魔王様の会社の福利厚生。
富和君が珍しくギリギリでの出社となった。
しかも走って来たのか、汗だくで。
「すみません、虎さん、3分、1分だけ下さい」
「大丈夫ですよ、急冷室で休んで下さい」
「はい、ありがとうございます」
杏子さんが冷え性の女性社員と暑がりの営業社員の苦情に対し、折衷案として作られたのが急冷室。
暑い時期には最低温度に設定され、扇風機が置かれ、完備された冷蔵庫にはアイスや飲み物が入れられている。
そして寒い時期には少し暖かい設定にして、ポットやカイロが置かれる。
謂わば休憩室なのだけれど、休憩室の様な談話室はまた別に有る。
客人が来る予定が無い場合、応接室が談話室へと変わり、社員は自由に使える。
そして人と接したくない社員用の個室も有るし、遠隔での出勤にも対応している。
僻地と言えど自社ビル。
そして杏子さんには戸籍も有る。
先ずは人間なのかどうか、人間の定義が世界中で話し合われ、数年して戸籍が与えられた。
そして苗字が魔王、名は杏子となった。
苗字の継承は不可能で、彼女が誰かのお嫁さんになる事しか許されなかった。
特殊な苗字、特殊な出自だからこその制限なのに。
彼女と斉賀さんは、ナイトの称号みたいでアリ、だとか言って受け入れてしまった。
『あれ、富和君は?』
「ギリギリ間に合いはしたんですけど、今は急冷室に居ます」
『あぁ、もう暑くなって来たものね』
「ですね」
『体調に気を付けて下さい、熱中症は危険ですから』
「はい、ありがとうございます」
相変わらず斉賀さんには嫌われたまま。
何もしていない筈なのに、睨まれてしまった。
私が悶々としても、彼らには察する能力は皆無だと身に染みて分かった。
だからもう、動くしかない。
《虎さん、ちょっと良いですか》
「はい」
杏子さんが居ない部屋へと呼び出し、今まで話し合わなかった事を話す事に。
《杏子さんへの配慮から、今まで私は最低限以下の接触にしてきました。ですが、もう富和君が居る、何が言いたいか分かりますか》
「手を、引けと」
《まだ馬鹿でしたか、と言うかその程度の気持ちに収まってしまったな》
「いえ、好きです、愛してます」
《私に言ってどうするんですか、どうして当人に言わないんですか》
「まだ、僕も杏子さんも未熟だと斉賀さんが思ってらっしゃるなら、接触は控えるべきかと」
《今はどう思ってるんですか》
「僕は成熟したと思っています。けれど杏子さんには、まだ、準備が整っていないのかなと」
《準備させないのは何故》
馬鹿。
何を驚いた顔をしてくれるんでしょうか、恋愛指南本だって渡しているのに。
もしや、ただのマンガとしか。
「そ」
《確認させなさい、私が渡したマンガ本は恋愛指南本としてお渡ししていた面も》
「え」
《お前はやっぱり馬鹿だったか》
いや、私も馬鹿だったのかも知れない。
あまりにも間接的過ぎた。
けど、でも、アレ読んで。
アプローチしないとな、と思わないなら、結局は成熟度がま。
「あの、アレには、本当に恋愛指南の意味が有ったんですか?」
《あの人があんなにニマニマする恋愛作品って、逆にアレだけなんですよ。数多の恋愛物を読ませましたけど、文句1つ出ずに読み続けてるのはアレだけなんです》
立場が違い過ぎて入り込めない。
可愛いからこう相手にされてるだけだろう。
せめて普通の顔のは無いのか、けどブスは嫌、ブス専ならイケメンお巡りさんで十分だ。
果てはどうしてこうなるんだ?
