第26話 人気者と顔合わせ
「ちょっと他の3人を捕まえ…見つけるのに手間取ってしまって」
「いや、言い直しても誤魔化せないですよ」
笑顔で現れた立花先生の右脇にはガッチリと首をホールドされている男子生徒が1人後ろには女子生徒が2人いる。
「あの先生そろそろ解放してください。痛いです」
そのうちの右側にホールドされている男子生徒が立花先生の右腕を叩きながら懇願する。
「それでは、それ座席に座って自己紹介をしたまえ」
「
ホールドされていた先輩で髪も長く暗い印象を受ける。なんとなくこの人とは仲よくできそうな気がする。
「
のほほんとした感じで喋る先輩なようで明るい印象を受ける。なんとなくだが俺は苦手な気がする。
「部長の
こちらも明るく元気な感じの先輩だが立花先輩と違って性格なのだろうハキハキと喋る。
「翔野奏多です」
「岩尾雪芽です」
「そっかぁ、じゃあ、さっくんといーちゃんだ」
「「なんでそうなんだよ」」
思わず敬語を忘れてツッコミを入れてしまった。
「おぉ、さっくんとこーくん息ピッタリ!」
楽しそうに立花先輩が手を叩く。
「いや、息ピッタリじゃないし。そもそもこいつの名前のどこを取ったらさっくんになるんだよ」
「ん〜とね、ローマ字にしてね苗字の一文字目と名前の二文字目を取ったの〜」
「はぁ〜」
神坂先輩の様子を見るにいつも通りな上にこれ以上何を言っても無駄な気がする。
この人が同級生な先輩には同情する。
「君たちはこの呼び方どぉ?」
「俺は好きなように呼んでもらって大丈夫です」
「いーちゃんはぁ?」
了承する前に呼んでるじゃねぇか。
「おい、岩尾」
「え?あっはい、私も大丈夫です」
「やったぁ、私のあだ名気に入ってもらえたぁ」
気に入った覚えはないがまぁいい。
「どうした?ぼーとっして」
「なんでもないですよ」
そう言ってみせる岩尾の笑顔は心なしかいつもより引き攣っているように思えた。
「そろそろいいかな?部活の活動内容について説明したいのだが?」
あだ名を許されて喜んでいる立花先輩が落ち着き始めたのを見て立花先生が切り出す。
「君たちが知っての通りここは生物部だ。生物部の活動内容はズバリ人間観察だよ」
「帰っていいですか?」
何が「ズバリ」だ、本当にこの人教員か?
「まぁ、そう呆れるな。人間も生きているのだから生物だろ?それに人間以外の生物のことなんて生物の授業でやるからいいんだよ」
「人間観察って何をするんですか?」
なんでこいつは真面目に質問してるんだよ。
「特に決まってない!」
「おい」
「冗談はさておき基本的には人助けだ。近所のボランティアに参加したら悩み相談を受けたりする」
「悩み相談はまだ分かりますけど、ボランティアのどこが人間観察なんですか?」
「細かいことは気にするな!」
この人勢いで誤魔化そうとしてるな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます