魔王様の部下の部下の部下の富和君。

《それで、銭湯から部屋に帰って来た富和君と、そのまま2人で》

「何も無いです。だから腐女子は嫌われるんですよ、自重して下さい」


《ちょっとした冗談じゃないですか、杏子さんだって同じ反応か、寧ろコレ以上の反応を見せますよ》

「BLしか魔王モノはダメだとしなければ、もう少し違ったのでは」


《あの子は根っからです》

「あぁ、だから前世勇者男をそこまで恨まなかったんですかね」


《どうでしょうね》


「それで、コレは杏子さんには内緒なんですよね」

《はい、魔王作品関連ですし。親交を深め合うんだろう、とだけ言っておきますよ》


「明らかに誤解を招かせようとしてらっしゃいますよね」

《細かいですねぇ、童貞仮免許の分際で》


「ど、仮免ってどう言う事でしょうか」

《たった1日、3回した程度で脱童貞だろう。その思考が童貞臭いって言ってるんですよ》


「それ、杏子さんしか」

《あの子が私に喋らないとでも》


「ぐっ」

《少し前に初めて聞きました、アナタと向き合うべきかどうかの時に》


「あ、はぃ、そうでしたか」


《願いが叶えば後戻りは出来ませんよ》

「はい」


《最悪は死ぬ危険性も孕んでますが》

「覚悟しています、とっくに」


《叶うまで、いつでもギブアップして頂いて良いですから、いつでも仰って下さいね》

「死んでも言いませんよ」


《宜しい、お下がり》

「はい、失礼致します」


 親代わりの覚悟の確認。

 それと、彼らの仲と相性の確認。


「あのー、夏休みの事でって言われたんですけど」

《富和君、どうぞ》


「はい、失礼します」


《で、どの程度で読めそうなの?》

「後衛だけで、ぶっちゃけ、10日位かな、と」


《そう、けど本命は決意なのよね》

「え、あ、そうなんですね」


《けど前衛は抜かしたらダメだから、取り敢えずは8日。けど引きこもり過ぎはダメよ、ちゃんと夏休みらしい事もしなさいね》

「はい、ありがとうございます」


《それと、今はどんな気持ちの傾き加減なのかしら》

「あ、諦めるは無いです、今は。やっぱり顔を見ちゃうと、どうしても近寄りたくなっちゃいますね」


《社内ではお触り厳禁よ、じゃあ今週も頑張って下さいね》

「はい、失礼します」


 全ては杏子さんの為、杏子さんの幸せの為。

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