第7話◆元魔王・領地経営する7

「やぁメル君。遠慮なく来てしまったよ。これ、手土産だから受け取って」


 と、エクセル叔父上は途中で狩ってきたのだろうジャイアント・レッドボアを丸々一頭寄越してきた。

 無論、これだけではなく領地で取れた葡萄で作ったワインを二箱、ジャイアント・キラービーの蜜蝋入り蜂蜜の瓶を5つ持ってきた。

 ジャイアント・キラービーの蜂蜜は二度精製されて作られているので濃厚で好きなんだよね。

 これをパンケーキに乗せるとほんっと美味しいんだよなぁ。

 今日のおやつはこれにしよう、うん。


「早速使わせてもらいますね」

「じゃぁ俺は料理長と一緒に解体してくるわ」

「テス、よろしく」


 玄関から入ったホールでお土産を受け取り、ソルティとリーチェ、シィもエルメス叔父上を出迎えた。


「ソルティ様、シィ様、リーチェ様。お世話になります。自分の事は自分で出来ますのでどうぞお構いなく」

「かの有名な大賢者レオニール様のお弟子さんと聞きぜひともご挨拶をと思いましたの」

「視察の際は私がお守りいたします。ご安心を」

「どうぞごゆっくり過ごしてくださいませね」


 とそれぞれと挨拶をかわし、それからエルメス叔父上はアリスに向き直った。


「エルシーお姉様。ご無沙汰しております」

「カフカ君もお元気そうで何よりです。……いえ、失礼いたしました。お茶になさいますか?カフカ様」

「いやいや、エルシーお姉様。そう畏まらなくても。昔みたいに叱り飛ばしてくれてもいいのですよ」

「ふふふ。変わらずですね、カフカ君。なにかやらかしたらその時にでも」

「楽しみにしております」


 うん、アリスの顔の広さはたまにびっくりするよね。

 やっぱりなんだかんだでエルメス叔父上の事を支援していたらしく、今でもお姉様と呼んで慕っているようだ。


「今日はゆっくりしてください。明日現地に向かいましょう」

「そうだな。ではお茶の後はお風呂を頂いても?メル君のところのお風呂はすごいってサリから聞いててね」

「ああ、露天風呂ですね。いつでも入れるようになってますよ。それと個人用のは客室についてます。アメニティは同じものなので好きな方でどうぞ」

「ありがとう、楽しみだな~」


 ウキウキするエルメス叔父上と一緒にやってきた秘書とメイドをそれぞれの客室に案内すると、うちのメイドに叔父上たちの支度が済んだら庭のガゼボに案内するようにお願いした。

 したんだけれど……、このメイド……。


「ラクシュ?メイド姿でナニシテルの??」

「はい。任務外の時間はメイドをさせてもらっております」

「……体壊さないようにちゃんとお休みは貰うんだよ?」

「……ワカリマシタ」


 あ、これ解ってないな。

 ソルティと同じワーカホリック人種だとみた。

 体を動かしてないと&仕事してないとダメなやつだ。

 あとでちゃんとゆっくりできるように通販で足裏デトックスと蒸気アイマスクのセットを贈ろう……。

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