第32話人気者と懇願
「翔野」
「岩尾さーん」
「「勉強教えて!」」
「やだ、めんどくさい」
「いいですよ」
中間テスト1週間前、教室で俺と岩尾に飛羅廼と桂木が泣きついていた。
「ありがとう〜岩尾さん」
「おい、翔野なんで俺だけ教えてもらえないんだよ!岩尾さんは桂木のお願いを心よく承諾してくれたぞ!」
飛羅廼は岩尾と桂木の方を指差しながら抗議する
「いや、普通にめんどくさそう。それにお願いなら断る権利があるだろ」
「なら俺に勉強を教えろ」
「お前の命令に従う義理は俺にはない」
「なんでだよ!どうしたら教えてくれるんだよ!」
俺の言葉に目の前で飛羅廼が膝から崩れ落ちた。
しかし、騒がしいやつだな。まぁ、いくら騒いでも勉強を教えるつもりはない。何故ならめんどくさそうだから。こいつ、家に来たら勉強せずに家にあるゲームで遊ぶタイプだろ。
「良いじゃないですか。教える事で授業の復習になりますし教えるのも楽しいですよ」
「そーだそーだ!俺に教える事でお前のためにもなるんだぞ!」
「お前お願いしてる側なの忘れるなよ?」
このまま騒がれても面倒なだけだし諦めるつもりもなさそうだな。
「場所はお前らが確保しろ先に言っておくが俺の家は絶対に嫌だからな」
「なら、近くにファミレスがあるからそこでしようぜ」
今からかよ。
「そうと決まれば善は急げだ!行くよ!」
「引っ張らなくても行きますよ」
岩尾の手を引っ張りドアへ向かう桂木のあとを飛羅廼が追う。
このまま、俺があいつらについていかなければ帰れるのでは?
「翔野さん早く来てください」
口元は笑ってるのに目が笑ってないんだよなぁ。
「翔野さん?」
「分かったよ行くよ」
「なら早く来てください」
机の横にかけてあった荷物を手に取り教室を出る。
「何気にこのメンバーって体育のバレー以来だな」
「そうだね。私は岩尾さんと喋ることはあっても翔野くんとか飛羅廼君と喋ることあんまりなかったもんね」
確かに隣の席で岩尾と桂木が話していることは度々見ることはあったが、俺自身が直接桂木と話すことは久しぶりな気がする。
「私はよく皆さんと喋っているのでそんなにですね」
「飛羅廼とも喋ってるんだな」
にしては、二人がはしているところをあまり見ない気がする。
「基本的にはお前がいない時に話してるからな知らなくて当たる前だろ」
「なんでだ?」
「そりゃ、お前の面白エピソ-ドを話すのにお前が居たら止めるだろ」
「当たり前だろ」
俺の面白エピソードとかあったか?あまり覚えがないんだが。
「お前、俺の面白エピソードとか言ってたけど変なこと言ってないだろうな?」
「何も言ってないぞ。最近だと、お前がこの前の体育のサッカーの時間にボーっとしててサッカー部のボールが当たったことを話したくらいだな」
こいつ何てこと話してんだよ。
「おい、十分変なことじゃねぇか。あれ?飛羅廼は?」
「飛羅廼さんなら、さっき走っていきましたよ」
あいつ俺が考えてるうちに逃げやがってのか。
「翔野くんも走って行ったね」
「ですね。私たちはゆっくり行きましょうか」
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