくれた。
「相手の力量が分からないので、戦闘となって手に余る様なら援軍として向かうらしいのです。」
魔力しか感知出来ていない状況なので実際どうなるか分からないが、戦闘になる可能性は十分にある。
「討伐程度なら問題無いだろう。それに工作員の可能性がある以上、集落にはいてもらいたい。」
魔力の大きさからでもある程度の戦闘能力を予想する事は可能だ。
魔力だけを見るならば、ジル一人でも対処は容易と思われる。
転生して弱体化したと言ってもそう簡単に遅れを取る事は無い。
それに工作員が誰か分かっていない状況なので、集落の守りを手薄にする訳にはいかない。
「安全を一番にくれぐれも気を付けてほしいそうなのです。」
「分かった。」
ナキナからの許可も降りたのでシキとの会話を終える。
「どうでしたか?」
「このまま向かう。お前達はどうする?」
別に鬼人族達には洞窟の入り口で待機してもらっても構わない。
洞窟内が危険な可能性もあるので無理に連れて行く必要も無い。
「当然向かいます。ここまで来て臆する者はいません。」
皆同意する様に頷いている。
危険であろうとも付いていくと言う覚悟が伝わってくる。
自分達の問題でもあるので、最後まで見届けたいのだろう。
「では行くか。安全第一とお前達の姫が言っていた。気を付けろよ。」
全員が頷くのを確認してから、ジル達は洞窟に入っていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます