第19話◆元魔王、こっそり視察に行く4
正宗と共にこっそり駐車場をでると即座に散開した。
僕も正宗もジャイアントボア100匹が来てもてこずらないからね。
それよりも……。
『メル様』
『うん、気づいてる』
念話にて僕と正宗が共有している【
4つはバラバラ、11個はまとまっている。
これは魔物だったり敵対生物だったり赤ネームだったりと様々なのだが、要するに須らく【敵】だ。
纏まっているのはまぁ、そういう事だろうな。
『ジャアントボアを倒してから行こうか』
『はっ!』
それからはさくりとジャイアントボア合計4匹を倒し、残り11の固まている赤い点、つまり山賊の類の方へ移動した。
山賊は山の斜面のちょっとした空間に陣取っていて、焚火の周りに陣取っていた。
どうやら食事中のようだ。
「出来たばかりの駐車場周辺だ。稼ぎ時だぞてめぇら!」
「安心しきってるやつらが嘆く顔見たいっす!」
「ライズ領もカフカ領も商人はいいもん積んでるからな!」
「ライバルもいねぇ土地だ。狩り放題だぜ!」
ギャハハハハ!と笑いながら肉を齧り酒を飲む山賊達。
まだいたんだなぁ、こういうの。絶滅危惧種だと思ってたんだけれど。
パパも僕もエクセル叔父上も、領内の強奪行為や犯罪者には厳しい処置をしてきたおかげで、その数はほぼゼロに近い。
それほどまでに徹底排除してきたおかげでライバルがいないって事に気付いてないんだろうなぁ。
『メル様、私が行きましょうか』
『そうだね。死体専用
『ありがとうございます』
正宗はそう言うとすっと気配と姿を消した。
そして、一瞬の間に彼らの首と胴体が離れ、山賊達は己の身に何があったか解らないまま絶命した。
いや、ちょっとした押し問答とか期待してたわけじゃないよ?
「そこまでだ!悪党共!」「なんだお前は!」「貴様らに名乗るななど無い!」的なやり取りとかちょっと憧れじゃない?ロマンじゃない?キャー!兄さぁん!じゃない??
『おわりました。こいつネームドですね』
『ネームド?有名?』
『というか指名手配されている一味のようです。私のデータベースでは赤頭のベンジャック、と照合結果がでてますね』
『あー。なんか王都の冒険者ギルド本部に寄った時に手配書を見たことはあったな。なに?王都周辺からこっちまで移動してたんだ。ここ、国の端っこだよ?』
『そのようですね。さて、死体は収納しました。多少のお宝はありそうです』
『そっちは僕が回収するよ。明日は帰らないでパパの所まで報告いこうか』
『御意』
そんなこんなで。
こっそり出てった手前、アレなのだが駐車場に戻ってきてこっそり兵士さんにご報告。
「え?ジャイアントボア?4匹もいたの?二匹じゃなかったんだ……」
「全部この冒険者のマサさんが倒してきてくれました。肉パできますよ」
「いやそれは……ありがたいけれど……。あんたすごいんだな」
「護衛ですから」
カフカ領側と合わせて4人の兵士さんが一同に集まって取り出した4頭のジャイアントボアをみてざわざわしている。
ジャイアントボアは突進力も強ければ毛皮も硬いので一対一であればCランク上位でも可能なんだけれど、4匹ともなるとBランク上位かAランクでないと難しい。
兵士たちがざわざわしているのを不審に思った宿泊客がわらわらと寄ってきた。
「ジャイアントボアを狩ってきました!これで道中は安全ですよ。1匹ここに進呈しますので皆様で存分にお楽しみください!」
「「「おおおおおお!!!!!」」」
僕が中くらいのやつを残して
商隊に属する人の様で、雇い主には許可を取ってきたという。
僕も正宗も解体は出来るが、ここは皆様のご厚意に甘えよう。
「宜しくお願いします。あ、こちら僕特製スパイスですので、焼くとき使ってくださいね」
「いいのかい?美味かったら仕入れしたいくらいだ」
「あはは。ベースはライズ領でうってるやつですよ」
「ああ。ライズ領のか。今の若領主に代わってから、食事関係が美味くなったって聞いたな。明日、うちの商隊はライズ領にいくから雇い主に報告しとくわ」
「あはは・ぜひにー」
というやり取りの後、日が落ちてまだそれほど経ってなく、皆のお腹も空いていたことから、共同駐車場は肉パが開催された。
皮や牙等の素材は商人が買取り、その収益は駐車場の物になった。
流石に素材の売り上げは……と兵士さんたちは言うが、蓄えはあった方がいい、と言って全額寄付という形になった。
その後、念願のハンバーグをもっしゃもっしゃ食べてご機嫌なエクセル叔父上に山賊の事を話し、そのままエクセル叔父上も王都に付き合ってくれることになった。
なんか最近、月一でパパに会ってる気がする。
国王様になったパパと辺境伯になった僕、そこまで頻繁に会えるもんじゃないんだけどなぁ?
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