第11話◆元魔王・領地経営する11
両領の中間地点というか領境に街道の左右に休憩スペースは作られた。
領を跨ぐのではなく、互いの領側に同じ規模でまず整地し、そこから同じ造りの建物を作っていく。
ちょうど下りでも上りでも入りやすい感じで。
「とりあえず、兵士さんが詰める宿泊できる詰め所も作ったし、お店は6時~18時まで交代制で住み込みで働いてくれる人も選別したし。実際にプレオープンしつつ、街道の補正工事も進めていこうと思います」
「そうだね、こっちも従業員は選別してあるので直ぐ連れてくることは可能だよ」
「解りました」
従業員は12時間労働ではなく2交代制にして6時間ずつ割り振ったが、朝の仕込みと夜の掃除で+2時間も給金の中に入れている。
慣れていて手早く準備が出来るようになってもメイン6時間分と残業扱いの上乗せ在り+2時間分で、周りに何もないにも関わらず、応募が殺到した。
あとは週2でこっちから手伝いを2人出すことにしたので、食堂もお土産屋も回るだろう。
「では明日、また」
そういって僕とエクセル叔父上は別れ、明日ここで待ち合わせる事にした。
◆◇◆◇◆
「ぱぱ?」
「ぱぱだよー!」
「なんでいるの?」
「エクセル兄上と息子の事業を激励しに?ほら、差し入れも沢山用意したんだよ」
フッ軽パパ、もとい、現国王アル・サリュエス・オルティアス・オブカイゼラがここにいた。
国王になったのでライズの姓は名乗れなくなったが、どのみち長い名前になった。
そういえばこのあたりの期間でプレオープンしますよ、と先日報告したばかりだった。
来るなら来るで報連相してよ!
あとじいじのお弟子さん間の読み方は兄弟姉妹のそれである。
なので年下でも自分より前の先輩お弟子さんは「兄上」「姉上」、後輩お弟子さんはそのままの呼び捨てとなる。
これにより、僕は最後の弟子であるパパの子なので、じいじからは孫扱い、お弟子さん達には甥っ子扱いになるのだ。
「パパ、プレオープンといってもそんなに珍しいのはでないよ?」
「うん。でも自分の国の新事業は確認しておきたいじゃない?」
「ああ、そういう……。うちはうどんを出すんですが食べていきます?」
「やった!うどん大好き!カントウフウある?カンサイフウのお出汁も好きなんだけれど、カントウフウの真っ黒なおつゆに葱沢山が好きなんだよねぇ」
パパ、割と好みは関東から北寄りの、濃い目の味付けが好きなのだ。
あと、茶わん蒸しは甘い方がいいらしい。
プディングは肉の入ったしょっぱい系という認識で、プリンは甘いデザート扱いだ。
という訳で、新しく作られた――まだ街道の整備補修はしてないが――駐車場や簡易宿泊施設、お土産物や、体を吹く事が出来る安易湯あみ所を視察した。
同サイズのコの字を逆に設置し、どちらからでも出入口が見れない仕様にしている。
下は硬化した土台の上にすのこを敷き、使ったお湯はそのまま流し場に流してもらう。
男女とも排水場所は同じだがそこに浄化用スライムをぽいちょとしたし、そのまま浄化された水は近くの川まで行くようにしてあるのだ。
「簡単に体を拭ける施設があるのは良いね」
「僕も旅をしてて駐車場を見たりしてきたんですが、割とその……匂い問題が……」
「ああ……」
長距離の移動になるとね、汗臭くなるからね……。
「そこで大きめの桶湯をいれ、小さい桶に移しつつ体を拭いたり髪を洗ったりできればと思ったんですよ」
「いい案だね。大きめの駐車場に同じもの作れそうなら公共事業として作っちゃっていい?」
「いいですよ。あとで建築方式の詳細をおくります」
「宜しく頼むよ」
こうして、プレオープンが始まった。
あまり告知してはいなかったが、施工関係者から話が漏れたようで、それなりに大盛況だったし、簡易宿泊施設もすぐ満員御礼になった。
宿泊施設を利用してくれた人にはアンケートに答えると、土産物屋で銅貨3枚程度の割引クーポンをくばることを説明したら、ほぼ全員がアンケートに協力してくれた。
その中で、改善点があれば次回の提案材料にした。
従業員も交代要員込みでフルで働いてくれたので特別手当をだし、今後の改善点があれば箇条書きでもいいので提出をお願いした。
ああ、駐車場の完成がたのしみだ。
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