と、私にも分からない思考回路や展開の場合は、素直に引き下がって頂けましたけど。
どう頑張っても入り込めない。
主人公が馬鹿過ぎる。
危機管理能力が無さ過ぎて息子の嫁的には無理。
平民が王族になれるワケがない、例えチェンジリングだったとしても馴染めるワケが無いだろう、ご都合過ぎて萎える。
そんな数多の文句の中を、生き残ったたった1つの作品。
[跳ね回る心音]
今年で連載20周年を迎えて、その半分の10年は読ませて来たのに。
「すみません、大変良い作品だとは思うんですが。僕が重ねられる人物が居らず」
《あぁ、確かに》
確かに、二条君の様に何年も思い続けてるのは寧ろ主人公で、けど裏切られて。
あぁ、確かに何か一言付け加えるべきだった。
「それで、あの」
《一言付け加えるべきでした。あの彼の様に、エンジェルラダーを放てる様になって欲しかったんです。顔は良いんですから、活用して頂ければと思っていたんですが、言葉が足らずすみませんでしたね》
「斉賀さんでも、拗ねる事が有るんですね」
《魔王様の配下で下僕ですが、私も人間ですが何か》
あぁ、杏子さんがコチラを見た後、急冷室へ。
嫉妬とかマジでされたく無いんですけど、多分、あの人は普通に心配して向かっただけですよね。
「それで、僕があんな事をして、本当に喜んで貰えるんでしょうか」
《おい馬鹿、喜んでもらえるか、じゃない。喜んで貰える様にするんだよ》
斉賀さんが迎えに来てくれるまで、ココでガンガンに体を冷やそうかなと思っていたら、魔王様が。
けど俺の様子を確認して、直ぐに帰ろうとしちゃって。
「あ、魔王様」
『様は要らないんですが』
「さん、ってフランク過ぎじゃないですか?」
『フランクで結構ですよ。冷え過ぎると交感神経に良く無いそうなので、事務所の室温に慣らした方が良いかと、気温差で眩暈を起こした子が居ましたから。では』
「あの、心配して頂いて、ありがとうございます」
『いえ、従業員は家族ですから』
「あの、好きです」
『どうも』
「恋愛的な意味で好きです」
『左様で』
「本気なんです」
『良く言われます』
「ですよね」
『はい』
「家族だから、心配してくれただけですか?」
『斉賀さんと虎ちゃんが放置していたので、はい』
「俺に興味は無いですか?」
『興味を持つ程、知らないのですが』
分かってた事、当たり前の事なのに、確かになと驚いてしまった。
「すみません、俺が勝手に、良く知ってる気になってて」
『SNSの閲覧は自由なので問題無いですよ』
「俺の事、知って貰えますか?」
『知ったら好いて貰えると思ってませんか?』
「確かに、少し思ってたかも知れないです」
『成程、意外と自信が有るんですかね』
「半々です、好きで半分で、もう半分は経験と知識の無さです」
『もし本気なら、跳ね回る心音、オススメですよ』
斉賀さんに何かお礼をしないと。
「やっぱり、エンジェルラダーの彼が推しですか?」
『はい、もう新刊読まれましたか』
「実はまだなんですけど、心がムズムズしますね」
『分かって頂けますか、実は毎年新人に布教しようと思ってたんですけど、斉賀さんに止められてまして。何でだと思いますか?』
「多分、魔王様を口説きたい人の良い武器になってしまうのと、それが外部に漏れる事の懸念と。社外でも社内でも、イケメンのエンジェルラダーまみれって、平和に過ごせますか?」
『あぁ、エベレスト無装備放置の方がまだマシですね、成程』
「虎さんも読んでるんですかね?」
『あぁ、勧めないで下さい、アレにラダーされたら死ねる』
コレ、虎さんとの事を俺が知らないって前提ですよね、きっと。
「ですね、イケメンですし」
『君も悪くない容姿なんですから、容姿に拘らず頑張って下さい』
あぁ、俺、ちゃんと言えてないから誤解されてるのかも。
「杏子さんの元の容姿、俺は悪くないと思ってます」
『魔王さん、な』
「あ、はい」
『流石に冷えてきたので戻ります、君も長居は毒ですよ』
「はい」
また、流されてしまった。
コレ、凄いダメージかも。
悪くないって言ったら、悪くないって返されてしまった。
愛されるかも知れない期待が出て、危ない、お手軽に新人を食べてしまう所だった。
けど6才年下ですよ。
私はもう28才、けど相手はピチピチの22才。
子供が出来ないのに、若い人の可能性はやっぱり潰せないですよ。
良い人間なら、尚更。
《少し、良いですか》
『うん』
斉賀さんが食べちゃえば良いのに。
あれ、私、天才では。
《今、何か思い付きましたね》
『斉賀さん、富和君はダメ?』
《アナタまでトリプルCを出さないで下さい》
『筋は通ってる筈なんだけれど』
《お子さんと年齢を気にして二条君を選ぶのは失礼では?》
『富和君の親御さんに申し訳が立たないが?』
《この年まで仕事に逃げていた罰ですよ》
『なら独身を貫くとするじゃん?』
《まだ、人間に戻りたくは無いんですか?》
『別にどうでも良いけど、斉賀さんが気にして結婚しないなら、する』
《あの主人公と同様に、恋愛関係で知能が落ちる所を真似ないで貰えませんかね?》
『3次元に懲りた、程々じゃダメ?』
《まぁ、こうなりますよね》
『斉賀さんに虎ちゃんでも良いけど、流石に無理だろうなとは分かる』
《そこは流石に分かってくれてて助かります》
『それで、本題は何だっけ?』
《暫くしたら二条君からラダーの嵐が降るかと》
『何をしてくれてんの?何で読ませた?』
《この10年読ませ続けてたのですが、真意を分かって頂けてなかった様なので、先程修正させて頂きました》
『お前10年も前から何て事をしてくれてますか?』
《恋愛音痴と恋愛音痴をぶつけても、部屋に閉じ込めても、何も起こらないと思いませんか?》
『確かに。だが、貴様か、富和君に本を渡したのは』
《要求されたので》
『何故だ、どうしてそこに至った』
《あ、バイトの時間だ》
『斉賀さん、ココがアナタの職場ですよ』
《離して下さい、たった今、ウンコがしたくなりました》
『今朝したでしょうおばあちゃん』
《最近ストレスで緩いんですよ、アナタのせいで》
『独自に恋愛なさい』
《離して下さい、たった今尿意も来ましたので》
『お掃除しろって事ですね、分かります』
《出させる前提は止め、本気で両方出しますよ》
『パンスト内部に溜まるだけでは』
《緩いと言ったでしょう、私の緩さを舐めないで下さい》
『それで、どうして渡したんですか』
《それは富和君から聞いて下さい》
『嫌どす』
タイミングの悪いノック音が。
「失礼します、斉賀さんにお電話なんですが」
《後でご褒美を差し上げますね、では》
『チッ』
取り立てから帰って来ると、魔王様に壁ドンされた、良い匂い。
「あの、俺、何か?」
『虎ちゃんも残りなさい、後で話が有ります』
俺、何かやっちゃったのかな。
思い当たる節が、全く無い。
「失礼します」
『どうして斉賀さんに本を強請ったの?』
「あの、それは」
『ハッキリ言ってくれる人が好き』
あー、キュンってしちゃった。
顔が赤くなる、どうしよう。
「あの、凄く楽しそうに何かを読まれているのをお見掛けして、斉賀さんにお願いしました」
初めて、真っ赤になった顔を見たかも。
『面目無いー、表に駄々洩れだったとは。すみません、自重します』
「あ、ちが、ダメです、自重しないで下さい。だから俺も、斉賀さんも、言い渋ったんだと思うので」
『社内でマンガですよ?ダメでしょうよ社会人として、しかも社長がですよ、有り得ない』
「本来なら交代させる時だけご出勤でも良いのに、社員の意気高揚の為に出社して頂けてる魔王様へのご褒美、とかはダメですかね?」
『甘やかされている事が平社員の君にバレた、そして真意までバレている。もう、会社の規模を縮小する時期に来ているのかも知れませんね』
「マンガ1つでそうなりますか?」
『私は子を成せないと思われます、しかも6才も上です、他に目を向けて貰えませんか?』
「ジャブ打ってから凄い球を投げて来ますね」
『秘儀、消す魔球』
「凄い好きです、全然良いのに、なんで今の姿ばっかりチヤホヤしてるんだろうって周りにムカついてたんです。それを最初に伝えたかったんですけど、好きって言ったらもう、恥ずかしくなっちゃって」
『この社内の人間が全員揃ってる場でしたからね、今年は猛者が入ったなと、海外支社からも注目の的ですよ』
「あぁ、ぅわぁ」
『だからこそ、今なら誤解として終える事も可能です。君は良い人そうで、ご両親も良い人間なのだろうと思います、だから』
「子供の事は、妹が5人は産むので大丈夫かと」
『何で確定してらっしゃる?』
「断言してたので」
『それでもお相手との相性とかが』
「本来、残すべきは女の遺伝子だと思うんですよ。ミトコンドリアもそうだし、男の染色体も短くなってるって言いますし。それで妹は経済的にも5人は産める人を選ぶから、お兄ちゃんは心配するな、って」
『凄い内容までご家族と話し合われてるんですね』
「妹は惚れっぽいしモテるし、けどしっかりしてるんで、子孫の事は任せました。検査もして問題ないとは聞いてるんですけど、コピー貰いますか?原本が必要なら妹と会って欲しいんですけど」
『君の愛もそこそこ重いのね』
「あ、それから、虎さんから聞いちゃいました、すみません」
『あぁ、それはもう終わっ、終わってなかったみたいなんですよね』
「ですね」
『ちょっと、整理も兼ねて、虎ちゃんを呼んで来て貰えませんか』
「はい」
凄い、良い雰囲気に全く流されない、流石魔王様。
「12年ぶりに2人きりですね」
『良く耐え続けてたね?』
「好きで、愛してるので」
確かに誰でも良いワケでは無かった。
人は選んだ。
特にヤる人間は。
だって魔王でも性病は怖いし。
『私が生きてた頃に聞けてたらなと、思うのだけれど』
「普通に出会う前には僕も死んでたと思うので、無理ですね」
『ある意味で死人同士かぁ』
「好きです」
『社内で身体接触は控えようね』
「どうしたら分かって貰えますか?」
「分かってはいる。けど魔王の姿だから君と対等に接する事が出来てる、けど万が一にも元に戻ってしまったら、プレッシャーで失踪します」
「僕は外見はどうでも良いんですけど、整形されては?」
『成程、確かに』
「本当に、ご自分に関する事は全く考えてなかったんですね、ずっと」
『もう意味が無い事はしたくないので』
「僕も整形しても構わないんですが」
『それはダメ、勿体無い』
あぁ、確かに虎ちゃんの顔は好きですよ。
分不相応ですが生きてる時もメンクイで、死んでもメンクイで、生き返ってもメンクイです。
いや、近いよ虎ちゃん。
「会社の外で話しませんか?個室を予約出来ますよ」
『家か会社しか無理、盗聴されて君に被害を及ぼしたく無いし』
「じゃあ僕の家にしておきますか?」
『富和君との話も中途半端なんだが?』
「じゃあ家に行かせて下さい、富和君と一緒に」
『そうだね、社内をコレ以上ザワザワさせたくないし』
「それは魔王さんの人望ですよ」
『特に何かした覚えは無いんだけども』
「少なくとも国内の愛され社長1位ですよ」
『そう持ち上げてもコレ以上はお給料出ないのに』
我々普通の社員は、普通に会社が好き、社長が特に好きだ。
お給料が良いのは勿論、超絶ホワイト。
福利厚生が充実している、なのに有給の理由は適当でも良いし、会社の人間と深くかかわらなくても許される。
取り立て=ヤクザ。
未だにそんな計算式が成立しているけれど、じゃあ何処のヤクザ事務所がこんなにも超絶ホワイトなのか教えて欲しい。
と言うか取り立て=ヤクザならバッドバンクの。
《どうしました、ボーっとして、お疲れですか?》
「あ、いえ、何て良い会社なのかなと」
《そうですか、ありがとうございます》
そう、社長も専務も美人。
しかも社長は仕事が無いのに来てくれてる。
昔は暇だからとトイレ掃除を始めようとしたり、電話番をすると言って私達の仕事を奪おうとしたり。
あぁ、産休制度も完璧なんですよね。
そして有休消化率も高い、多分国内1位。
ただ、どうしても離職率は普通レベルに留まってしまっている。
何も悪くないウチの魔王様が悪く言われる事に耐えられず、時に恩を仇で返す人間に失望して、そもそも人と関わらない仕事へ転職していく。
コレはもう、世界が悪いんだと思います。
たかが前世で大騒ぎして勝手に死んでるだけなのに、魔王様のせいにして。
悪い世界を構築したのは自分達だと認めたくないから、魔王様のせいにする。
英雄譚の底が見えてしまった様で、ウチの会社だけだと思いますけど、ファンタジー離れが凄かったんですよね。
あぁ、またどうせ魔王のせいですか、自分達の治世を省みる前に。
って、もう王道ファンタジーアレルギーに新入社員は必ずなるんですよね。
「あ、私取ります。はい、
基本的にいたずら電話が多い。
なので記録して、定期的に提訴してる、少額提訴とかも全然しちゃう。
それもまた社会貢献だ、善人と悪人の線引きを出来る徳を積む、御仏チャンスだと。
最初はちょっと何を言ってるのかなと思ってたんですけど、請け負ってくれる弁護士さんにもお金が行くし、更生の切っ掛けにもなっている。
そして結婚相手の身元調査で我々が提訴した問題が出て、破談に持ち込めたお金持ちの方に魔王様がお礼を言われたり。
そもそもが善人なら、小さな提訴問題程度では破談にならない。
決定的な事が無いけれど明らかに違和感が有るヤツを調べると、ウチに悪戯した経歴が出た。
だから人事で良い人選が出来た、危ない結婚や交際を回避できた、って。
そうやってお金持ちの善人の方々には喜ばれてるんですよね、ヤバいヤツを抱え込みたくないのは何処も同じですから。
《また無言電話ですか》
「はい、記録完了しました」
《ご苦労様です、次は子供用で対応して下さい》
そして、偶にコレがSOSだったりもする。
お金が無いけど困ってる子供からの相談。
何回も掛けて、切って、やっと本題に入る。
私も出た事が有る、お父さんがカバで馬鹿にされるから、幾ら払えば良いですかって。
大抵は前世の問題と言うより、家庭の問題、特に夫婦喧嘩に耐えられなくなった子供が掛けて来る。
『あのー、改めて言うけど、私を褒めてもコレ以上はお給料上がりませんからねー。じゃあ、帰ります、お疲れ様でした』
《私も上がります、お疲れ様でした》
「お疲れ様でした!」
電話相談は年中無休、24時間対応。
そして社長のお給料は、35万。
斉賀さんも、虎さんも35万。
そして会社の福利厚生のお菓子やアイス、飲み物代の半分は社長が払っている、無意味に自分も食べてしまう時が有るからと。
子供が生まれてから新入社員に説明している時、ちょっと泣いちゃいましたよね、無意味じゃないのに。
社長の幸せが私達社員の幸せでもある。
魔王様否定派とは結婚しないし付き合いも断つ、お陰で滅茶苦茶スッキリしたんですよね、身の周りが特に。
そして社内恋愛も自由。
但し、絶対に魔王様に迷惑を掛けないだろう場合のみ。
意外とコレが効くんですよね、社内不倫しようとして、コレで査定下げられて辞めた馬鹿女に馬鹿男が意外と居る。
こんなに良い会社って中々無いのに、良過ぎて麻痺しちゃうんでしょうね、良い場所に居られてる感覚を失ってしまう。
「新田さん、この電話、さっきのかもですよね」
「ですよね、私が出ますね。はい、魔王様の会社、
【あの、お母さんの前世を変えて下さい】
ビンゴ。
悲しいビンゴですよね、あれからもう12年も経ってるのに。
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